2023年11月28日、日本株式市況
28日の東京株式市場で日経平均株価は小幅続落し、前日比39円28銭(0.12%)安の3万3408円39銭で終えた。前日の米株式相場が小幅安で終えたほか、外国為替市場で円相場が円高・ドル安方向に振れたのが輸出関連株の重荷となった。一方、海外勢による日本株の買い意欲は根強く、日経平均は上昇する場面もみられた。
最近の日経平均は取引時間中に7月3日の年初来高値(3万3753円33銭)を試しながらも、高値警戒感を意識した売りに押されて失速する日が目立っていた。きょうも朝高後まもなく下げに転じ、国内機関投資家などによる利益確定売りがやや強まったことで午前の日経平均は一時150円近く下げた。
円相場が1ドル=147円台に一時上昇し、デンソーやトヨタなどが売りに押された。
もっとも、ここまで大きく上昇してきた相場の方向性を変えるほどの売り材料もないなかで、売り急ぐ展開にもなりづらかった。ファストリやレーザーテクなど値がさの主力株は堅調に推移した。
東証プライムの売買代金は概算で3兆3462億円。売買高は13億1365万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は635と、全体の約38%だった。値上がりは970、変わらずは54銘柄だった。
28日午後の国内債券市場で長期金利は低下(債券価格は上昇)した。指標となる新発10年物国債は前日比0.020%低い0.750%で取引されている。27日の米長期金利が低下し、国内債には買いが入った。
利回りは低下幅を縮める場面もあった。28日実施の40年債入札が投資家の需要が乏しい弱めの結果と受け止められ、超長期債を中心に一時は長期債にも売りが増えた。
財務省が28日に実施した40年債入札(16回リオープン、表面利率1.300%)は応札額を落札額で割った応札倍率が2.21倍だった。前回9月26日(2.95倍)を下回り、2007年に40年債入札が始まって以降で4番目の低さとなった。
最高落札利回り(複利ベース)は1.8100%と13年8月以来10年3カ月ぶりの高水準で、日経QUICKニュースが締め切り直後にまとめた市場予想の上限(1.805%)を上回った。市場では「弱めの結果だった」(国内証券の債券ストラテジスト)との声が多い。
入札結果の公表後の40年物国債の利回りは一時、前日比0.020%高い1.955%まで上がった。30年債の利回りは同0.020%高い1.720%まで上昇した。
中期債には買いが優勢だった。新発5年債の利回りは前日比0.020%低い0.325%をつけた。新発2年債利回りは同0.005%低い0.055%で取引された。
<8341> 七十七銀 3630 +105
大幅続伸。野村證券では投資判断「バイ」を継続して、目標株価を3600円から4400円に引き上げている。ROE上昇など着実な業績改善を反映しているようだ。また、好調な業績推移と還元強化並びに意欲的な経営姿勢を評価としている。24年3月期純利益は290億円と、修正後の会社計画270億円を上回る水準を予想し、その後も、ボトムライン利益の好調な増加が続いていくとみている。
<6753> シャープ 941.8 -98.7
大幅反落。JPモルガン証券では投資判断を「ニュートラル」から「アンダーウェイト」に格下げしている。目標株価も810円から800円に引き下げ。鴻海との連携可能性は前向き評価だが、業績立て直しには大型ディスプレイの抜本的改革や中小型ディスプレイの販路拡大が進むかが焦点であり、実現のハードルや財務基盤への影響を考えると、慎重に進展を注視する必要があるとの見方。
<3397> トリドール 4135 -124
大幅続落。三菱UFJモルガン・スタンレー証券では投資判断を「ホールド」から「セル」に格下げ、目標株価は3200円としている。海外積極展開やマーケティング戦略などによる相対的に高い利益成長ポテンシャルは評価するが、バリュエーション面から同業比で割高感が強いと判断しているもよう。なお、25年3月期営業利益は135億円を予想、150億円強のコンセンサス未達とみているようだ。
<7590> タカショー 577 -38
大幅反落。前日に第3四半期決算を発表、累計営業利益は0.1億円で前年同期比98.0%減と大幅減益になっている。つれて、通期予想を下方修正、営業損益は10.2億円の黒字予想から一転、1.5億円の赤字見通しに引き下げ。ホームユース事業および海外事業における売上高の下振れ、円安進行に伴う仕入れ価格の上昇などが背景となる。年間配当金に関しても、従来計画の16円から5円に引き下げ、前期比では18円の減配となる。
<9995> グローセル 547 +80
ストップ高比例配分。マクニカが完全子会社化を企図してTOBを実施すると発表、同社ではTOBに対して賛同の意見表明、並びに、応募を推奨としている。TOB価格は645円で前日終値に対して38.1%のプレミアムとなっており、TOB価格に完全サヤ寄せを目指す動きとなっている。TOB開始時期は、中国の競争当局における手続など前提条件が充足されるのを前提に、24年2月上旬が目途となるようだ。
<6239> ナガオカ 997 +84
大幅続伸。中国子会社が大口受注を獲得したと前日に発表している。受注した製品はスクリーン・インターナルで、受注金額は約8億円。納期は24年4月の予定となっているようだ。24年6月期の業績予想には織り込んでいないため、業績の上振れ要因につながることになる。なお、同社では15日に7億円の、10月には約4億円の大口受注獲得を公表している。
<6223> 西部技研 1916 +400
ストップ高。EV向けリチウムイオン電池製造工場向けの大型案件を受注したと発表している。受注したのは低露点対応型デシカント除湿機、国内総合エンジニアリングサービス会社向けに約5億円、米国大手 EV自動車メーカー向けに約20億円となっているもよう。納入時期は24年第2四半期から25年第1四半期かけてのようだ。10月IPO時の初値水準を大きく下回る状況にある中、見直しの動きが進む形となっている。
<4554> 富士製薬 1519 +92
大幅反発。第1四半期決算期間中に投資有価証券売却益を計上する見込みになったと発表している。保有銘柄1銘柄を売却し、売却益は3132百万円となるようだ。これに伴い業績予想を修正、通期純利益は従来予想の40.2億円から61.9億円に上方修正している。保有資産の効率的運用を図ることが売却目的としている。資産効率改善評価のほか、特殊要因ではあるものの、増配につながる可能性などにも期待感先行へ。
<3778> さくら 1500 +300
ストップ高。自治体がもつ個人情報などを管理する政府クラウドを巡って、デジタル庁では前日に、新しい提供事業者として同社を選定したと発表。2025年度末までに全ての選定要件を満たすという条件付きでの選定となっているもよう。これまでは、アマゾン、マイクロソフト、グーグル、オラクルの米国IT大手4社に限られており、日本企業が選ばれるのは初めて。業績インパクトや業界内での位置付け向上など期待感が先行へ。
<2768> 双日 3370 +263
大幅続伸。前日に中期経営計画を発表している。定量目線として、ROE12%超、当期利益3カ年平均の1200億円超などを掲げている。また、株主還元方針は、調整後DOE4.5%とした累進配当を基本方針にするとしている。SMBC日興証券では、同社計画に基づけば25年3月期の累進配当の出発点は148円と試算出来るとし、配当利回りは約4.8%の水準となる。利回り妙味の高まりが買い材料につながっているようだ。
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