2023年11月16日、日本株式市況
16日の東京株式市場で日経平均株価は4営業日ぶりに反落し、前日比95円29銭(0.28%)安の3万3424円41銭で終えた。前日まで日本株の上昇が続いたため、短期的な過熱感を意識した売りが優勢だった。ただ、前日の米株高や円安・ドル高を背景に主力銘柄の一角には買いも入り、下げ幅は限られた。
前日まで日経平均は3日続伸し、15日は今年最大の上げ幅となっていた。きょうは主力の半導体関連を中心に利益確定売りが出やすかった。16日にアジア株や米株価指数先物が軟調に推移したことも日本株の重荷となった。午前に下げ幅は200円を超えた。
午前には上昇する場面もあった。前日の米株式市場で主要株価指数が上昇したことが追い風になった。外国為替市場で前日に比べて円安・ドル高が進み、自動車など輸出関連の一角に採算改善を意識した買いが入ったことも支えになった。午後にかけては下げていた主力の半導体関連に買いが入り、日経平均は下げ幅を縮小した。
東証プライムの売買代金は概算で3兆7183億円。売買高は14億5188万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1210と、全体の約7割を占めた。値上がりは410、変わらずは39銘柄だった。
16日の国内債券市場で長期金利の指標である新発10年物国債の利回りは前日を0.005%下回る0.785%に低下(価格は上昇)した。米国の追加利上げ観測の後退を手掛かりに、国内債にも買いが優勢となった。
10月の米小売売上高が市場予想を上回り、15日の米長期金利は上昇したため、国内債にも売りが先行した。国内長期金利は0.800%へ上昇する場面もあった。
米国の物価指標は鈍化を示しており、米利上げ終結との見方は根強い。日本時間16日の取引で米長期金利が15日からは低下すると、国内債にも徐々に買いが入った。
先物中心限月である12月物の終値は前日比8銭高の145円33銭と3日続伸した。財務省による16日の残存期間「1年超5年以下」の国債を対象とした流動性供給入札は「無難な結果」(国内証券ストラテジスト)との受け止めがあった。
超長期債の利回りは上昇し、利回り曲線(イールドカーブ)は右肩上がりの傾きが急になるスティープ化した。30年債利回りは0.015%高い1.715%、20年債は0.010%高い1.515%にそれぞれ上昇した。
<7839> SHOEI 1877 -57
大幅続落。前日の取引時間中に決算を発表、その後急落したが、本日も引き続き売り優勢の展開になった。23年9月期営業利益は98.3億円で前期比17.2%増となったが、従来計画の114億円は下振れた。年間配当金も76円から66円に減額。24年9月期は96.3億円で同2.0%減と減益予想で、配当金も減配を見込む。保守的な傾向はあるものの、実績値の下振れなどもあって、ネガティブな反応が強まったもよう。
<2168> パソナ 1888 +146
大幅続伸。前日はエムスリーが実施する子会社ベネフィットワンのTOB応募発表が好材料視されてストップ高比例配分となっていた。本日も引き続き事業の再編を評価する動きが優勢となっているようだ。保有する全株51.16%の株式を応募予定で、全株が売却できることにはならないだろうが、売却資金による特別配当や自社株買いなどの株主還元拡充を期待する動きが強いようだ。
<3918> PCI-HD 995 +55
大幅続伸。前日に中期経営計画を発表しており、数値目標として、26年9月期営業利益27.5億円目標などを掲げた。10日の決算発表で24年9月期の減益見通し(営業利益15.1億円で前期比11.7%減)を公表し、その後株価が急落しただけに。先行きの収益改善見通しを見直す動きが強まる形になったようだ。また、発行済み株式数の1.98%に当たる20万株、2億円を上限とする自社株買いの実施も発表。
<2424> ブラス 703 +50
大幅続伸。前日に自己株式の取得実施を発表している。発行済み株式数の5.5%に当たる30万株、2億円を取得上限としており、取得期間は11月16日から24年4月22日まで。割安と考える水準で推移している株価動向と財務状況等を総合的に勘案し、将来の機動的な資本戦略に備えて実施するとしている。株価が安値圏にある中で今後の需給改善を期待する動きが優勢となっている。
<7201> 日産自 608.7 +16.2
大幅反発。前日に仏ルノーでは、EVの新会社「アンペア」を24年前半に上場すると発表している。アンペアには同社が最大6億ユーロを出資、上場による含み益拡大や成長加速化などを期待する動きが優勢になっているようだ。なお、アンペアは2031年に売上高250億ユーロ超、営業利益率10%超などを目指すとしており、同社の小型車「マイクラ」の後継車なども生産する予定となっているもよう。
<4987> 寺岡製 616 +45
大幅続伸。同社ではMBOの実施を発表しており、10月31日から12月13日までがTOB期間となっている。そのため、TOB価格564円にサヤ寄せする動きが足元で続いていたが、旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスが前日に大量保有報告書を提出している。8日時点で保有比率が5.78%に達しているもよう。今後、TOB価格の引き上げにつながるなどの思惑が高まる状況ともなっているようだ。
<2762> SANKO 154 +11
大幅続伸。前日に株主優待制度の変更を発表している。これまでは、同社店舗で利用できる30%割引券及び「東京チカラめし」カレーを贈呈していたが、今後は店舗割引券に加えて、海鮮せんべい、海鮮瓶詰商品など全国の水産物に特化した商品ラインナップに変更していく。保有株数に応じて対象商品は広げていくようだ。会社側の試算では、5000株以上保有の株主の優待利回りは9.59%となるもよう。
<4287> ジャストプラ 347 +36
急伸。前日に自己株式の取得実施を発表している。発行済み株式数の7.85%に当たる100万株、3億円を取得上限としており、取得期間は11月16日から24年10月31日まで。資本効率の向上と株主への利益還元及び将来の機動的な資本政策を可能とすることを取得目的としている。これまで、少なくてもここ数年は自社株買いの実績はなかったとみられる。高水準の自社株買いによる需給改善を期待する動きが先行。
<3050> DCM 1207 +35
大幅続伸。イオンが同社株式を46億円で取得すると発表。DCMによるケーヨーへのTOBに応じ、売却で得た同額分のDCM株を取得するもようだ。現在同社株の4.23%を保有し第4位の大株主であるが、売却資金を得た後に市場で追加買い付けを行うもよう。出資比率は約7%となり第3位株主に浮上する見込み。イオンでは「3社の提携関係を維持するため」としている。目先の需給改善期待へとつながっているようだ。
<6098> リクルートHD 5114 +439
大幅続伸。米投資ファンドのバリューアクト・キャピタルが、同社株式を取得したことが分かったと伝わっている。その後、バリューアクトでは株式1800万株超を取得したとする声明を発表している。「リクルートの資産は現在の株価の2倍の価値があると考えている」などとも指摘しているようだ。株式価値を見直す動きへとつながる格好に。なお、大和証券では決算を評価して目標株価を引き上げてもいるようだ。
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