2023年12月11日、日本株式市況
11日の東京株式市場で日経平均株価は3営業日ぶりに反発し、終値は前週末比483円94銭(1.50%)高の3万2791円80銭だった。8日発表された11月の米雇用統計を受け同日の米株式市場で主要株価指数が上昇したほか、円高進行も一服したことから東京市場でも幅広い銘柄に買いが入った。日経平均の上げ幅は一時600円を超えた。
11月の米雇用統計の堅調な結果を受けて米景気の軟着陸(ソフトランディング)期待が高まった一方、米連邦準備理事会(FRB)が一段と金融引き締めをするほどではないと受け止められた。米株式市場でダウ工業株30種平均が年初来高値を更新したことで投資家心理が上向いた。
外国為替市場で前週末夕に比べて円安・ドル高が進み1ドル=145円台まで下落したことも支えとなった。機械や半導体関連株などに押し目買いが入り、指数を押し上げた。ただ、買い一巡後は週内に米連邦公開市場委員会(FOMC)や欧州中央銀行(ECB)理事会を控えていることなどから伸び悩んだ。
東証プライムの売買代金は概算で3兆4572億円、売買高は15億5571万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1416。値下がりは212銘柄、変わらずは32銘柄だった。
11日の国内債券市場で長期金利の上昇(債券価格の下落)が一服している。指標となる新発10年物国債の利回りは前週末比0.005%高い0.775%をつけた。米連邦準備理事会(FRB)による早期の利下げ観測が後退し、日本の長期債には売りが先行。だが、このところの利回り上昇を受けて相場の押し目とみた買いが次第に増えた。
長期金利は午前に一時0.800%まで上昇した。8日発表された11月の米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を上回り、失業率は前月から低下した。労働市場の引き締まりを映す結果だったとの受け止めからFRBの早期利下げ観測がやや後退。米長期金利が上昇し、国内金利の上昇圧力となった。
長期金利の上昇の勢いは限られた。7日に日銀の植田和男総裁が「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と述べ、市場では年内のマイナス金利政策の解除を織り込む動きが活発化しつつある。だが、8日付の日本経済新聞電子版は日銀関係者の話として「政策的なものを意図しての発言ではない」などと伝えたことで早期の政策修正観測が一服し、国内債の買いを誘った。
超長期債利回りも上昇幅を縮めている。午前に一時1.575%と11月14日以来およそ1カ月ぶりの高水準をつけた新発20年物国債の利回りは前週末から横ばいの1.540%で推移している。新発30年債利回りは同0.005%高い1.755%で取引されている。債券先物相場は3日続落し、中心限月の12月物は同3銭安の145円75銭で取引を終えた。
<2427> アウトソシング 1453.5 +300
ストップ高比例配分。MBOの実施を発表。米投資ファンドのベインキャピタルが来年1月下旬をめどに1株1755円でTOBを行う計画。TOB価格は先週末終値に対し5割強のプレミアムとなっており、TOB価格にサヤ寄せする動きとなった。M&Aによる事業拡大で経営管理が難しくなっているため、非公開化で効率化を急ぐもよう。創業者の土井社長はTOBに応募した上で、非公開化後に5%を上限に再出資するもよう。
<9678> カナモト 2846 +264
急伸。先週末に23年10月期決算を発表、営業益は120億円で前期比9.6%減となり、12月1日に下方修正した水準で着地した。一方、24年10月期は141億円で同17.9%増と2ケタ増益を見込み、安心感につながった。また、発行済み株式数の2.50%に当たる90万株、20億円を上限とした自社株買いの実施も発表。取得期間は12月11日から24年8月30日まで。需給面の下支え材料としてポジティブ視。
<3498> 霞ヶ関キャピタル 7130 -1500
ストップ安比例配分。135万株の公募増資、20万株の株式売出、23万2500株を上限とするオーバーアロットメントによる売出を実施すると発表した。発行済み株式数は最大で19.3%の増加となる。株式価値の希薄化や目先の需給悪化を警戒する動きが優勢となった。調達資金は主に、不動産コンサルティング事業における開発用地取得資金及び開発資金、並びに、海外事業に係るレジデンス物件取得資金に充当するもよう。
<3193> 鳥貴族HD 3335 +501
ストップ高。先週末に第1四半期の決算を発表、営業利益は7.5億円となり、前年同期0.6億円から急拡大する形になっている。据え置きの上半期計画9.8億円、前年同期比2.7倍に対する進捗率は76.9%の水準に達している。想定以上の好進捗として業績上振れが意識される状況となっているもよう。客数増を中心とする既存店売上高の順調な拡大でコスト増を吸収する形に。
<3843> FB 1333 +210
急騰。先週末に上半期決算を発表、営業利益は30.7億円となり、通期予想は従来の50億円から55億円に上方修正している。MVNO向け支援事業の規模拡大に加え、企業・クリエイター5G DX支援事業におけるアフィリエイトサービスの顧客獲得、5G Homestyleのサービス提供戸数の順調推移などが背景。また、未定としていた年間配当金は前期比19円増の27円とすることも発表している。
<4382> HEROZ 1575 +300
ストップ高。先週末に上半期決算を発表、営業利益は2.5億円で前年同期比6.7倍となり、第1四半期0.7億円との比較でも8-10月期は大幅増益になった。据え置きの通期計画4億円は上振れ推移との見方が優勢に。AI/DX事業では、顧客獲得活動が功を奏しBtoBが大幅増収、BtoCも将棋ブームを追い風に成長。AI Security事業も、顧客数が継続的に増加して売上は堅調に推移しているようだ。
<2163> アルトナー 1978 +252
急伸。先週末に第3四半期決算を発表、累計営業利益は11.7億円で前年同期比25.0%増となり、通期予想は従来の13.3億円から15.3億円に上方修正した。技術者単価の上昇や新卒技術者の前倒し配属の影響などが上振れ要因、今後も、来期に向けて引き続き技術者要請が高まっていくと想定しているようだ。また、年鑑配当金も従来計画の69.5円から75円に引き上げ、前期比では15円の増配となる。
<3903> gumi 395 -6
大幅続落。先週末に上期決算を発表、営業損益は19.7億円の赤字となり、前年同期比23.9億円の損益悪化。8-10月期も13.2億円の赤字で、第1四半期から赤字幅は拡大。モバイルオンラインゲーム事業では8月配信の「アスタタ」の収益が想定を下回ったほか、ブロックチェーン等事業は引き続き先行投資が続いた。なお、有力アニメIP案件は順調に開発が進捗、25年4月期以降の収益貢献を見込むもよう。
<3662> エイチーム 583 -52
大幅続落。先週末に第1四半期決算を発表、営業損益は1.7億円の赤字となり、前年同期比3.8億円の損益悪化となっている。据え置きの通期計画6億円の黒字、前期比10.3%増に対して、想定以上に低調なスタートと捉えられている。送客制限の影響と自動車関連事業の広告宣伝費増加でライフスタイルサポート事業が減益となったほか、既存タイトルのダウントレンドによってエンターテインメント事業の損失幅も拡大。
<1433> ベステラ 1067 +67
大幅反発。先週末に第3四半期決算を発表、累計営業利益は1億円で前年同期0.07億円から急拡大、上半期は赤字転落で通期予想を大幅下方修正していたことから、想定以上の収益改善と捉えられている。工事受注量の増加によって大幅増収、第3四半期会計期間、累計期間ともに過去最高売上高となっているようだ。電力・製鉄・石油業界で大型工事の受注があり、受注残高も高水準のもよう。
ハイレックス<7279>が発表した2023年10月期業績は、売上高が前期比16.8%増の2986.23億円、営業損益は29.80億円の黒字(前期は48.56億円の赤字)だった。半導体の供給不足の緩和等に伴う自動車メーカーの生産増加に伴い、米国・韓国・日本を中心に中国を除くセグメント全般において前年同期比で伸長した。24年10月期業績は、売上高が前期比1.5%減の2942億円、営業利益は同51%増の45億円を計画。
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