君の夜が明けるまでは
1
○○:また、タバコ値上がりするみたいっすね
客:そうらしいね
○○:俺やお客さんみたいな喫煙家には何度目かの試練ですね笑
客:それでも、吸い続けるんだろうな笑
○○:1000円までは耐えますかね笑
客:そうだな、今更禁煙なんて考えらんないしな。
○○:俺もです。でも、いつかは1000円超える時代が来るんでしょうね…
客:最悪な時代がな… それじゃな!
○○:はい。 ありがとうございました!
AM2:30
ここは深夜の住宅地にあるコンビニだ。
さっき来たのは近くに住んでる平日のこの時間帯唯一のお客さんだ。
あの人が来たらもう客が来る事はほとんどない。
○○:ふー、廃棄確認するか。
深夜帯は客が来ない代わりに雑用が多い。まぁ、人付き合いが苦手な俺からすれば天職だ。
あ、さっきの人は例外毎日あの時間帯に缶コーヒーとタバコ一箱買うって決まってるから人付き合いが苦手でも話す事ができる。
掃除は終わってるから後は廃棄チェックで終わり。
後は早朝来る搬入が来るまで暇を持て余す時間のはずだった…
♪〜♪〜♪〜
○○:(珍しいなこの時間に客なんて、なんか買い忘れたのかなあの人…)
いらっしゃいませも言わない○○の存在にその客は気付いてなかった。
レジの方をキョロキョロしながらパンコーナーに行き、チョコチップメロンパンを一つカバンの中に入れた。
その時影でしゃがんでいた○○と??は目が合ってしまった。
??を○○は最初無視しようとしたが、この店のオーナーが良い人な為恩返しも兼ねて捕まえる事にした。
逃げ出す??を店の入り口で捕まえた○○だがその格好を見て訳ありなんだとすぐに察した。
??:ごめんなさい、ごめんなさい、
○○:まあ、君を怒れるほど俺自身出来てる訳じゃないから。でも、ちょっと裏で話し聞かせてもらえる?
レジ裏まで連れて来ると??は盗ったパンを○○に返したが○○は怒るのではなく一つの疑問を??にぶつけた。
○○:こんな時間で制服着て何してんの?
そう??は近くにある高校の制服を着ていた。それも少し汚れた状態で。
??:ごめんなさい。ごめんなさい。
○○:謝罪の気持ちは分かったから質問に答えてくれない?
??:…あの…ですね… グゥー
お腹の鳴る音が響いた
○○:ちょっと待っててくれる?
??:(警察だけはやめてくれないかな…😢)
するとピッ ピッ と言う音が聞こえキャッシャーが開く音が響いて帰って来た○○は盗ったチョコチップメロンパンとミルクティーを??に渡した。
○○:俺の奢り、食べな。
??:え?
○○:良いから、腹減ってんだろ? 話しは食べた後で聞くから今は食べな。
??:…あ…ありがとう…ございます。
??は最初は戸惑ったが○○の優しそうな顔を見た後、涙を浮かべながら食べ始めた。
○○:そんながっつくと詰まらずぞ笑 飲み物も飲め。
よっぽどお腹が空いていたのだろう。
早食い番組に出れるんじゃないかと思うほどだ。
そう思っている時には既に??は食べ終わり飲み物で流し込んでいた。
○○:よし、これで少しは話聞けるかな?
??:…はいボソ
そこで○○は??の名前が遠藤さくらと言い近くの高校に通う2年生だと言う事。幼い頃両親が離婚して今は母子家庭なのだが、その母親の交際相手に手を出され家を飛び出して来た事を知った。
○○:そっかそのさくらちゃん家出してからどれぐらい?
さく:…1ヶ月ぐらいです。
○○:1ヶ月?? マジ? 今日までどうしてきてたの?
さく:…この前までは親友のかっきーの家に泊めてもらってました。
○○:かっきー? 男の子?
さく:女の子です。でも、長く居すぎてかっきーとかっきー両親に迷惑かけたくなくて、一回帰ってみるって言って…
○○:そっか、それで帰ったの?
さく:…いや、家の前まで行ったんですけど震
えてきちゃって…
○○:警察とか児童相談所とかは?
さく:いや、母親に迷惑かけたくなくて…
○○:(聞いてる限りこの子の母親は探してないだろうな…なのにこの子は…)
○○:あのさ、仕事終わるの後一時間半あるんだけどその後さくらちゃんさえ良ければ近くの銭湯一緒に行かない?
さく:え? …臭いますか?
○○:ちょっとね、俺の家でも良いんだけど流石に女子高生を連れ込むのはダメな気がするしさくらちゃんも嫌だろうから銭湯行こ!
もちろん奢るから!
さく:本当にいいんですか?
○○:もちろん! 出会い方は最悪だけどね笑
さく:本当にごめんなさい…
○○:終わるまでそこのイートインのとこで待っててもらって良い?
さく:はい!
仕事が終わりイートインを覗くと机に突っ伏して寝ているさくらの姿があった
○○:(気持ちよさそうに寝てるな… でも起こさないと)
○○:さくらちゃん?
そう言って摩ると。
さく:ん〜 はっ! すみません寝てしまってました…
○○:待たせたのはこっちだから謝んないで笑
さく:…いや…でも奢ってもらってますしそれに銭湯だって…
○○:本当に気にしないで笑 それじゃ行こ!
さく:はい! …あ… でも着る物が…
○○:その事なら気にしないで服なら家が銭湯の近くだから俺の家からさくらちゃんが着れそうなの持って来るし、下着はこれ。
そう言って黒い袋に入った袋を渡す。
中には下着が入っていた。
○○:コンビニで売ってる簡易的なのだから履き心地は悪いかもだけど新しい方が良いでしょ?
さく:何から何まですみません🥺
○○:さくらちゃんさっきから謝ってばっかりだな笑
奢ってるのはただのおじさんの気分だから笑
○○:それにおじさんすみませんって謝られるよりありがとうって言ってくれた方が嬉しいかな笑
さく:あ…ありがとうございます😢
○○:うん😊 じゃあ行こっか。
とカッコつけて言ったものの
○○:なぜだ😱
銭湯が開いてないのだそしてシャッターには紙が一枚。
○○:なになに…病気につき休みだとあのクソジジイ、そう言ってこの前釣り行ってたじゃねぇかよボソ
さく:…これじゃあ入れないですね…
○○:はぁ😥 どうしよ…って雨?
ポツポツ ポツポツ
○○:…あのさ、さくらちゃんが嫌じゃなければ家来ない?
さく:…良いんですか?
○○:銭湯も閉まってるし小降りだけど雨も降ってるし…
さく:○○さんさえ良ければ…
○○:俺は別に大丈夫って名前なんで知ってんの?
さく:さっき着てたコンビニのネーム見たので…
○○:そっか、てか俺自己紹介してなかったよね笑 俺は橋本○○、26歳。 職業は知ってるかもしれないけどコンビニアルバイトよろしくね☺️
さく:はい!!
○○:さくらちゃんがOKしてくれたし事だし行こっか家。
銭湯から徒歩4分
3階建て1Kマンションの301にたどり着く。
○○:着いた、狭いけど許してね。
そう言って○○は家の中に入っていきテーブルの上にある灰皿のタバコの山を見つけバサッとゴミ袋に入れて、風呂場に行きお湯を入れた。
そして後ろを振り返るとまだ玄関にさくらはいた。
○○:(いきなり知らない男の家来たらそりゃ怖いよな)
○○:風呂もシャワーも自由に使って良いよ、あとタオルはそこの棚の二段目に入ってるから。
シャンプーとかは男用だから我慢してね…
さく:何から何まですみません…
○○:すみません?
さく:…あっ…ありがとうございます。
○○:うん☺️
○○:これ今度寝巻き変えようとしててサイズ
ちょっと大きいかもだけど使って。
そう言って封されてる新品のジャージをさくらに手渡した。
○○:俺、ベランダにいるから上がったら教えて
そう言ってそそくさとベランダの戸を閉めた。
さくらはさっき買った下着と貸してもらったジャージを持ってお風呂場に向かった。
シャワーを浴び 溜まった湯船に入る
さく:はー 生き返る…
さく:(○○さんってなんでここまでしてくれるんだろ… やっぱり体かな… でも、○○さんなら良いかな…)
なんてさくらが思っている頃
ベランダではタバコを咥えながら悩んでる○○の姿が…
○○:(流石に女子高生連れ込むのはヤバいよな… …相談してみるか)
時計を確認するとAM7:30
○○:(起きてんだろ…“姉ちゃん")
プルルルル プルルルル
??:ん? どした?
○○:起きてた?奈々美?
奈々:うん。珍しいね、○○から電話なんて。
○○:ちょっとトラブルと言うか相談があって。
奈々:何あった?
○○は今日あった事を話し、どうすれば良いか姉にアドバイスを求めた。
奈々:その子、嘘はついてない感じなの?
女子って多感だからただ家が嫌だってだけじゃないの?
○○:それは、無いと思う。
奈々:そっか… なら今から向かうよ。
○○:は? 仕事は?
奈々:ん? 休む。有給使う。
○○:おい、社会人。
奈々:弟の危機は救わないとね笑
○○:危機って笑 俺は別に危機じゃないわ。
奈々:いや、危機だよ。 仮に今の状況で警察が来たら○○捕まるよ?
○○:…確かに。
奈々:側から見たら○○は未成年を自宅に連れ込んだ犯罪者なわけだ笑
○○:……
奈々:私は○○を信じてるし、その○○の信じてるさくらちゃん?って子も信じてるから。
奈々:放って置けないんでしょ?なら私が○○を守ってあげる。
○○:ありがとう。
奈々:仕事引き継ぎするからちょっと遅くなるだろうけど、絶対行くから。
するとコンコン
ベランダの窓をノックする音とこっちを見るさくらの姿が見える
○○:さくらちゃんお風呂上がったみたいだからまた後で。
奈々:うん。 また後で。
○○:姉ちゃん、…本当ありがとう。
奈々:(姉ちゃんなんて久しぶりに、言われた笑)
風呂上がりのさくらは俺が着るはずだったダサいはずの1500円のジャージを1万円位にした姿でこちらを向いていた。
さく:お風呂ありがとうございました。
○○:気持ちよかった?
さく:はい!
○○:そりゃ良かった。
さく:それで、あの…図々しいかもしれないんですけどドライヤーってありますか?
○○:ごめん、気づかなかった。
さっきタオル入ってたとこの一段目に入ってる。コンセントは横にあるから。
さく:ありがとうございます。乾かしてきちゃいますね。
ブォーン
ドライヤーの音が響く家の中で○○の頭の中ではここ半年で1番頭を回転させていた。
○○:(顔とか良く見ないで連れてきちゃったけど、可愛い…いや超絶可愛い子だな。
この後、あの子どうしようか…
やっぱり警察か児相に頼んで家庭環境を良くしてあげないとな…
でも、それであの子は幸せになれるのだろうか…)
○○:(母親の恋人という奴は引き離されるだろうけど、母親がその事を恨んで娘に当たる可能性もある。最悪邪魔と言い出すかもな。
それに仮に親が警察に言えば逆に俺が終わる。まあ、それでもあの目をしてる子を放って置ける訳ない)
○○:ボソボソボソ
さく:(何してんだろ)
さく:終わりました!
○○:おー そっか。
さく:○○さんもお風呂はいります?
○○:俺はもう少ししてからで良いや。
それよりその友達の家から出てからの一週間とこれからの事を話したいなと…
さく:私も○○さんに聞きたいことが…
○○:何?先にいいよ。
さく:…さっきベランダで電話してたじゃないですか?
○○:うん。
さく:…もしかして…警察ですか?
○○:いや、違うよ。
さく:本当ですか?
○○:うん。電話相手は警察じゃなくて俺の姉ちゃん。
さく:え?お姉さん?
○○:そう、まあこの後来てくれるらしいんだけど。
さく:ここにですか?
○○:そう。 で、話し変わるけどさくらちゃんは今のこの状況どう思ってる。
さく:…いま?
○○:実はね、今俺は犯罪者なんだよ。さくらちゃんがここにいる事でね。
さく:……
○○:もちろん、君に手を出すつもりは毛頭無いんだけど、世の中ってのはそんな甘い目で見てくれなくてね。未成年略取ってのに当てはまっちゃうらしいんだ今のこの状況。
さく:でも、私の意思で来たので…
○○:それも世の中的には関係ないんだ。
だってまだ君は未成年だからね。
責任はまだ親にあるんだよ。
さく:……
○○:って事でこれからどうしようかって話をさくらちゃんとしたい訳なんだよね😊
さく:…私…行きますね。
さくらは立ち上がり着替えた制服をスクールバッグに詰め込み立ち上がった。
○○:ジャージで?
さく:○○さんの言う通りこれ以上いると迷惑掛けてしまうので…
○○:俺は全く迷惑なんて思ってないよ☺️
さく:でも… さっき世の中は認めないって!
○○:だから、うちの姉ちゃんとその金魚の糞が必要なんだよ。
さく:…金魚の糞?
○○:お!食いついた。
そう、金魚の糞という名の彼氏だね。
さく:彼氏さんを金魚の糞と言うのは…どうかと…
○○:俺は認めてないからねあいつが彼氏なんて笑
さく:そんなダメな人なんですか?
○○:そうダメな弁護士だよ一応。
さく:弁護士??
○○:まあ、仕事面では優秀だけど俺よりはダメだね。
さく:(助けてもらってなんだけどアルバイトと弁護士って…どうみても…ってか重度のブラコン??)
○○:今の目ブラコン?って思ったでしょ!
さく:あ…いや。
○○:もちろん姉ちゃんは好きだけど恋愛感情は全くないよ、ただ唯一の家族だから厳し目に見定めてるだけ。
さく:唯一のって… すみません。
○○:いや、生きてはいるようちの親。親?なのかな。でも縁は切れてるから。
さく:複雑なんですね○○さんも。
○○:まあね。
ピンポーン
○○:おっ 来たかな?
ガチャ
奈々:よ!
○○:いきなり来てもらって悪いな…
奈々:気にするな、我が弟よ。
で、その子が例の子?
○○:そっ、遠藤さくらちゃんでーす。
さく:は…はじめまして。
最初奈々未は睨み付けるような目を向けるが
奈々:☺️私は橋本奈々未よろしくね!
○○から話しは一応聞いたけどさくらちゃんも大変だったね。そんな所いきなりで悪いんだけどこっちの要件、先に解決していい?
○○:要件?
奈々:うん。あのさ○○ちょっと外出ててくれない?
○○は一瞬眉間にシワを寄せ考えるような素振りを見せたがすぐに
○○:分かった、さくらちゃんこのお姉さんは優しいから安心してね。
そう言って姉が入って来た所から外に出て行った、
さくらは○○の姉とは言え奈々美に対して警戒心があり。なぜ○○を外に出させたのか理解できていなかった。
奈々:一応あいつも男だから聞かれたくない事もあるだろうからね。
さく:…はい。
奈々:母親の交際相手から手出されそうになったってのは○○から聞いだけど。
"どこまでされた?"
さく:………
さっき○○がいた時と人が変わったかのように震えだした。
奈々:そうだよね。
怖くて思い出したくないよね。
でも、その勇気がさくらちゃんと○○を助ける事に繋がるから。
信じて。
そう言って奈々未はさくらの手を握った。
握られた手を見て落ち着きを取り戻したのかさくらは口を開いた。
さく:…いろんなとこ…触られたりして…
奈々:うん。
さく:…見られたりして…
奈々:うん。
さく:…それでも耐えてたんです…ずっと…ずっと…
奈々:うん。
そう言って奈々未はさくらの頭を撫でた。
さく:…でも、あの日、学校から帰ったら…
いつもみたいに脱がされて、それで終わりかと思ったら……
奈々:…襲われたんだ。
さく:……
奈々:それで怖くなって逃げてきたんだね。
さく:はい…
奈々未はこの後も詳しくさくらに聞き取りをして、本番をされる一歩手前で逃げてきた事。
襲われた時は母親はいなかったが日常的に脱がされてる事を母親は知っていた事。
さくらは母親を愛していていたが、SOSを出していたのに母親がそれを無視した事。
さくらは過呼吸になるかと思うくらい荒い息遣いになっていたが、奈々未は背中を摩りながら、抱きしめながら最後まで話しを聞いた。
奈々:腐ってるボソ
さく:ハーハーハー
奈々:大丈夫だから。大丈夫。
さく:ハー…フゥ……
奈々:これで本当に最後なんだけど、腕見せてもらえる?
さく:…はい。
奈々:それアザだよね?襲われた時の?
さく:…そうです。…なかなか消えなくて…
奈々:一枚写真撮らせてもらえる?
そう言われるとさくらは頷いた。
奈々美は撮ったばかりの写真を添付しある人に送った。
さく:どうするんですか?その写真。
奈々:弁護士してる彼氏に送るの。
さく:…金魚の糞…ボソ
奈々:フフフッ ○○でしょそれ言ったの笑
ヤバっという顔をさくらはした
さく:…そうです。聞こえちゃいました?
奈々:まぁね。でも、良い人だよ。
さく:なんで金魚の糞って○○さんは言うんですか?
奈々:私ももうそろそろ結婚考えなきゃいけない歳だし、アイツしかいないって思ってるんだけどなかなか決断してくれなくてね…
さく:それで、なんで金魚の糞なんですか?
奈々:○○にその事を相談したら横に立とうとしない奴なんて金魚の糞じゃねーかってね笑
そう言ってそれからずっと金魚の糞扱い笑
さく:なんか、可哀想ですね彼氏さん。
奈々:○○も金魚の糞って言ってるけど心では信頼してるからうちの彼氏。たぶん私に幸せになって欲しいんだよ。
さくらちゃんに兄弟は?
さく:いないです。
奈々:そっか。じゃあ、今日から私がさくらちゃんのお姉さんになるよ😊
さく:えっ
奈々:なに?不満?
さく:いや、そんなわけないです。逆に申し訳ないです。私なんかの…
奈々:私がなりたいから良いの。だからこれからさくらって呼び捨てにするからさくらも私の事呼び捨てにしてね。
さく:急に呼び捨ては…
奈々:じゃあ奈々姉は?
さく:それなら少しは…
奈々:よし。それじゃこれからよろしくね!
さく:はい!
奈々:ってなんか忘れてるような…
ピンポーン
奈々:ヤバっ放置しすぎた。
ガチャ
奈々:ごめーん。
○○:…忘れてたな俺の存在。
奈々:…そ…そんな事ないよね?さくら?
さく:はっはい。
○○:おい。ってか呼び方!
奈々:そうさっきから呼び捨てになったから私達。ほら、私のこと呼んでみな?
さく:…な…奈々姉//
○○:懐かし!
奈々:でしょ?
さく:?
○○:俺がさくらちゃんぐらいの歳ぐらいまで呼んでた呼び方なんだよそれ笑
さく:そうなんですか?
○○:うん。本当に懐かしいな!そうだ俺のことも呼び捨てで良いからね。さくらちゃんの事も今後はさくらって呼ぶから。
さく:…○○……さん
○○:惜しかったね笑。徐々にで良いから☺️
そんな他愛もない話しを一時間位してると
ピコン
奈々:ん? 私か…
スマホを見て一瞬ニコッと笑い返信をするとさくらをみつめた
奈々:さくら?
さく:はい。
奈々:さくらの事解決したよ。
さく:え?
○○:マジ?
奈々:拓馬が最速で解決してくれた。
さく:拓馬…さん?
○○:金魚の糞。
さく:あー!彼氏さん。
奈々:解決してくれたんだから、今日ぐらいはヤメてあげて笑
○○:それで、どうやったの?
奈々:今から話すのはさくらには酷になるけど大丈夫?
さく:…はい。知りたいです。
奈々:分かった。簡単言うと拓馬がさくらの家に行って現状を話して、ある文章が書いてあるものにサインしてもらったの母親に。
さっき撮った写真もその為に使った。
○○:写真?
奈々:○○も見えてたでしょ。さくらの腕。
○○:まぁ。 避けてたけどさ…
奈々:それを証拠として撮って母親に起きた事を話して選択させたの。
○○:選択?
奈々:あっちがやってたのは虐待と性的暴行だからね、だから男と別れてさくらの生活を改善させるか、さくらを手放すか。
○○:奈々美…解決したってさっき言ったよな。
○○はさくらから聞いてる状況が真実ならどちらを母親が選んだかはすぐに分かった。
奈々:ええ言ったわ。
○○:…それならその先は言わなくていい。
さく:…いいえ。知りたいです
○○:それじゃ、さくらが…
さく:私だけだったら耐えられないかも知れないけど、ここには奈々姉と…○○//もいるから。
奈々:本当に大丈夫?
さく:はい!
奈々:結論から言うとさくらはもうあの家の人間ではない。…捨てられたって事。
さく:………
やはり現実を突きつけられるとやっぱり下を向いてしまうさくらだが
ギュ
○○はさくらを抱きしめた。
○○:…捨てられたなら拾えばいい。
俺たちに…俺にさくらの事拾わせてくれないかな?
さくらを少し離し○○は目を見て
"俺と家族になってよさくら?"
さく:え…
奈々:うん、私も○○に賛成。
さく:…な…なんで
○○:ん?
さく:なんでそこまでしてくれるんですか!!
そんな語気を強めながら言うさくらにさも当たり前でしょと言う顔で
○○:そんなのさくらに幸せになって欲しいからに決まってるじゃん。
さく:…それは普通家族だとか友達ならそうかもしれないですけど。今日会ったばっかりじゃないですか!
○○:俺ってさ、さくらから見たらどう見える?
さく:いきなりなんですか。
○○:いいから、いいから。
さく:…優しくて、カッコよくて、よく笑ってて…
○○:そうさくらが思ってくれてる俺が実は一年前に死のうとしてたら?
さく:??
奈々:○○…
○○:そんな風に見えない?
さくらは小さく頷く
○○:一年前電車が来るのを待ってたんだ、駅じゃなくて踏切の中で笑
職場は一流企業だったんだけどパワハラ三昧でメンタルがズタボロでね。
それでも、なんとか3年我慢してたんだ。
でも、限界で親と当時付き合ってた彼女に辞めようと思うって相談したんだ…
その結果彼女とは別れた。
彼女は彼氏が一流企業で働いてるって言うステータスが欲しかったんだよ。
そして、念押しが親から言われた。お前が弱いだけだって言葉だった。
その時この世界が白黒に見えて絶望した。それでも俺は死にたかった訳じゃない…ただ、生きていたくなかった。
さくらは目を潤ませ○○の目を見つめる
○○:それから数日後俺は家に遺書を置いて踏切にふらふらしながら向かったこの世界から消えるために。
でも、その遺書を偶然最初に見つけたのが奈々美。
本来一番最初に相談しなくちゃいけなかった人
そして、見つけられた靴すらも履いてない奈々美に、踏切の中に立ってた俺が。
それに気づいた時に世界が白黒からカラーに戻って、今消えるのは辞めようと思えたんだ。
正直奈々美にそんな所見られたもんだから怒られるかと思ったんだけど。
"ありがとう、生きる決断をしてくれて"
って言われて抱きしめられて、はじめて泣けたんだ。
三年間パワハラされても、彼女と別れても、親に言われた時にも出なかった涙が。
それから遺書ではなく、縁を切る事を書いた手紙を実家に残して、一人暮らしを始めたんだ。
奈々美と一緒に探してくれてた拓馬はその後毎日のように家に来てくれて支えて、抱きしめ続けてくれたんだ。
それでも立ち直るのに半年掛かっけどね笑
奈々:私たちのおかげだね!!ドヤ
○○:感謝しても仕切れないよ笑
○○:さくらをコンビニではじめて見た時、昔の俺に似た顔をしてる気がしたんだ。
怯えて、辛くて、でも涙が出ない…
感情ってのを捨てたような顔にね。
だから、助けたいって思った。
○○はさくらを見つめながらその頬を両手優しく挟みこむと。
○○:まだ、さくらの返事聞いてないな…
さく:…め…迷惑じゃないですか?
○○:全く。
さく:…そ…それにいつか私、邪魔になるかも…
○○:そんな事ないよ。
さく:で…でも…
○○:家族なんだからさくらの事いつでも守るよ。
奈々:さくらどうする?
さくらは一瞬下を向き深呼吸をすると涙を流しながら兄弟2人の方を向き頭を下げた。
さく:私と…私と家族になって下さい!😭
○○はさくらの頭を撫で
奈々美はさくらを抱きしめながら
○○奈々:もちろん。
それからどれぐらい時間が経ったのだろうか空にはさっきまでの雨は消え夕焼けが広がっていた…
さくらは夜勤の時に出会ってから起きていたし、泣き続けた事で疲れたのか俺のベッドで寝ている。
さくらにとっていつぶりかも分からない、安心できる居場所を手に入れたのだ。
奈々:○○今日バイトは?
○○:ないよ。
奈々:そっか…
○○:さくらの住む所どうしよっか。
奈々:私のとこで良いけど?
○○:確かに女子同士の方が気が楽になるだろうから、そうしよっか。
奈々:任せない。
○○:本当に今日は来てくれてありがとう。
奈々:気にしないで、それに私は何もしてない。
○○:確かにほぼ、解決したの拓馬だしね笑
奈々:逆にそう言われるとなんかムカつく、私すごい頑張ったプク
プク顔をしてる奈々未を○○は頭撫でた。
○○:偉い偉い… 俺じゃ聞けないような事聞いてくれたんだろうから。
奈々:ふふっ//
さくらが起きたら今後の話しをしないとね。
○○:住む場所は奈々美の部屋だとして、それ以外は買わないとな…金銭面は任せて。
奈々:私も働いてから気にしなくて良いのに…
○○:それぐらいはさせてくれ。
するとベッドの上でもぞもぞとしながらさくらが起きてきた。
さく:ん〜ん〜
○○:さくら起こしちゃったか?
何も言わないさくらはそのまま○○に抱きついてまた寝てしまった。
それを○○も抱きしめ返す。
奈々:よっぽど好かれてるのね笑
○○:愛情不足なんだよ。
奈々:これじゃ今後の話しは今日は無理そうね。
○○:明日で良いんじゃない?
そういいさくらの寝顔を2人で眺めていると
○○:奈々美明日も仕事でしょそろそろさくら起こして送ろっか?
奈々:バイトないんでしょ?それなら起こすの可哀想だから今日は泊めてあげな。
○○:でも。
奈々:私二日連続なんて休めないから、さくらが1人の時間が出来ちゃう、それはまだ心配だから明日迎えに来るまで○○が面倒見てあげて。
○○:分かった。
奈々:じゃあそろそろ私行くね?
そう言うと○○に抱きついて寝むるさくらの頭を撫で
奈々:さくらまた、明日ね。
さく:ううぅ〜
奈々:フフっ 可愛い//
○○:俺動けないから見送り出来ないや笑
奈々:気にしないで。
靴を履きドアを開いた所で奈々未は振り返る
奈々:○○今日は良くやった!褒めて遣わすぞ笑
じゃね!
○○:奈々未ありがとうボソ
奈々美を見送ると気が抜けたのか○○も眠ってしまった。
——————————————-
さくらは○○の胸の中で眠ってる間、夢?なのか過去にあった事なのか分からないものを見た。
両親が離婚する前の小さい頃の自分を。
さく:次あれ乗りたい!
さ父:メリーゴーランドか
さく:うん!
さ母:私は写真撮るから、2人で乗ってらっしゃい。
さ父:分かった。さくら行くぞ!
手を握りメリーゴーランドに乗る。
さ母:お父さん、さくらこっち向いて!
回りながらさくらと父はピースサインをカメラに向ける。
楽しい雰囲気だったがメリーゴーランドから降りると異変が
さ父:さくらどうした?
さく:気持ち悪くなっちゃった…
さ母:大丈夫?
さ父:さくらおいで。
父は手を広げこちらを向いた。
さくらはそこに向かい抱っこしてもらい背中を撫でた。
その温かさが気持ち悪さを癒してくれた。
こんな幸せそうな風景が離婚と言うもので全てが崩れ去ったのだ。
さく:…お父さん…お母さん…
さくらは父の温かさのようなもので目を覚ました。
さく:…お父さ…○○?
○○の肩で寝ていたさくらが少し離れると自分を抱きしめたまま寝てしまっている○○の顔が見えた。
さく:○○ってやっぱりカッコいいな…ボソ
でも、なんで抱きしめられてるんだろボソ
夢の中のお父さんみたいボソ
普通なら警戒心を抱く状況だが、さくらは○○の優しさとこの人なら大丈夫と言う安心感から○○の肩に顔を戻した。
そこから静寂が続いたがそれを破ったのはさくらのお腹だった。
--------------
グゥ〜
その音で目が覚めた。
○○:…ん?
さく:おはようございます//
部屋にある掛け時計を見ると日付が変わる時間になっていた。
○○:おはよ☺️
さく:…あの〜この状態って…//
○○:あっ
2人とも抱きしめ合って2人掛けのソファの足に寄りかかっている
○○:さくらが寝ぼけて抱きついて来たんだよ笑
さく:ごめんなさい//
さくらの優しさからだろうが俺が起きるまで動かないでくれたのだろう、だけど自分が寝ぼけてやった事だと分かると抱きしめられてる状況以上に恥ずかしくなって離れようとした。
ギュ
さく:え?
○○:ありがとう、家族になってくれてボソ
さく:///
○○:お腹空いたよね、なんか作るよ。
そう言って○○は立ち上がり台所に向かった。
さくらは抱きしめれた時の温かさを名残惜しそうに○○を見つめた
○○:ん?
さく:………
○○は何かに気づいたかのように手を広げて
さくらおいで。
そうそれは夢の中でお父さんにされた事だった。
さくらはその広げられた胸に抱きついた。
さく:///
○○:これからはいつでも甘えておいで☺️
そう言って背中を撫でた。
さくらはその温かい胸の中である事に気づいた。
その事を上目遣いで○○に尋ねた。
さく:奈々姉は?
○○:さくらの寝顔を見ながら帰ったよ。
明日仕事が終わり次第また来るってさ。
さく:奈々姉にまだありがとう言えてない…
○○:明日言えば言えるし、それにウンと甘えればいいよ。
さく:うん//
○○:よし今度こそご飯作ろう。 さくらなんかアレルギーとか好き嫌いある?
さく:ないですよ。
○○:なら冷蔵庫にあるもので…オムライスで良い?
さく:はい大好きです。
○○:なら良かった。
出来るまでそのTVかYou○ubeかなんか見て待ってて。
さく:何かお手伝いします。
○○:さくら料理は出来るの?
さく:包丁は握れます。
○○:うん…握るだけ?切れはしないのね。
さく:…はい///…
○○:さくらは座って待ってようか笑
オムライスが出来上がりテーブルの上に運ぶと
さく:美味しそう!
○○:さくらも奈々美助けるためにもちょっとずつでも覚えていこうね。
さく:うん… えっ?
○○:そっか言ってなかったもんね。
明日、奈々美が来るのは今後の話しとさくらを迎えに来るためだから。
さく:今後…
○○:さくらは目の前の事にいっぱいいっぱいで考えれてなかっただろうけど、まずは衣食住をちゃんとしないと。
まず住は、奈々美の家があるから大丈夫だとして、食は奈々美の仕事上家にいない時もあるから自分である程度できるようにならないとね。衣はあし…
さく:…あの…
○○:ん? そうかスマホね!新しいの買わないとな。それも明日…
さく:違う!!
さくらは涙を流しこちらを見ていた
さっきまでオムライスを喜んでいた姿は見る影もない
さく:…私ここにいたいです。
○○:ここ?
さく:○○の家に…
○○:気持ちは嬉しいけど、ここ狭いし女の子同士の方が気が楽でしょ?それに…
○○の言葉を遮るように
さく:わたし邪魔ですか?
○○:そんな事ないよ。でも、家族とは言え異性だから着替えとか生活で気を使わなきゃいけない時もあるんだよ?それでも良いの?
さく:…奈々姉の事好きだけど、それ以上に○○と一緒にいたい///
今日できたばかりの妹がブラコンになっていた。
○○:フフっ。それじゃ一緒に住むか!
さく:うん//
○○:奈々未には明日言うとしてまずはご飯食べよ!!
冷めちゃったからレンジで温めるね。
その後食べ終わりお腹が一杯になったせいかまた眠くなったさくらは○○がシャワーを浴びている間にベッドですぐに寝てしまっていた。
○○:…ラス2か…買わないと。
カチッ
○○:フ〜
ベランダでニコチンを摂取してながら夜空を見ていた。
○○:(俺なんかと一緒にいたい…か)
○○:(さくらは変わろうとしてるのかもな…いや、俺の知らないさくらに戻ろうとしてるのか。それなら元はかなりの甘えん坊だな笑)
○○:俺も変わらないとなさくらに誇られるようにボソ
外に移動させていた灰皿で火を消し部屋に戻る。
○○は手元にある一本残っていた煙草をクシャと握り潰し部屋のゴミ箱に投げ入れた。
さくらの決断や勇気に比べれば小さいかもしれないが○○も変わる事を選んだ。
タバコで始まり煙草で終わる怒涛の1日をソファの上で終えた。
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