“初心者クリエイター歓迎!”U-18アーティストコンテスト受賞者と審査員が語る「コンテスト応募のコツ」
「描いている途中自信が持てなくて、100回くらい止めようと思ったけど、最後まで描き切ることができました。振り返ってみて、ダメ元で応募してみて良かったと思っています。」
そう話すのは、デジタルハリウッド大学1年生の茅原 柚乃(かやはら ゆずの)さん。彼女はデジタルハリウッド大学(以下:DHU)主催のU-18アーティストコンテスト2021のイラスト部門で、優秀賞を受賞しました。
茅原さんにとってはアティコンが、初めてエントリーしたコンテストだったそうです。そんな茅原さんと、コンテストの応募経験が豊富なDHU2年生の河尻 日菜(かわじり ひな)さん、1年生の 波多野 涼(はたの りょう)さんが集まり、2022年6月21日にトークセッションを開催しました。
「コンテスト応募のコツ」と題し、作品審査にも携わっている小倉 以索(おぐら いさく)先生、株式会社パルミーの滝澤 順(たきざわ じゅん)さんを交えたイベントの様子をお届けします。
ひとりで黙々と作業/グループで作品づくり
——まずは皆さんがどのような高校生だったかお伺いします。部活動や制作活動について教えてください。
波多野:映像制作を始めたのは小学4年生のころで、そこからクリエイティブ系の職業に就きたいと思うようになりました。
コンテストにエントリーするようになったのは、中学生のとき。そこでデジタルハリウッドに関係する方が審査員をされていて、DHUに憧れるようになったんです。高校時代は軽音部やヨット部などの部活をしたり、個人制作では3ヶ月に1本くらいのペースで作品を作ったりしていました。2022年4月にDHUに入学し、現在は主に3DCGや映像について学んでいます。
茅原:わたしも同じく1年生で、3DCGやイラストを勉強中です。幼稚園のころから絵を描くのは好きでしたが、本格的に取り組むようになったのは中学生からです。親のiPadを借りて、デジタルで描くことの楽しさを知りました。
高校生になって美術部に入りイラスト制作は続けていましたが、美術の授業はなんだか苦手で成績はあまり良くなくて.....(笑)。
もっとイラストの勉強をしたかったので、進学先としては専門学校も考えていました。でもDHUでは、イラストだけでなく3DCGやその他の分野を好きなだけ学べる。そこに魅力を感じて第一志望にしました。
河尻:わたしは2年生で、映像をメインに勉強しつつ、アニメーションの分野にも力を入れています。小学6年生のときにスマホを買ってもらって、画面の中でイラストを動かしたいと思ったのが、映像制作を始めたきっかけでした。
高校では美術部と、インフォメーションデザイン部を兼部していました。インフォメーションデザインは情報をわかりやすく伝えるために視覚化するという意味で、とにかく自由に作品を作れる部活でした。
グループ制作でアプリ開発をし、その成果をポスターにまとめてイベントでプレゼンをしたこともあります。個人制作とグループ制作を行ったり来たりする感じでしたね。
もともと芸大への進学を考えていましたが、ちょっと違和感があって。結果的にDHUを受験することを決めました。同じ高校の部活の先輩がDHUの1学年上にいるので、その影響もあったと思います。
アイデアを思いつくだけ書き出してからテーマを絞る
——皆さんがアティコンを知ったきっかけは?
波多野:もともとDHUを目指していて、資料請求をしたらアティコンのチラシも同封されていたんです。中学時代から他のコンテストにもエントリーしていたので、アティコンへのエントリーそのものには抵抗はありませんでした。
それまであまり良い結果が出ていなかったこともあり、志望校のコンテストでリベンジしたい!という気持ちもありました。
河尻:わたしは他のコンテストにも頻繁に作品を出していて、コンペナビや登竜門(コンテスト情報サイト)などを見ている中で、発見したのがDHUのアティコンでした。
茅原:わたしも波多野さんと同じくDHUを志望していたので、大学に関する情報を集めているときにアティコンを知りました。
アティコンがわたしにとって初めてのコンテストだったので、イラストを描いている途中で100回くらい止めようと思いました。でもDHUが第一志望だったこともありダメ元で応募したら、賞をいただけたんです。
——「アティコンにエントリーしよう」と決めてから、どのようにして制作を進めたのかも教えてください。
茅原:実はアティコンを知ったのは締切の5日前。タイトなスケジュールの中で、約20時間かけて完成させました。まずはラフをばーっとたくさん描いてから、自分が良さそうと思ったものをピックアップし、クリスタ(CLIP STUDIO PAINT)で清書をしました。
それまでは自分の好きなように描いていましたが、今回はコンテストに出すため、おそらくいろいろな人に見ていただくことになる。学校で友だちに見せるのとは違って、その場で作品について説明することはできない。だから、他の人が見ても分かりやすい作品であることを一番に意識して制作に臨みました。
河尻:コンテストに出すときはいつも、自分の中でテーマを確定させてから必ず制作するようにしています。そうしないと作っている途中で完成形のイメージがブレてしまうので。
今回の作品の場合は、撮りためていた映像素材から作品のテーマを考えました。AviUtlという無料の映像編集ソフトを使って、完成まで1〜2週間くらい。
普段から「あ、ここいいかも」と感じた場所を、思いついたたままにスマホをカメラにして収めています。
波多野:僕もコンテストに出す作品なら、テーマを決めてから作業に取り掛かるようにしています。アティコンに提出した作品の撮影は1日で終えて、編集は2〜3週間かかりました。2回くらいボツにして、作っては見直して壊すを繰り返したら、思ったより制作期間が伸びてしまったんです。
編集ソフトは河尻さんと同じようにAviUtlでしたが、実写の被写体の動きに合わせて図形を追跡させるために、Adobe After Effectsを使うこともありました。
わかりやすさを追求するか、独自のテーマ性で引き込ませるか
——ここからは審査員の方も交えて、作品の解説やコンテスト審査員の目に留まるコツなどをお話できればと思います。
波多野:僕の作品はモーショングラフィックスというジャンルで、可愛い色の図形が音と映像に合わせて飛び回っていきます。アティコンでグランプリをいただいた作品のテーマは、僕を育ててくれた地元の「高浜町」です。
審査員・小倉先生:波多野さんがおっしゃったように、リズムとモーションの動きが合っていて、見ていて気持ちが良いんですよね。引き込まれてしまう作品でした。
波多野:映像とモーショングラフィックスが調和し、作品自体に爽快感が出ることは制作時に意識していたので、こだわったところを評価していただいて嬉しいです。
茅原:わたしは、DHUが掲げている「みんなを生きるな。自分を生きよう。」というタグラインがすごく素敵だと思っていて、それをテーマにオリジナルのイラストを作成しました。
審査員・滝澤さん:この作品を見て、最初に「非常に伝わりやすい作品だな」と感じました。わたしは絵をいかに伝えやすくするか、を考えるためには、次の7つのポイントがあると考えています。これらを考慮した上で茅原さんのイラストを見てみると、どれも明確になっていると思います。
審査員・滝澤さん:手前にあるトロフィーや衣装から、今までどんな生活を送っていたか想像ができますし、鏡の向こうにはキャラクターの真の願いが描写され、「みんなではなく、自分を生きる未来」を感じさせます。細かい部分が丁寧に作り込まれていて、描いてあるものすべてに意味がある。見れば見るほどに発見がある素敵な作品です。
河尻:わたしは近所の景色や自分の通学路などをコラージュ風に組み合わせて、「森羅万象」をテーマに映像を作りました。一般的に森羅万象という言葉は、大自然や宇宙などを連想する単語かもしれませんが、今回は「わたしが普段目にしている世界のすべて」を森羅万象と捉えて制作しました。
小倉先生:初めて見たときは正直わけがわからなくて(笑)、別の人の作品をどんどん見ていったのですが、なんだか忘れられなくて。ちょっと待てよ、もう一回見てみようと思ってしまう作品でした。作った人はどんなことを伝えたくてこのアウトプットにしたんだろうと、その世界観に引き込まれたんですよね。
皆さんの作品を見ていると、わかりやすい作品もあれば、一見わかりにくくてもテーマ性で引き込まれる作品もある。その人なりのオリジナリティーや世界観など、見た人を魅了する仕掛けがあると、満足のいく仕上がりになるのではないかと思います。
審査員・滝澤さん:私たちパルミーが提供する「お絵かき講座パルミー」や「お絵かき図鑑」では、人物の描き方、クリスタの使い方を絵師やプロのイラストレーターの先生から学べます。アティコン応募を検討されている方はこちらもぜひ参考に、表現力を磨いてみてください。
▼YouTube「お絵描き講座パルミー」講座集
▼SNSでも話題!お絵かき系Tips集「お絵かき図鑑」
【アフタートーク】アティコンを終え、DHU生になった今
アティコン受賞者と審査員を交えた約1時間のトークイベント。終了後、DHU note編集部が3名の在学生を改めて直撃しました!
——イベントの登壇お疲れさまでした。
河尻:お話しできて楽しかったです!
茅原:こういったイベントで話すことは初めてだったので、今はちょっとホッとしています。
波多野:僕も緊張しました。
——ここからはアフタートークということで、アティコンの話だけでなく大学生活についてもお聞きしたいです。
茅原:DHUでは、今までやってこなかったようなAdobe IllustratorやPhotoshopなどのツールを使ったり、哲学チックなデッサンの授業もあったり。新しいことがたくさんできて面白いです。
波多野:僕はVFXのサークル活動に力を入れていて、製作総指揮と3Dモデラー、VFXアーティストなどを兼務しています。入学前は1年ごとに数本しか映像を作っていませんでしたが、今は周りの技術力の高い学生が毎日作っているのに触発されて、僕も日々何かしらの編集作業やCG制作などをしています。
河尻:印象的なのは、1年生のときに参加した企業ゼミ(学内でインターンシップと同じような就業体験ができるキャリア科目)です。Sony Startup Acceleration Program(ソニー、東京大学、東京藝術大学、DHUによる社会連携講座)のワークショップに参加をし、自分が起業するならどういうことがしたいか、グループの中でアイディアを出し、プロトタイプを制作し、プレゼンをしました。
DHU生だけでなく、他大学の学生と一緒にグループワークができたので、「え、そんな視点もあるんだ!」と新たな刺激を受けて面白かったんです。
——皆さんそれぞれの場所で作品づくりを楽しんでいるんですね。作品と向き合う中で、大変なことはありませんか?
茅原:たくさんあります。色の塗り方や構図など全部ダメだと思うときもありますし、やっぱり大元のテーマを決めるのが大変ですね。たとえばアティコンは静止画か動画ならなんでもOKという感じなので、どんな方向性にするか一番時間がかかりました。
波多野:僕の場合は慣れないツールを使おうとすると時間がかかってしまいます。新しい表現方法にチャレンジしたい、もっと効率良く編集したいと思って別のツールに手を出しても、最初のころは全然うまくいかない。慣れるまで頑張るしかないのですが、つい馴染みのあるツールを使ってしまいます。
河尻:確かに、新しいツールって慣れたら楽しいんですけど、使い始めはつらいですよね。アニメ制作の授業を受けたときも普段やらないことばかりでした。感覚的にできるようになるまではいつも大変です。
ただ課題をこなしていく上で、確実にできることが増えている実感があるので、新しいことにはチャレンジしてみたいと思っています。
18歳以下のクリエイターの皆さんへ
——最後に、アティコンへのエントリーを考えている18歳以下のクリエイターの皆さんへ、メッセージをお願いします。
波多野:アティコンに限らずコンテストへのエントリーとを考えたとき、どう評価されるか、どうしたら伝わるかなど、普段とは違う考え方で制作ができるのでとても良い経験になります。
エントリーすることさえ迷ってしまうかもしれませんが、作品を出したことで失うものはなく得られるものばかり。現時点で持っている技術を全て出しきるつもりで、挑戦してみてください!
茅原:わたし自身もエントリーをするか迷っていましたが、とりあえず出してみてよかったと思っています。参加するだけでCLIP STUDIO PAINT DEBUTがもらえる!というのも嬉しいですよね。是非チャレンジしてみてください。
河尻:わたしもとりあえず出してみるのはアリだと思います!ダメだったとしても、たぶんこれがいけなかったのかなと振り返ることができて、次の制作につなげられます。
いろいろなコンテストにエントリーしてきましたが、落選したら反省し、受賞したら自信につなげて今に至ります。ダメ元でも、とりあえずエントリーしてはいかがでしょうか?
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デジタルハリウッド大学は、個人や仲間と一緒に様々な作品を生み出す、18歳以下の皆さんを応援しています。アーティストコンテスト2022の募集締切日は、7月15日。皆さんのエントリーをお待ちしております!
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