大谷翔平風「……かなぁ~っと思います」的な和らげる英語表現でコミュニケーションを円滑に!
以前から気になっていた日本語の語尾表現があります。
最初に気付いたのは、MLBで二刀流として大活躍の大谷翔平選手。彼は、インタビューで何か質問されると、にこやか爽やかに、忌憚なく答えてくれるのですが、必ずと言っていいほど、その語尾が「……かなぁ~っと思います」で締めくくられます。
野球の技能、精神力、向上心、努力量、人間性、体格、ルックス……何をとっても完璧に近い大谷選手を、私も瞳を♡ハート型にしていつも拝んでいるのですが、たった一つ、インタビューを聞くたび、非常に気にかかっていたのが、彼のこの語尾です。
「……かなぁ~っと思います」
え?他人事のようなその語尾は一体何?
と思ってしまいませんか。
大谷選手のこの語尾に引っかかって以来、あちこちで耳に残るようになりました。
最近、テニスの錦織選手が某有名女子選手の言動に関するインタビューに応じていましたが、ご本人の意見や主張のあと、やはり見事に、「……かなぁ~っと思います」という語尾になっていて、ん?と思いました。
俳優らの芸能人も、特に若手はこういういい方しますね。
スポーツ選手や芸能人ら若い有名人は、この語尾で自分らの立場を批判から守っているのだろうと思います。意地悪な取り方をすれば、それが少し無責任というか、責任逃れのように聞こえるのですよね。
しかし!
発言者の立場としては、この語尾は、自らの発言によって、その話題の中心人物やインタビュー相手、そしてインタビューを聞く聴衆が、動揺したり傷つくことを避けようとする心理の現れだと言えます。他人を不快にさせると、その矛先は自分へのブーメランとなりかねませんから。
「……かなぁ~っと思います」は、他者の心の平穏を保つための「和らげ」の語尾であり、彼ら一流の心遣い、そして何より大切な自己防衛手段なのでしょう。
「かなぁ~っと」を英語に反映してみる
コレ、日常のコミュニケーションやビジネスで応用できるなと思います。
英語ではどうでしょうか?
日本語は、語尾に動詞が来るので、話していて「あ、まずい……」と思ったら、最後に語調を変化させることができるので便利です。しかし、英語では、動詞は主語のすぐ後に来るので、語調が最初から決まってしまいます。もちろん、最後に修正する手立てはありますが、話始める前に頭を回転させて、前置きをするように、語調を考えておかなければならない言語です。
相手にとって否定的なコメントは、どうしても嫌なことなので、それを和らげて伝えるため、英語では以下の前置き手法を使うとよいです。
和らげる前置き:一旦受け入れて褒める
特にアメリカ人が嫌なことを言う前には一旦褒めたり上げたりします。一旦相手を受け入れる姿勢が重要なのです。
I like that very much, but...
Good Point!But...
That is a good idea. But...
勤務評定などで、悪い評価や注意事項を一つ伝える場合は、その前置きで、三つくらいナイスコメントが先行すると言っても過言ではないです。
和らげる前置き:「かなぁ~」と表現
一旦相手を上げたあと、自分の本音を吐露してよいのですが、やはり大谷選手流に「……かなぁ~っと思います」という柔らかな空気感を出したいものです。
You are (It is) wrong(間違っています)というように、基本的な文は「~である」というストレート直球になってしまうので、ちょっと手を加えて変化球にアレンジして投げられるように訓練しましょう。
表現はたくさんありますが、とりあえず以下3つを覚えて使えるようになりましょう。
I am afraid……
残念ながら……と思います。
I think...... に近いですが、内容がbad news、つまり悪いことを伝える時に使います。言いにくい事はこの表現をクッション言葉に使いましょう。
It might be better if……
……だと更によいかもです。
まずは相手の論点や提案をポジティブに受け入れておきながら、「ソレよりさらに良い方法がある・・・かもよ」とアンニュイに提示する。すると、相手もまあ、もっといい方法ならそれもいいかも……納得する。という魔法の言葉です。
You might wanna……
……したいかもね(だってその方がいいですもん)
お気づきの通り、主語がYouです。なので、相手の主張は受け入れたけれど、まるで当人目線であるかのような言い方で別提案をし、暗示にかける手法です。まさに「~かなぁ~」発言です
いかがでしょうか?
では、ここからは、ビジネスで応用できる「和らげる」英語表現を、ご紹介してきた表現を組み合わせて、シーンごとに具体例でご紹介したいと思います。
何かの指摘や指導をうけるとき、上から目線で冷たく言われるとムッとします。否定や反論の場合はもっとです。実際に和らげてみましょう。
「和らげて」指摘する
コレ違ってるよ=This is wrong
こういう指摘は、以下のように言い換えてみよう
Good job, but I am afraid it is not quite correct.
頑張ったね、でも、正しいとは言えないかなぁ~っと思うんだ
This is wrongと間違っているという結論をダイレクトに述べてしまわず、Good point(いいね)と一旦受け入れてから、I am afraid(残念ながら~と思う)という緩衝材表現を加え、not quite correctと肯定的な単語を使う。not quiteは、「厳密に言うとNO」というオブラート表現に使われます。
「和らげて」命令する
コレはこうすべきです=you have to do it this way
コレはこうしなさい=Do it this way
指示通りに仕事が行われていないときは、怒りを抑えて、まずは相手をひと言ねぎらってから、「よりよい方法を提案」するというスタンスの方が、相手に受け入れられやすいです。
You are doing great, but I'd appreciate it if you do it this way.
よくやってる。でもね、こういう風にしてくれると嬉しいな
Good work, but you might wanna do it this way.
頑張ってると思うけど、こっちの方法でやってみたらどうかな?
「和らげて」反論する
A案には反対です=I am against A
ここでも一旦相手の意見を受け入れるという姿勢があると、とても和らぎます。相手もあなたの意見に耳を傾けてくれるはずです。
I see your point, but I have a bit different view.
わかる~。でも、私はちょっと違うかな。
I see. But, don't you think it's better this way?
なるほど。でもこっちのやりかたの方がよくないかな?
「和らげて」否定する
それはよくない=A is not a good idea.
人の意見や考え方を否定するのはとても難しいですが、ここでも一旦受け入れてからの否定が有効です。そして、その理由を必ず添えることです。すると相手は納得してくれます。
I like your idea.
But I am afraid it won't work because...
いいアイデアだね。
でも、上手く行かないんじゃないかな。だって……
I appreciate your feedback.
But I think maybe we should consider... because ...
意見はありがたいんだけど、
......も検討すべきじゃないかなって思う。
なぜかというと……
付け加えて修正する時のフレーズ
否定や反論を「もう言っちゃった」場合は、以下の表現などを語尾に付け加えると修正が可能です。
I'm afraid. (じゃないかな)
I think.(と思うよ)
maybe(多分)
文章なら以下のような表現です。
Hope you know what I'm saying.
Hope you know what I mean.
言いたい事、わかってくれるといいな。
Hope you don’t mind me saying this.
こんなこと言って気を悪くしないでね。
It's just a thought.
……って、ちょっと思っただけだけだよ。
It's nothing personal.
一般論だよ(個人攻撃じゃない)。
No offense.
責めてるんじゃないよ
しかし、後付けはやはり「後付けで言ってる」という感覚を与えてしまい、自己防衛のために言ってるなと思われかねませんので、言い方や表情に注意しましょう。
ビジネス英語の参考書籍
ビジネス英語は、どうしても難しく考えがちです。しかし、基本的には普通の英会話です。自分の職種に特化した表現などを覚えると心強いです。恐れずにチャレンジしましょう。
いくつか書籍をご紹介します。
場面別、職種別のフレーズが学べる本。
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こちらは、TOEIC学習にも役立つ単語や表現も盛りだくさん。自分が言いたいことを瞬時に英語に直す訓練ができます。
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こちらはビジネス特化ではないですが、実践力・瞬発力が鍛えられます。
Audibleなら、こんなのがすきま時間の学習に便利です。
チャンツ(文章を一定のリズムに乗せて歌にしたもの)になっているので、ある程度聞き流しでも効果が刷り込み効果があると思います。
一気に習得するのは難しいですが、少しずつ実践を交えて学習しましょう。