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安楽死をどう受け止めるか「Me Before You(世界一キライなあなたに)」~英語学習におすすめの洋書

人には「生きる権利」があります。
しかし、「死ぬ権利」はない。
「生きる義務」があるということでしょうか。

(ネタバレになりますので、ご注意)

今回ご紹介する「Me Before You」は、「世界一キライなあなたに」というタイトルで映画化されましたので、映画でご覧になった方もいるかと思います。すてきなキラキラの恋愛映画と思いきや、とても考えさせられるショッキングなエンディングが待っています。

本のタイトル(映画の原題も同じ)「Me Before You」は、単語としては超やさしいのですが、意味を取るのがとても難しい。「あなたの前にいる私」かな?などと思いながら本を読みました。

とても考えさせられ、朗読版でまた聴きなおしました。朗読は、よどみなく流れるので、洋書の二回目の「読書」として非常に良いです。リスニング力の強化にもなります。

Audibleを使った英語学習については、こちらで詳しく解説しています。

読みどころ

主人公は、ルウという26歳のカフェのウエイトレス……という天職を失い、休職中の女性。ちょっと変わった性格なのが表現から読み取れ、ファッションの話とか、女性なら共感できる気がします。そんな軽いノリでストーリーが始まります。

ルウがやっと見つけた新しい「仕事」は、事故で車いす生活を送るウィルという人物の生活介助です。ウイルは大金持ちの青年実業家でイケメン。ありがちのシンデレラストーリーかと思いきや……このウィルが面白いほどに性格が悪い。

こうして、悪魔のような雇い主のもとで、ちょっとどんくさいルウの悪戦苦闘の日々が始まります。

一生懸命なルウなのに、そんな彼女に悪態をつくウィル。彼の言動にむかついたり、ルウに気持ち加担したり、読者は気付くと感情移入しています。やり取りに臨場感があり、ケンカというのはつくづく人を夢中にさせるものだなと思ってしまいます。

英語で読む醍醐味

イギリスの作家が書いたイギリスの町が舞台の物語です。よって、ちょっとした表現や登場人物の会話内の言葉のチョイスから、イギリス英語が味わえます。

ルウや彼女の家族、ウィルとその家族など、登場人物も個性が強くてわかりやすく、読み手にはありがたいです。家族同士の会話も、庶民的なルウの家庭とハイソなウィルの家庭では全く違うので、興味深いです。

本自体は500ページ越えでボリュームが大きいのですが、結構あっという間に読めました。

(以下ほぼネタバレ)

ストーリーとしては、ケンカばっかの少々漫画的な軽い導入部分から、恋愛感情へ移っていく様子が丁寧に描かれていいますが、その先には重い問題提起が待っている……という「スローなジェットコースター」みたいなストーリーです。

ルウがウィルの介護を始める前から、そもそもウィルは安楽死を望んでいたのです。ルウはその間のつなぎ。そして、計画通り……。

「Me Before You」という本のタイトルですが、「前から決めていた」というウィルの意志をルウが「それは私に出会う前(Before Me)でしょ?」というシーンに意味が込められていると思います。

なので、「あなたに出会う前の私」という意味だと思っています。

さて、この結末、あなたはどう思われるでしょうか? 

私はいまだに分からないままです。これは小説ですが、先日報道されていた京都で起こった事件(SNSで知り合った患者と医師の”契約”の事件)などを考えた時、答えの出しようがないですね。

自分の身に起こって初めて、「死ぬ権利」を希望する気持ちがわかるのかもしれません。

おまけ

映画のトレイラーです。原作者やキャストのインタビュー付きです。(このブロンドの女性が原作者のJojo Moyes )

作品データ

著者:ジョジョ・モイース  Jojo Moyes
2012年出版 528ページ
英語:イギリス英語 
難易度★★★★☆
要注意描写★★☆☆☆

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Lily(悪魔の英語術)
英語を習得したい、上手くなりたいというのは多くの人の普遍的な希望ですよね。こうすればいいよと言葉で表現することのむつかしさをかみしめています。楽しくて自然に英語が身に付いていくような、そんなコンテンツの発信を目指しています。