上級医からモテるテクニック
こんにちは。おにです。早速書いていきます。
ここでいう”モテる”というのは上級医から好かれていい感じの指導を得ることを指します。今から張り切っている医学生、やる気はあるのになんかうまく立ち回れなくて不安でもやもやしている研修医は参考にしてください。
まず上級医からモテる必要性、メリットについて。
前提として、指導医は学校の先生とは違います。物を教えるプロでもなければ、そもそも研修医教育自体、上級医の「仕事」かどうかも微妙です。「初期臨床研修病院で勤めている以上は研修医への指導は仕事のうちだ」というキレイ事も一理はありますが、無視するとか邪険に扱うとかでなければ文句を言えるものではないかなと思います。研修医が受ける教育の量は指導医からいかに好かれるかにかかっています。
実際、私が研修したのはちょびっとブランド病院(聖路加とか湘南鎌倉みたいなガチのとこではないです)でしたが、受けている指導はピンキリでした。結局は人間関係なので仕方ないですよね。今の私も、基本的には研修医教育に熱があるタイプですが、やる気がない研修医はあんまり関わりません(総合内科部長が私にそういう研修医を当てませんが)。昨今の働き方改革で研修医教育のハードルは上がってしまったので、なおさら教育格差が開いたように感じます。
こういうと、「初期研修で1ヶ月回ったくらいでわかることなんてない」みたいに言ってくる人がいますが、正直、初期研修の解像度が低いと思っています。確かに実際にその科をローテートする期間は1ヶ月かもしれませんが、同じ病院で研修を続けるのなら、当直中や他科コンサルトなどその後も関係性は続きます。良好な関係性を築けば、1ヶ月指導されて終わり〜なんてことにはならないです。
当直で引いた胸痛患者の心電図やエコーを循環器の先生から教わったり、腹痛患者のアセスメントを消化器の先生から聞いたり、受け持ち患者が転倒して骨折した時のレントゲンの評価を整形外科の先生から教わったり、、、。
2年かけて、少しでも多くのことを学び尽くしたい人は上級医からモテるテクニックを身につけてもらえればと思います。
それでは本題です。
①顔がかわいい
いきなり身も蓋もない話で申し訳ありませんが、これが一番強いです。そもそも圧倒的に男性の割合が多い医師の世界で、顔が可愛い女医というのは圧倒的なストロングポイントです。顔面に自信がある女性のみなさんは、「自分がストロングであること」を理解した上で立ち回ること、それ以外の皆さんは、「あいつは可愛いからしょうがない」と割り切って、あまり人と比べないようにしましょう。ちなみにイケメンはタイプにより異なりますが、概ね有利には働きます。
②あいさつ
当たり前のことですが大事です。「大きな声で『おはようございます』と言いましょう」みたいなしょうもない話ではなく、ローテートが変わるタイミング、当直で一緒になるタイミングなど、必要なタイミングで自己紹介をしましょうということ。芸能界では収録が始まる前に毎回先輩タレントの楽屋に挨拶するのが常識だそうで、有吉弘行は再ブレイクした時、演者だけじゃなくてスタッフ全員に挨拶をして回っていたらしいです。部活の飲み会でOBに挨拶回りをしたかと思いますが、あれが社会人のいう「挨拶」です。
学生時代のポリクリはただ順番に回ってくる学生A、学生Bでしかなかったので正直適当でもいいんですが、研修医になってからは「研修医の〇〇先生」と認識されることを頭に置いておきましょう。
ちなみに私は初めて研修医の先生と一緒に当直をする時は「内科のおにだるまです、よろしくお願いします」と挨拶をすることにしているんですが、「あ、お願いします」みたいな感じで返してくる先生がたま〜にいてビビります。私はわざわざ「キミねぇ…」みたいなキショい説教はしないし指導の温度を変えたりはしませんが、普通に社会人としてイマイチだなぁとは思います。
このへんを押さえておくだけでとりあえずOKです。そんなの当たり前だろ…ってて思うかもしれませんが、できない人が普通にいます。
それから若干話が逸れますが、もしプライベートで飲みにいったりした場合は翌日のあいさつは「おはようございます」ではなく「昨日はありがとうございました」だし、先輩と一緒に仕事をしていて先に帰る時は「お疲れ様です」ではなく「お先に失礼します」が一般的には正解です。まあどっちでもいいけどね。
③遅刻しない
当たり前のことばかりで申し訳ない。でも、これまでに何人も「遅刻したけど怒られなかった」「なんも言われなかった」とヘラヘラ話す同期や後輩を見てきました。怒られなかったらええんかい。学生時代は「怒られない=セーフ」の認識でもいいと思いますが、社会人の場合は「怒られない=セーフor見捨てられている」であることに気付いた方がいです。
④「はい喜んで」
研修医として仕事を与えられる時の姿勢は基本的に「はい喜んで」一択です。入院患者の受け持ち、CV留置などの手技、手術への参加など。上級医から「どうする?」と聞かれた時は「やる」と即答してください。上級医は一応”お願い”スタンスで頼んではきますが、「やらせてあげる」というのが正しい認識です。上級医からすれば正直自分でやってしまった方が早いし楽ですからね。そこで「えーっと…まあどっちでも」みたいな答え方をされたら、じゃあ自分でやるか、となってしまいます。
ただ、キャパオーバーで潰れてしまっては意味がないので無理はしないように。その辺のバランス感覚を身につけるのも仕事のうちです。
⑤電話をしない
そろそろ実践的なことを。上級医には基本的に電話をしないでください(緊急時を除く)。医療以外の業界では「新人は足で稼げ」なんて言葉もあるように、研修医は用があれば直接会いにいくのを基本にしてください。上級医の生息場所なんてせいぜい病棟か、外来か、手術・処置の部屋か、医局のどれかくらいです。思い当たる場所を一通り探してみて、それでも見つからなければ電話しましょう。
外来中に電話がかかってくると結構ストレスです。外来中だとわかっているなら、外来ブースまで足を運んで患者が途切れるのを待ちます。指導医の機嫌を損ねないようにするという面ももちろんありますが、同じ相談をするにしても、電話口でさっさと相談するよりも直接話したほうが枝葉の知識を教えてもらいやすいです。
以前、私の勤務先で「外科ローテ中の研修医が手術中の外科指導医に(緊急性のない)電話をした」という事件がありました。オペ室がざわついていたのを覚えています。常識的にはそんなもんです。「直接こなくても電話してくれればいいのに」と言われるくらいでちょうどいいです。
ただし、当然ですが緊急性のあることは電話をしてください。そこに遠慮はいりません。むしろ普段の相談は電話をしないことによって、「研修医から電話=急用かも?」という印象を持たれるくらいのバランスがちょうどいいです。
⑥先回りする
普通の勤務医は、朝のdutyの前に一通り回診をして、夕方帰る前にもう一度全体を回診するのが一般的なルーティーンかと思います。研修医も一緒に朝の回診をするケースが多いと思いますが、その時、上級医と同じタイミングで患者の状態を把握していては遅いです。一緒に回診しながら「今日の採血ではCRPは3.1まで下がってました」「昨日の夜から下痢みたいです」「不整脈は出てなかったです」という報告ができるようにしておきましょう。この時、先に簡単に大事なポイントだけをカルテに書いておくと、カルテを開いた時に「こいつ俺より先に一通り把握してるんだな」というアピールができて尚良いです。
上級医と同じタイミングで状態を把握していたら、いきなり「正解(とは限らないけど)」を教えられてしまいアセスメントの能力がつきません。例えば「今朝の採血でカリウムが高かった」として、自分で「こうするのかな?」とアセスメントをする。これくらいは経過観察でいいのか、尿検査を出すのか、スピロノラクトンをやめるのか、スピロノラクトンを続けたままロケルマを出すのか、点滴を変えるのか、そもそも採血は適切か、フォローアップはどうするのか、、、。考えることはたくさんあります。消化器内科ローテでは消化器疾患を、循環器内科ローテでは循環器疾患を勉強することももちろん重要ですが、入院患者に生じる「一般内科」的な対応を”自分で”アセスメントし、指導医から正解を聞く、疑問に思ったことは文献(論文を探してもいいしUp to Dateでもいいしあんちょこ本でもいいし)で調べる、この繰り返しこそ、初期研修の目的だと思っています。
それから追加事項として、患者の状態(バイタル、治療薬、検査データ、術後何日目かなどの)は暗記するものだと思ってください。無理ならメモしてもOKです。明確な意図をもった治療をしているとだいたい覚えられるようになってきます。
⑦”型”を丸パクリする
研修医といえども半年〜1年くらい経つとなんとなく「自分の型」みたいなものができてきます。「自分だったらこうする」とか、「自分はこれがいいと思う」みたいな”型”です。でも、それをグッと堪えて、指導医のやり方を丸パクリしてください。医療って正直、センターピンさえ外さなければ、ある程度やり方に個人差があっても上手くいくことが多いです。それでもまず、指導医のやり方を丸パクリしてください。例えばCV留置なら、エコーと物品の位置関係、穿刺針の持ち方、穿刺する時物品をどこにおくか、声の掛け方、全てをコピーしてください。カルテの書き方、患者への声かけ、ICの仕方など全部です。そうすることで指導医からの評価を得やすくなり、指導側としてもトラブル時の対応がしやすい分、任せやすくなります。
私は指導医の隣のブースで救急外来患者を診ていたら「俺が外来やってるのかと思ったw」と言われました。ちょっと大袈裟ですが、それくらいコピーするのが大事です。
例外として、この辺の”型”にこだわりがない先生や、そもそも能力的にイマイチな先生もいます。その辺は自分が理想とするロールモデルを見つけて真似してもらえればと思います。
これ、私は内科医の目線で言ってますが、実は外科系の方が当てはまるみたいで、私の指導医も所属施設の”お作法”を丸パクリするのが大事だと言っていました。
⑧質問する
「何か質問ある?」これ、ポリクリでも研修医でもよく聞かれますよね。上級医になるとわかるんですが、質問してくる研修医はそれだけで「やる気がある」と感じます。ただ、私もそうだったんですが基本的な知識がないと「こんな(簡単なこと)聞いて怒られないかな」って思いますよね。正直、私のnoteを読んでもわからないことは質問してもいいと思いますね。
ただ、簡単なことを聞かれて怒るような指導医は正直イマイチなので、気にせずガンガン質問すればいいと思います。遠慮いりません。私も国試レベルのことをたまに聞かれますが、別になんとも思わない、というかちゃんと聞けてエラいとすら思います。同じことを何度も聞かれるとちょっとアレですが、、、。
まとめます。上級医からモテるテクニック
①顔がかわいい
②あいさつ
③遅刻しない
④「はい喜んで」
⑤電話しない
⑥先回りする
⑦型を丸パクリする
⑧質問する
以上、参考にしていただければ幸いです。ご意見などあればお気軽にどうぞ。質問箱なら匿名で聞けます。
私のnoteも宣伝しておきます。総合内科医である私が研修医に実際に教えている耳学問をまとめたものだと思ってください。中身は随時更新していきます。
救急外来編作成中です…(2024/12/4)