ノマドなどと言えない、サンフランシスコのホームレス事情
コロナによるロックダウン後に、サンフランシスコのホームレス人口が又増加したようだ。
過去2年で17パーセントという驚くペースで増えていたが、2020以降規模の大きなテント生活者の集団や、車上生活者がひんぱんに目につくようになった、ほとんどのビジネスが通常営業を一時、やめてしまった結果だと思う。
又サンフランシスコは、アパート、借家などの家賃が異様に高いので、
ロックダウン前は、IT業界で働く一部の人間を除いては、かなりに数の人々が、見ず知らずの他人どうしで同居していたが、コロナでそれが難しくなったせいもあるだろう。
収入が減ったうえに、共同生活の場から一人でもかければ、家賃を継続して払っていくことは出来ない。
日本でいうワンルームで大体1800ドル前後が現在の相場だ。
治安のよくないテンダローイン地区の、六畳にキッチン、バスルームがついたものでも1600ドルが平均だろう。
こういったところに2人以上で住んでいてもおかしくないのが、
少し前のサンフランシスコの住宅事情だった。
小さなワンルームの多い、ダウンタウンに近いテンダーロインには、特に用がないなら行かない方がいいだろう。
洒落たレストランや、バーなどが少しずつ増えていたが、コロナによる
ロックダウンでまた以前の汚いストリートに戻った感じだ。
ホームレス、薬物中毒者、最下層の娼婦、男娼などが、ここのストリートの
主な住人。
以前この場所に、日本人が多く住んでいるホステルのような場所があったが、彼らの多くが" TWEAKER "だった。
”クスリ”の売人もここには多数いるので、都合がよかったのだろう。
この場所の雰囲気は、スコセッシ監督の名作、TAXIDRIVER の冒頭のシーンを想像してもらえばわかると思う。
今見返したら、映画のが実際の場所よりきれいだった。
去年辺りから、それまではホームレスがほとんどいなかった、マリーナ地区などのエリアでも彼らが住みつくようになり、もともとホームレス問題がひどかった地域では更にその数が増えたように見える。
原因の一つは、それまでの行っていた、ある方法でホームレスをサンフランシスコの外に送れなくなったからだろう。
https://hsh.sfgov.org/services/the-homelessness-response-system/problem-solving/homeward-bound/
その政策とはサンフランシスコ市政府が、長距離バスGREYHOUND の片道チケットを彼らに買い与え、ホームレス達が移住を希望する、別の州へ行ってもらうのだ。
ホームレス自身の出身地などに帰ってもらい、生活をやり直す機会を与えるというのが主な趣旨だ。
実際にはバスチケットでここから他所へいってくれると安いものだという都合のいいものだ。
しかしこういったやり方で、ホームレスに州外へ移動してもらう方法は
ニューヨーク、オレゴンなど、他の州も行っていて、一旦ここ
カリフォルニア州から出て行ったが、また戻ってきたなどの話も聞く。
各州とも様々な理由でこの無料の交通チケット配布を行っているようだ。
例えば、冬は寒い東部の州にいるよりは、暖かい西部に行ったほうが良い。
ホームレスの出身州へ帰ってもらい生活の基盤を立て直す機会を与える
などといったものだが、実際には要するに自分の州には来ないでくれというのが本音だろう。
他の州へ移動したホームレスのその後を細部にわたって調査したものはまだあまりないようだが、移動した後に彼らの生活が向上したなどの報告はあまり聞かない。
上の記事は、カリフォルニア州の中でも、特にホームレス問題のひどいサンディエゴの事情が書かれている。
ここにも書かれているが、この”チケット政策”の効果を疑問視する意見も少なからずある。
Yet, with little data showing how individuals fare once reaching their destinations, homeless advocates are concerned about the program’s value.
(上記から抜粋)
少し考えたらわかるが、例え他所の州へ行ったとしてもある程度の経済基盤
がないことには、そう簡単には生活を”やり直す”ことは出来ないのではないかと思う。
又、ホームレスの中には心が病んでいる人々も少なからずいるのだが、それに対するケアーの様なものが一切なくして、社会復帰するのは至難の業ではないだろうか。
この記事では比較的詳しくホームレス、チケット政策のその後がわかる。
上の写真は近所のバス停に、誰かが描いたものを撮った。
ホームレスを無くしたいなら3つの方法があると皮肉っている。
2番目などはサンフランシスコの現在をよく言い表していると思う。
客単価数万のレストランがそこら辺に増え、そのすぐ隣でホームレスが道端でヘロイン注射をうったり、用を足したりしている。
よその都市からくれば、かなり異様な光景に映るのではないだろうか。