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【感じいい人は知っている】相手も自分も嬉しい「褒める」のバリエーション

仕事、日常生活、SNS、メール……様々なシーンで使える! シンプルなのに自分らしい語彙が増やせる! と話題の書籍『いつもの言葉があか抜ける オトナ女子のすてきな語彙力帳』。15年間にわたって約7万人の老若男女にコミュニケーションを教えてきた吉井奈々さんが、「自然体のまま」で「相手も自分も大切にするコミュニケーション」のコツをまとめたこの本が、どのように誕生したのか、世のなかに多くある語彙力やコミュニケーションの本とどんな点が違うのか、担当編集者の宮崎桃子さん(ダイヤモンド社)に聞きました。(構成:書籍オンライン編集部)

―― 書籍『いつもの言葉があか抜ける オトナ女子のすてきな語彙力帳』は、2022年4月に発売されて、すでに6刷3.6万部と高い支持を受けています。担当編集の宮崎さんが実は前から温めていた企画と聞きました。

『いつもの言葉があか抜ける オトナ女子のすてきな語彙力帳』
吉井奈々著 ダイヤモンド社 定価1540円

宮崎桃子(以下、宮崎) そうなんです。語彙力や言葉の本は、いわゆる「売れるテーマ」と言われ、たくさんの本が出ています。でも、私自身はいつも「ん??」と違和感を抱いていました。というのも、そういう本のキャッチコピーとして、

「すごいと思われる」
「恥をかかない」
「誰からも嫌われない」

といった言葉が並んでいて、それって相手ありきのコミュニケーションばかりだな、と感じていて。

 もちろん人から「すごい」と思われたい気持ちは、誰しも少しはもっていると思います。でも、すごいと思われるために学ぶというより、特に女性の場合は、自然体でコミュニケーションを楽しめるようになりたい、という気持ちの人が多い気がします。「相手からどう見られているのか」と常に考えながら話すのは疲れますしね。

―― たしかに、人の目を気にして学ぶもの、ではないかも。

宮崎 ですよね。企画のコンセプトを周りの人に話すと「すごくいいね!」と良い反応が返ってくることが多かったので、本格的に企画にしたいと考えていました。

 そしてダイヤモンド社に転職して、初めての会議に提出しました。

―― 企画として温めてこられたということは、著者さんも心に決めた方がいらしたのですか。

宮崎 いえ、どなたにお願いしたらいいのかはすごく難航しました(笑)。目指していたのは、「正しいか、どうか」を提示する教科書的なものじゃなく、自分も相手もうれしくなるような、居心地の良い空間にするコミュニケーションです。だから、日本語の専門家やマナー系の先生に書いていただくのも、ちょっと違う気がする……じゃあ、誰だろう? と。

―― 著者の吉井奈々さんは、もともとご自身でコミュニケーションの講師などを務めていらっしゃるのですね。日本郵政や法務省、日本コカ・コーラ、日産自動車、日本アイ・ビー・エムといった官庁や大手企業でも教えておられるということは、実践的なコミュニケーションのプロという印象です。

宮崎 そうなんです。とにかくお話が上手で、毎回あっという間に打ち合わせの時間が過ぎていきます。

 吉井さんはもともとプライベートな知り合いで、書籍の著者さん候補という目では見ていなかったんです。個性的なキャラクターで面白い方だなあと思っていたので、こうしてお仕事をご一緒できたのは新鮮です。

 吉井さんの場合は、会話を教えるプロでいらっしゃることに加えて、ご自身が男性として生まれ、性別適合手術を受けて、いまは女性として生活されています。そういった生き方を選択される中で、コミュニケーションに悩むこともたくさんあったと思うんですね。いろいろな立場の方の気持ちがわかるからこそ、コミュニケーションのまた違った見方を提案していただけるんじゃないかと考えて、ご相談しました。

宮崎桃子(みやざき・ももこ)
書籍編集者(ダイヤモンド社 書籍編集局 第一編集部所属)
実用書系の出版社を経て、2021年入社。
『オトナ女子のすてきな語彙力帳』が入社後1冊目の担当作。
北欧の古いものが好き。(イラスト:ますこえり)

「ほめる」バリエーションが増える!

―― この本では、シチュエーションごとに「すてき」と思われるフレーズと「残念」と思われるフレーズが提示されていますよね。そして、「こういうシチュエーションでは、こんな取っ掛かりをみつけて話すとといいよ」と解説されていて、文例集というだけでなく、臨機応変に言い換えたいときのヒントが散りばめられていますね。

宮崎 そうなんです。たとえば、「ほめる言葉」の章の中は、「シンプルにほめる」「センスをほめる」「人柄をほめる」「仕事ぶりをほめる」「相手を立てる」「ほめられたとき」と細かくシーンを分けています。そして、それぞれに「残念」と「すてき」の文例を載せました。

 そのうちの一つ、「人柄をほめる」の文例をご紹介させてください。

・人柄をほめる
「〇〇さんがいてくれると場が和みますね。」
(成果や成長ではなく、その人のキャラクターや存在感そのものにひと言触れてみて。相手の自己肯定感も高まります)

・やさしさをほめる
「あたたかいお人柄ですね。」

(人柄をほめられると、内面を見てもらえている感じがして、ほめられた人はうれしい気持ちになります)

・寛大さをほめる
「包容力がありますね」

(包み込まれるような安心感や、見守ってくれる雰囲気を相手から感じたときのひと言)

・発想をほめる
「ユニークな発想ですね」

(アイデアや言葉のセンスをほめたいときに。「個性あふれる」や「ウィットに富む」などのほめ言葉も)

・真面目さをほめる
「芯がしっかりしていますね」

(「自分の芯」をほめられると、真面目さを肯定されたようでうれしい気持ちになります)

・身内を無条件でほめる
「自慢の母です/自慢の娘だよ」

(身近な存在の人には、特別なときだけでなく、いつでも無条件にほめる言葉や愛する気持ちを伝えたいもの)

宮崎 ほめるのが良い、と頭ではわかっていても、実際にはどうほめたらいいか悩んでしまうことってあると思うんです。

 ですので、この本では「やさしさ」「発想」「真面目さ」など、ほめる時の切り口から紹介しています。

―― たしかに「身内を無条件でほめる」というのは、発想になかったです!

宮崎 そうですよね! この文例は、著者も私もお気に入りの一つなんですよ。

 「この人、素敵!」「またお会いしたいな」と感じる人って、ほめ上手な方が多いんです。特別な時だけではなく、何気ないことに対してもサラッとポジティブな言葉をかけてくれるんですよね。

―― こういった文例が334も収録されているんですね。これだけ言えるようになったら、すてきな人になれそうです。

宮崎 もちろん、この本に載っている文例をそのまま言っていただいてもいいんですが、文例を一言一句まちがえずに言えたとしても、人間関係やシチュエーションによって、そぐわない場合もありますよね。だから、「こういうとき、こんなことが言えたらすてきかも」というアイデア集として使ってもらえたらうれしいです。

―― テーマごとにひと言コラムも複数載っていて、ちょっとした気づきがあります。たとえば、先ほどの「人柄をほめる」については、ひと言コラムとして「大人にこそ、ほめ言葉を贈ろう」「一緒にいて楽しい気持ちになったらすぐ伝えよう」「身内のほめ言葉に勝るものはない」とワンポイント・アドバイスがありました。まさに「こういうとき、こんなことが言えたら」というヒントがいっぱいありますね。

おわびや感謝の言葉のレパートリーを増やす

―― 特に好評なページはどのあたりですか?

宮崎 「雑談する」(94-96ページ)は、すごく需要があるんだなというのを感想など見ていると思いますね。あとは、「おわびの言葉」(200-217ページ)、「感謝の言葉」(74-90ページ)も、よく言う言葉だからこそレパートリーを増やしたい方が多いみたいで、非常に好評です。

―― たしかに、おわびやお礼のかしこまった伝え方は、社会人になって先輩が電話で話しているのを横で聞いていたり、取引先とメールでやりとりしたりするなかで、少しずつ語彙が増えていくところがあると思うんですけど、時間がかかりますよね。だから、これ1冊あれば、辞書みたいにも使えて便利だなと思いました。

宮崎 そうなんです。まさに「素敵な先輩のノートを借りている」という感じで手に取っていただけるようつくりました。カバーをめくってすぐのところに、「デジタルの時代だからこそ、心あたたまるコミュニケーションを」というコピーを入れたのですが、心の通じるやりとりを、素敵な大人の先輩に教えてもらっているかのように、読んでいただけたら嬉しいです。

いま話題になっている書籍を企画した担当編集者に、企画化の背景や本づくりで苦心した点、
その本について届くお客様の声や反響などについて聞いていくインタビュー連載。
著者さんや評論家の方たちとはまた違った視点で、その本の魅力をお届けします。
連載の詳細・記事一覧はこちら

【今回の話題書】
 いつもの言葉があか抜ける オトナ女子のすてきな語彙力帳
 吉井奈々 著

「日常でのちょっとしたひと言」って、意外と難しいもの。悪気はなくても、相手を傷つけてしまったり、気を使いすぎて自分のメンタルを消耗したり……。ここでは自然体のままで、相手も自分も大切にするコミュニケーションのコツをご紹介します。日常生活や職場での人間関係が円滑になること間違いなし!

私、語彙力ないかも…? と思ったら、読んでほしい本

【本書の特長】
◆かゆいところに手が届く334の豊富な文例
◆「残念文例」と「素敵文例」の対比でわかりやすい
難しい言葉は一切なし。だから気負うことなく自然体で使える
イラスト満載で、どんなシーンで言えばいいのかも一目瞭然
◆デジタルの時代だからこそ使いたい心あたたまる言葉を紹介

特別なことを言わなくていい。
自然体でいい。
でもどこかやさしくて心があたたまる。
そんな語彙力を本書でアップしませんか?

本書の主な内容

◆1章 挨拶の言葉
1 感じのいい挨拶/2 初対面の相手との挨拶/3 久しぶりの相手との挨拶/4 相手を気遣う/5 時間帯を気遣う/6 感じよく会話を終える/7 もてなす/8 季節感を込める

◆2章 気持ちを伝える言葉
1 うれしさを伝える/2 祝福を伝える/3 感動を伝える/4 おいしさを伝える/5 同意を伝える/6 反対意見を伝える/7 疑問点を伝える/8 好きな物を伝える/9 人への好意を伝える/10 悲しみを伝える

◆3章 感謝の言葉
1 お世話になったお礼/2 いただき物へのお礼/3 ごちそうになったお礼/4 借りた物へのお礼/5 教えてもらったお礼/6 プラスアルファのお礼

◆4章 打ち解ける言葉
1 雑談する/2 緊張をほぐす/3 秘密話をする/4 仲直りする/5 プライベートなことを聞く

◆5章 あいづち・クッション言葉
1 聞き上手なあいづち/2 相手をやさしく受けとめる/3 聞き返す/4 話を切り上げる/5 賛同する

◆6章 ほめる言葉
1 シンプルにほめる/2 センスをほめる/3 人柄をほめる/4 仕事ぶりをほめる/5 相手を立てる/6 ほめられたとき

◆7章 励ます言葉
1 シンプルに励ます/2 新生活を始める人に/3 落ち込んでいる人に/4 悩みを打ち明けられたとき/5 体調を崩している人に/6 失恋や離婚をした人に

◆8章 お願いの言葉
1 やわらかくお願いする/2 確認や検討をお願いする/3 来訪をお願いする/4 紹介をお願いする/5 催促をする/6 お願いをされたとき

◆9章 断るときの言葉
1 依頼や要求を断る/2 誘いを断る/3 厚意を断る/4 決められないとき/5 認められないとき

◆10章 おわびの言葉
1 ストレートなおわび/2 過失をわびる/3 誤解をわびる/4 遅れをわびる/5 失念したことをわびる /6 時間をとらせることをわびる /7 迷惑をかけたことをわびる

◆11章 電話・メール・オンライン
1 電話の応対/2 メールの文面/3 オンライン
【付録】SNSの言葉

※この記事は、ダイヤモンド書籍オンライン(2022年9月15日)にて公開された記事の転載です。