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【番外編】英国王室の系譜

先の記事で「ノルマン=コンクエスト」について書きました。
英国名ウィリアム1世(仏名ギョーム2世)が英国で開いたノルマン朝から現グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国の国王チャールズ3世までの王朝の系譜を辿ってみようと思います。


ノルマン朝

ノルマン朝

1066年~1135年。
まずはギョーム2世がウィリアム1世として開いたノルマン朝。ノルマン=コンクエストでイングランドを征服したものの、ノルマン人による中央集権的な政治はアングロ・サクソン諸侯たちの反感を買い、王権は戦と隣合わせでした。この王朝は直系の後継者が続かなかったことで短命に終わります。

プランタジネット朝

プランタジネット朝

1054年~1399年。
ヘンリー1世の娘、マチルダとアンジュー伯ジョフロワの息子ヘンリー2世が開いたのがプランタジネット朝。かの有名なアリエノール・ダキテーヌと結婚し、獅子心王リチャードや失地王ジョン、百年戦争の火蓋を切ったエドワード3世とその息子エドワード黒太子など、個性の強い人物を輩出するのがこの王朝です。この王朝も直系の後継者が続かなかったことで短命に終わります。

ランカスター朝とヨーク朝

ランカスター朝とヨーク朝

1399年~1471年。
フランスとの間に起った百年戦争の責任追及が原因で王家が二つに割れたのがこの時代で、エドワード3世の息子たちがそれぞれプランタジネット朝の傍流となって対立しました。ランカスター公の息子ヘンリー4世が始めた王朝がランカスター朝、ヨーク公の子孫たちが始めた王朝がヨーク朝です。両王朝は長らく対立していましたが、ランカスター朝のヘンリー7世がヨーク朝のエリザベスと結婚することで終着を迎えます。

チューダー朝

チューダー朝

1485年~1603年。
ヘンリー7世の息子ヘンリー8世が始めたのがチューダー朝。ヘンリー8世は跡継ぎ男子ができないことで結婚と離婚を重ね、元妻たちを非業の死に追いやるというとんでもない国王でしが、その一方で英国国教会を開いてカトリックから独立し、イングランドを欧州諸国と肩を並べるまでに押し上げた名君でもあります。娘のエリザベス1世、は当代きっての名君になり、姉のメアリーはスコットランド王に嫁ぎ、その血統は次の王朝に引き継がれていきます。

ステュアート朝

スチュアート朝

1603年~1714年。
スコットランド、イングランドが連合王国となった時代の王朝がステュアート朝でした。
この王朝時代は、王権絶対主義を貫くステュアート王家と議会が対立し、この対立が宗教の対立、民族の対立と重なり、ブリテン島各地で内乱(ピューリタン革命*ピューリタン:プロテスタントの総称)が起きます。ピューリタンでもあり、優れた軍人でもあったクロムエルが議会の支持を受け、次第に独裁政治を行うようになります。時勢に遅れたチャールズ1世は処刑され、イングランドはいったんここで共和制になりますが、10年後の1660年王制が復活し、チャールズ2世が後を継ぎます。ところがこの王朝も長くは続かず、ハノーヴァーから選帝侯を迎えて王朝をつなぐことになります。

ハノーヴァ朝

ハノーヴァ朝

1714年~1901年。
跡継ぎがいないことで断絶したステュアート家の血筋を持つ、ハノーヴァ選帝侯を神聖ローマ帝国(当時のドイツ)から迎えて開始したのが、このハノーヴァ朝です。この王朝はヴィクトリアの時代に最盛期を迎えます。ヴィクトリア女王は立憲君主制を貫く一方で帝国主義を支持し、彼女の統治時代にイングランドは政治・経済のみならず、文化・技術面でも優れた成果を上げました。その反面、前王朝ステュアート家のジェームス2世の子孫を支持する勢力(ジャコバイト)が絶えず反乱を起こす不安定な時代でもありました。

サクス・コバーク・ゴーダ朝

サクス・コバーク・ゴーダ朝

1901年~1917年。
サクス・コバーグ・ゴーダ朝はヴィクトリア女王から続く王朝です。実はこの後に続く国王と女王はジョージ5世の直系になるので、サクス・コバーグ・ゴーダ朝は現代にまで続くのですが、第一次大戦中、ジョージ5世は敵国ドイツの領邦家の名前「ザクセン=コーブルク=ゴータ」がイングランド王朝の名前となることを嫌い、王宮の名にちなんでウィンザー朝と改名したため、エドワード8世からはウィンザー朝になります。

ウィンザー朝

ウィンザー朝

1917年~現在。
ウィンザー朝の名前の由来は前述のとおり。
離婚歴のあるアメリカ人女性との結婚のために王位を弟に譲ったエドワード8世、第二次大戦中チャーチルとともにナチスからイングランドを守ったジョージ5世、そして英国民に愛され続けるエリザベス2世、現国王チャールズ3世がウィンザー朝を彩ります。

イングランド王朝の系譜参照先:英国王朝系図 – 新国立劇場

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