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2023年11月15日、日本株式市況


Nikkei400
Nikkei Chart

15日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に3日続伸し、前日比823円77銭(2.52%)高の3万3519円70銭と、9月15日以来2カ月ぶりの高値で終えた。前日の米長期金利が大幅に低下し、株式の相対的な割高感が薄れた。米ハイテク株高の流れを引き継いで、PER(株価収益率)の高い半導体関連などが買われた。株価指数先物に海外短期筋とみられる断続的な買いが入り、日経平均の上げ幅は今年最大となった。

日経平均は7月3日に付けた年初来高値(3万3753円33銭)まであと230円あまりに迫った。

14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比1.42%高、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は2.37%高で終えた。同日発表の10月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比の伸びが市場予想を下回り、米インフレ基調の鈍化を示した。追加利上げ観測が後退し、米長期金利が4.4%台半ばまで低下。米市場ではハイテク株を中心に買われた。東京市場でも東エレクやアドテスト、TDK、ソニーGなどが買いを集めた。

中国国家統計局が15日発表した10月の工業生産高と小売売上高はともに市場予想を上回り、同国景気への過度な警戒感が和らいだ。中国・香港などアジアの株式相場も堅調に推移し、運用リスクを取りやすくなった短期筋による株価指数先物への買いが勢いを増した。

内閣府が15日に発表した7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比年率2.1%減だった。3四半期ぶりのマイナス成長となり、国内長期金利が低下したことも株式相場には支えとなった。

一方、日経平均は9月15日の高値(3万3533円)近辺では目先の利益を確定する売りが出た。夏場から秋の上昇局面で売買高が膨らんだ価格帯とあって、上値が重くなる場面があった。

東証プライムの売買代金は概算で4兆6357億円、売買高は18億5915万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1058。値下がりは539、横ばいは62銘柄だった。


15日の国内債券市場で長期金利が低下(債券価格が上昇)した。指標となる新発10年物国債の利回りは前日比0.055%低い0.795%で推移している。インフレ鈍化で米追加利上げ観測が後退し、米長期金利が大きく低下。日本が3四半期ぶりにマイナス成長に陥ったのも債券買いを誘い、長期金利は一時0.770%と10月17日以来およそ1カ月ぶりの低水準をつけた。

14日発表された10月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが市場予想を下回り、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ打ち止め観測が強まった。14日に大きく低下した米長期金利は日本時間15日の取引でも一段と下がり、国内金利の低下圧力となった。

内閣府が15日発表した7~9月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率2.1%減だった。マイナスは3四半期ぶりで、市場予想(0.5%減)も大きく下回った。国内景気の回復鈍化が鮮明で、日銀が大規模な金融緩和策の正常化に動きづらくなるとの見方も債券相場を下支えした。

日銀は15日実施した定例の国債買い入れオペ(公開市場操作)で、残存期間「1年超3年以下」と「5年超10年以下」の購入予定額を減らした。定例オペを減額するのは長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を再修正した10月31日以降で初めて。通知後に長期金利は低下幅を縮める場面があったが、減額を見送った超長期債を中心に増えて長期金利の低下を促した。

もっとも、長期金利は取引終盤にかけて低下幅を縮めた。市場では日銀が来年前半に政策正常化に動くとの思惑は根強く残っている。長期金利は1日に一時0.970%まで上昇した後、低下ペースを速めており国内債には目先の利益確定を目的とした売りも出やすかった。

幅広い年限で新発債の利回りが低下した。新発20年物国債の利回りは前日比0.055%低い1.505%で推移している。日中は1.470%と約1カ月半ぶりの水準に低下する場面もあった。新発30年債利回りは同0.050%低い1.700%、新発2年債利回りは同0.030%低い0.060%で取引されている。



OIL
GOLD

<5019> 出光興産 4101 +634
急伸。前日に上半期決算を発表、経常利益は2265億円で前年同期比40.6%減となったが、通期予想は従来の1500億円から2700億円に上方修正した。市場予想は2100億円程度の水準であった。在庫影響のほか、燃料油のマージン拡大なども背景に。また、発行済み株式数の5.3%に当たる7500万株、350億円を上限とする自社株買いの実施、増配(分割考慮前ベースで120円から160円)なども併せて発表。

<4449> ギフティ 1725 +295
急騰。前日に第3四半期決算を発表、累計営業利益は12.6億円で前年同期比3.6倍となり、通期予想は従来の8.1億円から11億円、前期比3倍に上方修正している。giftee for Businessサービス及び地域通貨サービスが好調に推移しているほか、販管費の下振れなども業績上振れ要因となるようだ。3月以降株価の調整基調が続いていたこともあり、高い収益成長を見直す動きにつながっている。

<6238> フリュー 1335 -169
急落。前日に上半期の決算を発表、営業利益は24.3億円で前年同期比53.2%増となり、通期予想は従来の25億円から33億円、前期比54.6%増に上方修正している。クレーンゲーム景品などが売上増に大きく貢献。ただ、第1四半期実績の13.2億円、前年同期比93.4%増、その後の月次動向などから業績上振れにサプライズは限定的なもよう。当面の出尽くし感が優勢の展開となる形に。

<4324> 電通グループ 4027 -385
大幅続落。前日に第3四半期の決算を発表、7-9月期営業利益は269億円で前年同期比9.0%増となったが、コンセンサスを100億円強下回る水準にとどまっている。海外オーガニック成長率などが低調のようだ。通期予想は従来の1265億円から784億円、前期比33.3%減と一転減益予想に下方修正。上半期決算時に続く下方修正となっている。想定以上の業績悪化にネガティブなインパクトが先行しているようだ。

<5105> TOYO 2620 +263
急伸。前日に第3四半期の決算を発表、7-9月期営業利益は237億円で前年同期比4.4倍と急拡大、165億円程度の市場予想も大幅に上振れている。通期予想は従来の600億円から650億円、前期比47.6%増に上方修正しているが、極めて保守的な見通しとも捉えられているようだ。円安効果やWLTRの販売回復などが上振れの主因とみられる。年間配当金も従来計画の78円から90円に引き上げられている。

<5333> 日本ガイシ 1813.5 -109
大幅反落。本日、MSCIの定期見直しが発表となっており、新規採用がゼロ、除外が10銘柄となっている。同社も除外銘柄となっており、目先の需給悪化が懸念される状況になっているもよう。一部試算では9.5日分の売買マイナスインパクトが想定されているもよう。比較的除外銘柄は市場想定通りであったが、同社はやや見方が二分されていたようだ。同社のほかに除外銘柄では、本日は京王電鉄なども下げが目立っている。

<3288> オープンH 4585 -405
大幅続落。前日に23年9月期の決算を発表、営業利益は1423億円で前期比19.2%増となり、従来計画の1410億円並みの水準で着地。一方、24年9月期は1240億円で同12.9%減と2ケタ減益の見通し。上場以降は連続増益基調が続いてきていただけにネガティブな反応が先行している。戸建て・マンションの販売減に伴う粗利の減少を見込んでいるもよう。

<8252> 丸井G 2277 -172
大幅反落。前日に第2四半期の決算を発表、7-9月期営業利益は108億円で前年同期比27.7%減となり、150億円強の市場コンセンサスを大きく下振れている。一過性のポイント費用なども想定比下振れの要因に。通期予想は従来の455億円から420億円、前期比8.3%増に下方修正。フィンテックの見通しを引き下げているもよう。440億円程度の市場予想を下回る水準までの下方修正をネガティブ視へ。

<6361> 荏原製 7960 +704
大幅続伸。前日に第3四半期決算を発表、7-9月期営業利益は232億円で前年同期比49.8%増と大幅増益基調が続き、第3四半期累計では570億円、同33.5%増となっている。据え置きの通期予想710億円、前期比0.6%増に対する進捗値は高く、上振れ期待なども優勢となっているようだ。受注に関しても、エネルギー事業の受注計画を上方修正のほか、精密・電子事業も前四半期比58%増と改善している。

<2412> ベネ・ワン 1443 +300
ストップ高比例配分。エムスリーが連結子会社化を目指してTOBを実施すると発表。発行済み株式数の55%を買付上限としており、現在51%を保有しているパソナグループはTOBへの応募契約を締結している。TOB価格は1600円で前日終値比40%のプレミアムとなっており、同価格にサヤ寄せを目指す動きが先行したほか、エムスリー傘下入りに伴う業容拡大への期待もある。なお、パソナグループも本日はストップ高に。


三菱UFJ<8306>が発表した2024年3月期第2四半期業績は、経常収益が前年同期比31.3%増の5兆6656.63億円、経常利益は同116.5%増の1兆2799.07億円だった。あわせて4000億円、自己株式を除く発行済み株式総数の3.31%にあたる4億株を上限とする自社株買いを発表した。

・りそなHD<8308>デジタルに300億円投資、事業創出・システム改修
・冨士ダイス<6167>ガラスレンズ用金型材を開発、生産効率20%向上
・タキロンCI<4215>南米のフィルム撤退、北米に資源集中
・日本製鉄<5401>カナダ社に2000億円出資、優良原料炭を確保
・丸紅<8002>ベトナム食品流通に出資、機能性素材を開発
・山善<8051>協働ロボ利用の物流自動化、ビックカメラなどと実証開始
・ソディック<6143>石川に新棟、製麺機など供給能力拡大
・三菱重<7011>英のCO2回収計画に技術提供
・栗本鐵工所<5602>リサイクルプラント事業の三協機械を買収
・富士通<6702>計算処理を即時切り替える技術開発、GPU不足に対応
・NEC<6701>米社とSIパートナー契約、数理最適化ソルバー、ソリュに組み込み
・日本酸素HD<4091>大陽日酸、台湾に産ガス機器の新工場、生産能力2倍に
・日本製紙<3863>飲料用紙容器を10%超値上げ、来年4月から
・クラボウ<3106>倉敷繊維加工、薬剤処理フィルター増産、半導体向け2倍
・大阪ガス<9532>合成メタン研究強化、新拠点で起工式



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