僕たちはあの日家族になった6
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○○:……ウユニ塩湖……スゥ…スゥ…
蓮加:どんな寝言なんじゃい!
アンダーの合宿を終えて帰って来た○○は家に着くや否やソファで寝ていた
○母:出会った頃に比べたらここで寝てくれるだけで嬉しいわよ。
さく:お兄ちゃんすぐ部屋に行っちゃってたもんね。
蓮加:確かに。
○母:再婚して私達への警戒心が解ける前にパパがいきなり海外勤務になって家に居なくなったから仕方ないのかもしれないけど。
寝てるのを良い事に
○○のほっぺに人差し指を指しだす
プニプニ
○○:……ンゥウ…スゥ…
さく:可愛い///
そんな○○で遊んでるさくらをよそに蓮加は母親に近づく
蓮加:ママ?
○母:なに?
蓮加:…ママってお兄ちゃんの事で私達に隠してる事ある?
○母:どういう事?
蓮加:まだ可能性の話しなんだけど…この前ね…
○○:スゥ…スゥ…
個人練習を終えて帰ってきていた○○の部屋に遊びに行くと寝ていた
だけど構って欲しい蓮加は…
ギュ〜
○○:……ビクッ
蓮加:///
○○:どうしたさくら…
蓮加:寝ぼけてるの?
○○:…蓮加か……ごめん本当に寝ぼけてるかも 苦笑
蓮加:……お風呂上がりだから栄養補給しに来たの///
○○:なんだその理由 笑
でも、風呂入る前に寝ちゃったから起こしてくれて助かった。
ナデナデ
蓮加:そんな優しい私とさくらを間違えたのは罪だよ。プク
○○:そうだね…じゃあ何したら許してくれる?
蓮加:一緒にお風呂入ったら許す!
さく:待って待って!お風呂って何!?
○母:仲良いのね。
蓮加:でしょ///
さく:ちが〜う!
○母:連れ子通しなら結婚できるし私は許すわよ?
さく蓮加:え!本当!?
○母:だけど…○○も将来がある子だから子供作るならちゃんと自立してからね。
さく蓮加:…はい///
さく:それで蓮加はお兄ちゃんとお風呂入ったの!?
蓮加:残念ながら…
さく:ホッ…
蓮加:背中は流したけどね〜
さく:抜け掛けだぞ!
蓮加:文句言うならさくもなんかすればいいじゃん色仕掛けとか。
さく:…そんなの…私すぐ顔真っ赤になるから無理だよ。
蓮加:胸もないし。笑
さく:また言ったな〜!
ゴロン
さく蓮加:!!
○○:…ウルサイ……スゥ…スゥ…
ソファの中で寝返りを打つ○○に叱られる
さく:ごめんなさい…ボソ
さくらは○○から離れて蓮加と母親の側に移動した
さく:お兄ちゃんが巨乳好きかなんて分からないじゃん。
蓮加:ないよりかは良いかと。笑
さく:おっぱいなんて脂肪でしょ?デブデブ!
○母:2人共園児みたいな喧嘩しないの。
さく:はい…
蓮加:ママの言う通りこんな喧嘩どうでもいいの。
本題は今までお兄ちゃんが私達を間違える事なかったのに間違えたって所!
さく:寝ぼけてただけでしょ?
蓮加:確かにその時お兄ちゃんの頭が回転してたかは分かんないけど、理由は多分違う。
そうでしょママ?
○母:…なんでそう思うの?
蓮加:お兄ちゃんに抱きつきに行った日、いつもと違う事が1つだけあった…
それは私のパジャマが乾いてなくてさくらのお古のパジャマ借りた事。
さく:!!
蓮加:もしかしてお兄ちゃんって服装とかでしか私たちの事分かってないんじゃないかなって…
さく:…確かにお兄ちゃんって自分でも人覚えるの苦手って言ってた。
○母:……そこまで分かってるのね。
するとソファで寝ていたはずの○○がムクっと起きた
さく蓮加:!?
○○:……そこからは自分の口から話します。
○母:うるさくしちゃったわね…ゴメンね。
○○:いえ…それが嫌ならリビングで寝るなって事なんで別に怒ってませんよ。笑
さく:…お兄ちゃん…私達の事が分からないって…
○○:本当だよ。
相貌失認とか失顔症とか言われてる脳の障害なんだ。
蓮加:いつから?
○○:多分産まれた時から?
さく:じゃあ会った時から…
○○:パーツとしては理解してるけど顔としては認識出来てないかな。
さく:…………
○○:2人ともゴメンね。苦笑
蓮加:別にお兄ちゃん悪くないんだから謝んないでよ。
○○:ありがとう。苦笑
じゃあここで寝るのもアレだしもう部屋いくわ。
蓮加:うん。後で遊びに行く!
○○:今日は流石にゆっくり寝かしてくれ 苦笑
蓮加:仕方ないな…今日だけだからね。
○○:ありがとう。笑
さく:…あッ………
部屋に向かった○○の背中を悲しい顔をしたさくらは何も言えずに見送っていた
蓮加:お兄ちゃんやっぱり凄いよね。
○母:そうね。
さく:え?
蓮加:だってこの前見たいなイレギュラーじゃなければ私達の事分かるんだよ?
○母:本人は慣れって言ってたわよ。
蓮加:慣れか〜。
この前連れてきたかっきーとか柚菜とかも分かってたのもそのおかげなんだ。
○母:女の子はハンドクリームの匂いとか声とかで分かりやすいみたい。
蓮加:じゃあ私とお兄ちゃんでお風呂に入っても胸の大きさで私だって…グフフ
○母:ウチのお風呂はラブホじゃないわよ?
蓮加:ラブホって!!
ママなに言ってるの///
さく:…………
○母:…さくら?
さく:ん?
○母:ずっと無言だから…
蓮加:お兄ちゃんに顔覚えられてないのがそんなにショックなの?
さく:…そんな訳ないでしょ……
蓮加:そうだよね。
顔以外で私と勝負出来る所がない訳ないよね
さく:なに言ってるの…
蓮加:じゃあそんな顔しないでよ!
さくらの何倍もお兄ちゃんの方が申し訳ない顔してたんだから!
さく:…………
蓮加の言葉に居た堪れなくなったさくらは部屋に向かう
蓮加:お兄ちゃんに分からないからってそんな顔で会わないでよ!?
○母:…蓮加さすがに言い過ぎよ。
蓮加:だって…
ナデナデ
○母:さくらの為に強がってたのよね、偉い偉い。
蓮加:…私が気づかなきゃ…お兄ちゃんとさくにあんな顔させる事なかった。
○母:いつかは分かることよ。
蓮加:颯斗さんとか美月さんは知ってるのかな?
○母:颯斗くんには自分から言ったって言ってたし、美月ちゃんも長く一緒にいるから気付いてるんじゃないかな。
蓮加:…ママはいつから知ってるの?
○母:この家に来てすぐに○○が話してくれた。
コンコン
○母が自室で荷物を整理をしているとドアは空いているにも関わらず○○は扉をノックして来ている事を知らせた
○母:散らかっててごめんなさいね。苦笑
○○:いえ…少しお時間ありますか?
○母:どうしたの改まって。
○○:…父さんから俺の事どこまで聞いてるか気になって。
○母:どこまで…名前とサッカーが上手いって所ぐらいかしらね。
○○:…そうですか。
○母:後は少しおバカな所ね。
○○:それは…勉強頑張ります…
○母:頑張らなくて良いわよ。笑
○○:え?
○母:ウチは元々放任主義なの、だから蓮加もさくらも○○に負けす劣らずバカだから。笑
とはいえ流石に卒業出来るだけの学力は欲しいわね。
○○:苦笑
○母:私はね娘達そして○○には家族と友達だけは何があっても信じて守ってあげられる子になってくれれば良いの。
○○:……良い母親ですね。
○母:なに他人事みたいに言ってるの!
○○も今日から私の息子よ?
アナタのお母さんとして出来る事はなんでもやるつもり。
だからなんでも気にせず言ってね。
○○:……じゃあ1つだけ、実は俺…
蓮加:ママ私達の事バカって言った。
○母:現にバカでしょ?
蓮加:…自分で思うのと人に言われるのとではうんれいの差なの!
○母:うんでいね?
蓮加:……伝わればどっちでも良い!
○母:やっぱりおバカね 笑
さく:顔が分からないぐらいで動揺して…そんな私がお兄ちゃんになんて声掛けれるんだろう…ボソ
○○の部屋の前で悶々としていると
蓮加:何してるの?
自分の部屋に戻って来た蓮加と遭遇した
そして、さっき言われた事を思い出す
さく:いや…
蓮加:お兄ちゃんに会いにいくんでしょ?
さく:…………
蓮加:…ハア…じゃあこれ着てお兄ちゃんの部屋行ってみて。
蓮加はその場で脱いだ上着をさくらに手渡した
さく:これ?
蓮加:うん。
さく:でも…
蓮加:さくはお兄ちゃんの事信じてないの?
さく:もちろん…信じてる。
コンコン
○○:はい。
ガチャ
さくらは何も発さずに○○の隣に座る
○○:…どうした、さくら。
さく:分かるんだ///
○○:なんだよ俺の事試したのか?苦笑
さく:違う!
ただ…お兄ちゃんに見えてた私が私なのかなって…
○○:バカにすんなよ?
1年も一緒にいれば分かるわ。
さく:じゃあなんで前にさくと蓮加間違えたの?
○○:あれは…冗談抜きで寝ぼけてたのと蓮加が風呂上がりのせいで匂いも分かりづらくてさ…2人とも同じシャンプー使ってるだろ?
さく:だから私のパジャマだけで判断したんだ…
○○:まぁ俺からしてもレアパターンだよ。
さく:蓮加の事だからその時抱きつかれてたんでしょ?
○○:確か…そうだったような…
さく:じゃあ、胸では分かんなかったって事だよね!?
○○:…確かに!その判別方法もあったわ!
バチン
○○:しゅびばしぇん
さく:もう…
○○:でも…さくらは仕草とかがすごく可愛いから分かりやすいよ。
さく:また殴られると思って気遣ってない?
○○:まぁ…多少は…
さく:プクッ
○○:でも本当に可愛いとは思ってるよ。
今も顔真っ赤にしてるのとか分かりやすい所とかね。
さく:それはバレちゃうんだ///
○○:色としては認識してるから。
さく:逆に蓮加はどうやって分かるの?
よく一緒に寝てるんでしょ?
○○:寝てるって言葉だけだと語弊ありそうだけど、まぁ潜り込まれてはいるね。
さく:蓮加があんなに積極的なの希少なんだよ?
○○:なんかそれ蓮加自身でもそれ言ってたな。
勝機がないとこんなに私攻めないんだよって
さく:もうそれは告白だね 笑
○○:そうなんだよ…
最近の蓮加はそういうところで分かるかな。
俺の事、兄として見てない所っていうか…
さく:………それって要するに?
○○:異性として見られてる気がする。
さく:……そっか…蓮加の気持ちには気付いたんだ…
○○:その言い方…やっぱり間違いじゃないんだ。
さく:お兄ちゃんは蓮加の気持ちにどうするの?
○○:もちろん、真剣に考えるよ。
さく:それなら蓮加も嬉しいと思う。
○○:…それでさくらは?
さく:私!?
○○:さっき蓮加の気持ち"には"って言ってたからもしかしたら、さくらも…
さく:いや…私は…
○○:そうだよな。
ごめん流石に自意識過剰だった。苦笑
さく:………
ガチャ
蓮加:遊びに来たよ〜
○○:結局来たのかよ 笑
蓮加:本当は来て嬉しいくせに!
○○:来るなって言う約束は守ってくれなかったけどな。苦笑
蓮加:それならさくらはいいの?
○○:もちろん。
蓮加:贔屓だ贔屓!
○○:蓮加とさくらじゃ来る頻度が違うんだから当たり前だろ。笑
2人が楽しそうに会話してるのを見て心が痛くなったさくらの中で何かが吹っ切れた
ドン
○○:ウワッ…
蓮加と会話中だった○○を、ベッドに押し倒してその上から被さるように抱きしめた
ギュ〜
○○:…ゥウ…
さく:///
蓮加:積極的〜
○○:おも…
それ以上の言葉を言わせない為にさくらは○○の口を塞いだ
チュ
○○:!!
さく:///
蓮加:さくら!!
さく:…プハ……なに///
蓮加:やるね…笑
さく:蓮加に負けてられないからね。
蓮加:じゃあ私は…
パジャマとインナーの裾を待ち始めた蓮加が見えて○○は焦ったような顔をしながら
○○:ストップ!スト〜ップ!
蓮加:なに!!
○○:あの…好きになられるのは嬉しいんですけど…
俺の感情無視で話し進めるのヤメない?
蓮加:お兄ちゃんの感情なんて関係ない!
○○:へッ?
さく:そうだそうだ!
私知ってるんだから、かっきーとキスした事!!
○○:いきなり何の話し!
ってかそれをどこから!?
さく:颯斗さんが教えてくれた。
○○:あのヤローなんて事を!
さく:……お兄ちゃん颯斗さんに怒れる立場にいると思ってる?
○○の目の前にある口は笑っているが目は死んでいた
パーツで判断すると……さくらは確実に怒っている
○○:あ…あれは事故みたいなモノで…
(さくら怖い…)
さく:酷い!
かっきーの恋心を事故で片付けようとした!……それ学校で言いふらすよ?
○○:いや………それは言葉の綾と言うか…
すみませんでした!
蓮加:もう私達分かったの。
お兄ちゃんにはこれぐらいの事しないとダメだって。
さく:お母さんがエッチまでは良いって言ってたし///
○○:なにそれ!マジ?
蓮加:なんか条件あったけどOKらしい。
○○:そのなんかって何!?
さく:えっと……確か子作りNG。
だから…ゴムすれば出来るよね///
○○:いやいや、あのお母さん流石に放任過ぎだろ!
蓮加:この家壁薄いから声は抑えてね///
さく:私は…声抑えるの…無理かも///
○○:…何その突如として現れた制限……
ってか……ゴクッ…女子にこれ聞くのナンセンスだと思うんですけど…さくらは経験者なんですか?
聞く内容が聞く内容なだけに敬語になる○○
さく:初めて///
○○:じゃあ…声抑えるの無理ってどっからの経験談!?
さく:イメトレ?
○○:イメ…トレ……蓮加…今のさくら怖い…
蓮加:欲を溜めさせたお兄ちゃんが悪い。
○○:………これは夢だ…寝よう。
さくらをどかして毛布を胸まで掛けるが
さく:寝させるか〜
ギュ〜
○○:…ウギュ……
蓮加:私も便乗しちゃお!
ギュ〜
○○:…ゥウ……
もう何かしらの結論を出さないとこの2人は寝かせてくれないらしい
○○:こんな抱きつかれてもしないよ?
まず……ゴム無いし。
蓮加:買ってこよっか?
○○:いや…もうね…ほら…夜も遅いし。
さく:大丈夫だよ///
……そんな事もあろうと私なんと未開封のゴム部屋にあります!
蓮加:お〜!パチパチ
○○:なんで持ってんの!!
さく:なんで…イメトレの産物?
○○:どんなイメトレなんだ…逆に興味湧いてきた…ボソ
さく:お兄ちゃんこれでもう逃げられないよ?
蓮加:今日は寝かせないからね///
○○:///
○○は自分をこんなに好きになってくれた2人に男として向き合う覚悟を決めた
○○:分かったよ…
でも、俺も経験ないから文句言わないでよ?
さく蓮加:うん///
ガチャ
朝日がその扉から入り○○の顔に当たる
○母:起きてる〜?
○○:…はい…でも死んでます。
○母:元気ね。
○○:人の話し聞いてますか〜。
○母:2人相手に出来るぐらいなんだから元気でしょ?
○○:!!
○母:声ダダ漏れだったわよ。
○○:……恥ずかしいんで記憶から消して下さい///
○母:そうしてあげる。笑
それにしても防音リフォーム考えないとそろそろダメそうね。
ガチャ
○○:…何を確認しに来たんだ母さんは!!
そう叫んでも毛布に包まりながら幸せそうな顔で寝ている2人は起きる事はなかった
蓮加:…モゥ…ムリ…スゥ…スゥ…
さく:…○○…スキ…スゥ……
分からないはずのその顔は○○にも伝わっていた
○○:気持ちよさそうに寝やがって///
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