図1

「食べログへの不満」から

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三点に注目したい 
 1.プラットフォームの健全性
 2.事業モデルの差異とユーザ数
 3.視点の違いと拡張法の違い

関連代表記事 DIAMOND 2018.11.12
https://diamond.jp/articles/-/184947
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A プラットフォーマの権力がもろにでている事例。規模は力である。プラットフォームへの参画店が増えるほど、利用USERが増加し、それに誘導されて参画店がまた増えるという正の循環が生まれる。ある一定以上の規模や支配力がでてくると、このプラットフォームから降りるリスクがどんどん大きくなり、商売あがったりでも広告効果をとるくらいの勢いで参画し続けなければならない。ZOZOTOWNも同じ状況。


B 食べログへの批判をこぼす飲食店側は正直みっともない。明確に見えていた未来であるし、それが嫌なら自分たちで効果的なマーケティングを行い経営を行うべき。


A 一方の食べログ側。あまりに高圧的な態度を続けると、他のプラットフォームによりアービトラージされる確率が高まるため危険である。プラットフォーム運営については、「健全さ」はゴーイングコンサーン的に重要な指標になりうる。プラットフォームに参画してくださる全ての方々の居心地と安全性については、継続投資・改善が必須である。


B 食べログとしては収益モデルとして、現状のようなプラットフォーム/飲食店間の課金を強化する代わりに、新たな付加価値を無償で提供するという方向性もある。例えば、4名以上のコース予約を前払い制で対応可能にするとか、共同購買システムを立ち上げるとか。課金モデルを以前に戻し、これらの新しい軸を新規収益点に設定することもできる。 


A 食べログの売上規模は54憶円程度であり、HotPapperやぐるなびの80~100憶円に比べて小さい。収益源内訳は、個人経由が6.8億円、飲食店経由が41.4憶円程度である。個人有料会員は150万人程度であり、成長鈍化。法人は、課金飲食店数が5万点を超えており、順調に成長。また、法人に対するARPUも順当に伸び2.5万円に。月間ユニークユーザー数でみると、ぐるなびが6500万人(2017年12月)、食べログが1億4291万人(2018年3月)。会員数的に天井が近い可能性が高く、カカクコムの売上の27%を支えるという状況から、課金モデルの変更等による食べログの収益性強化に動いても、おかしくはない。


B 法人課金モデルの見直しによりARPUを順当に改善することで、食べログ事業としての成長をドライブしている。重要なことは、ぐるなびと食べログのビジネスモデル(課金点設計)の差よりも、月間ユニークユーザー数の差がなぜうまれてるかという分析だろう。この部分を抑えることで、消費者をつなぎとめることが可能となり、即ち、食べログプラットフォームへの飲食店参画を維持・促進することが出来るようになってくる。ただし、収益化モデル違いから、ぐるなびが飲食店目線であるのに対し食べログが消費者目線であるという違いはおのずと生まれ、消費者への訴求点の違いを生み、差を出している可能性は否定できない。


A プラットフォームの命でもある、情報鮮度(質)と量という点でも、両社に大きな隔たりが生まれるだろう。ぐるなびは、参画飲食店とぐるなび人財にて基本的に情報が生成される。食べログの場合は、ユーザ口コミ数が情報源であるため、よりフレッシュでよりリアルな情報が大量に生成されることになる。これが情報プラットフォームとしての価値に紐づいており、消費者参画を加速させるドライビングフォースになっていると推察される。


B 食べログとしては、「ユーザから提供されるフレッシュでリアルな情報」の精度と幅をより広げる投資を継続しながら、大量に生成される情報を閲覧しやすくするUIの設計が今後さらに重要になってくると思われる。食べログプラットフォームを通じて、5感を刺激し、各飲食店を顧客が想像できるようにする。この基本拡張路線に加えて周辺エコシステムを深化させ、模倣困難性を高める策は別途必要であり、消費者側のサービス拡張だけでなく、飲食店側に向けた新サービスや飴の提供が必用になってくる。


A ぐるなびについては食べログとの事業モデルの違いから、例えば、飲食店データを使った飲食店高収益化コンサル(支援)といったサービス展開などは相性がよろしいかと思われる。


* カカクコム 有価証券報告書 http://corporate.kakaku.com/ir
* ぐるなび 有価証券報告書 https://corporate.gnavi.co.jp/ir/library/report.html

 

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