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おすすめAudible英語本:Where the Crawdads Sing(ザリガニの鳴くところ)

英語学習にはAmazon Audible。Lilyはオーディブルで、日々英語シャワーを浴びてます。読書好きには一石二鳥。

今回は、大ベストセラー「ザリガニの鳴くところ」をご紹介します。2019年に最も売れた本だそうです。映画化もされるそうで、とても楽しみです。

両親や兄姉から取り残され、アメリカ南部の湿地帯でたった一人で生きる少女カイアの物語。Marsh Girl(湿地の子)と呼ばれ、孤独ながらも豊かな自然と対話しつつ、賢く逞しく生きるカイア。ほろ苦い恋も経験し、強く美しい女性へと成長した彼女でしたが、湿地で、街の裕福な青年の死体が発見された時、嫌疑が彼女にかけられてしまいます。逮捕されたカイアは無実となるのか。真犯人は誰なのか?

作品データ

原題:Where the Crawdads Sing
邦題:ザリガニの鳴くところ
著者:Delia Owens
書籍出版年:2018
ジャンル:人間ドラマ/ミステリー
ナレーター:Cassandra Campbell
再生時間:12 時間 12 分
発音:アメリカ英語(会話:南部訛り)
英語難易度:★★★☆☆
単語レベル:★★★★☆
卑語/暴力/性/薬物:★★★☆☆
キーワード:アメリカ南部 自然 湿地 自然保護 偏見 女性蔑視 貧困 ネグレクト 殺人事件 

★の数は、あくまでもLilyの主観です。ご了承の上、ご参照下さい。

おすすめポイント

大ベストセラーで、映画化も決まっているという人気作だけあって、気品と美的感覚溢れる表現の中に、ミステリー要素とスリルを散りばめてあり、読者を惹きつける力のある作品です。

モチーフ的にはヤングアダルト向けの小説とも言えそうで、英語は思ったより平易でわかりやすかったです。

単語は、普段聞きなれない鳥類や植物、海洋生物など、自然界の単語が多く、また後半は裁判用語が多用されます。なので星4つとしましたが、英検などのレベルで考えると、さほど高くはないと思います。裁判用語も、ミステリー小説を読み慣れている人には、逆に聴きなれている単語かもしれません。

ナレーターのCassandra Campbellさんは、老若男女、多人種、様々なバックグラウンドの登場人物の声色を、一人で見事に演じ分けていて、本当に芸達者だなと思いました。

下記でぜひサンプル音声を聴いてみて下さい。

アメリカ南部には今も多くの湿地帯があり、受け継がれてきた自然環境の中、貴重な生態系が残されているそうです。この小説の著者Owensは動物学者ですので、観察眼が人並み外れているのでしょう、自然の描写、動植物の描写がとても美しいです。自然にまつわる美しい単語や表現をたくさん知ることができる、オリジナリティに溢れ、独特の気品に満ちた小説です。

あらすじ

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ノースカロライナの湿地帯に住む極貧の家庭の末っ子に生まれたカイア。酒乱の父の暴力で母が家出、兄や姉たちも一人また一人と家を出て、とうとう父親も帰らなくなり、カイアは6歳にしてたった一人で生きていかなくてはならなくなります。(…ってそんなことある?)父のボートを見よう見まねで操縦し、海に出てはムール貝を採り、それを売ったお金で、ボートのガソリンとグリッツ(コーン粥になる食物。南部の名物)を買って食いつないでいました。(…ってまじで?)ある日、水路で迷ったカイアを漁師の息子テイトが助けます。町の人々から”Marsh Girl (湿地の子)”と蔑まれ、偏見の対象となって学校へも行けないカイアに、テイトは根気強く読み書きを教えます。(…ってありえる?)やがて成長した二人は惹かれ合いますが。。。

閲覧注意!ココからややネタバレ

惹かれ合うカイアとテイトですが、あまりに特異な生い立ちで形成されたカイアの性格とライフスタイルに、テイトの心に迷いが生じ、自らフェードアウトしてしまいます。やがて町の裕福な青年チェイスがカイアに興味を持ち、彼女を「所有」しようとします。自由を愛するカイアは、チェイスの束縛から逃げようとして揉めてしまい、激しい喧嘩を漁師に目撃されてしまいます。そんなある日、チェイスが湿地で遺体となって発見されます。事故なのか事件あのか?保安官は、現場の状況や漁師の目撃情報から、カイアに疑いを掛け、確信的証拠もないまま彼女を勾留します。偏見を持ち続ける町の住民も彼女が犯人と考えます。カイアの味方は、唯一の理解者テイトと、幼い頃からカイアからムール貝を買い受け、折を見て面倒を見てきた雑貨店の黒人夫婦のみでした。しかし、リタイアしたある老弁護士がカイアの弁護を買って出て、裁判が始まります。カイアの運命やいかに・・・

チェイスの殺害事件がストーリーの軸になっていますが、物語の最後で、読者(と登場人物の一人)にだけ、事件の真相が明かされます。これはおそらく「驚きの真実」として読者に提示される意図だと思いますが、私は正直「う~ん」と唸ってしまい、しっくり落ち着かず、すんなりとは受け入れることができませんでした。確かに、真相が分かった時点で、物語自体はとても面白い展開を見せたと言えるのですが、一方で、この物語が表現してきたテーマの色合いが、ものすごいスピードで濁った感じがしました。まあそれも作者の意図通りなのかもしれません。

「Did he deserve to die? Was he that evil?」(独り言)

これ以上ネタバレしてはいけませんので、この辺で…

著者について

著者ディーリア・オーウェンズ(Delia Owens)は、1949年ジョージア生まれ。この作品が初めての書いた小説とのことですので、何と70歳での小説家デビューということになります。

とは言え、彼女は動物学者ですので、20年以上アフリカに住んで調査研究をされていて、同じく動物学者の当時の夫と、何冊も研究論文を発表しておられるそうです。

動物学者としての観察眼と見識がこの小説に生きていますね。

インタビューを聴いたのですが、「6歳の少女が一人で生きていける気候や自然環境かを考えて、この小説の舞台にノースカロライナの湿地帯を選んだ」のだそうです。

とすると、前のあらすじでチャチャ入れした私の言葉、((…ってそんなことある?)とか…)撤回しなければなりませんね。

何かで読んだのですが(なので確実な情報とは言いかねますが)、この小説のヒットには熱烈なファンの援護射撃があったそうです。たくさん本を買い占めてベストセラーの軌道に乗せたとか乗せなかったとか…

それが事実であったとしても、無かったとしても、確かに印象深い面白い小説だったと思います。

本はこちら

日本語訳はこちら

Audibleって何?って方には、こちらの記事で詳しく解説しています。


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Lily(悪魔の英語術)
英語を習得したい、上手くなりたいというのは多くの人の普遍的な希望ですよね。こうすればいいよと言葉で表現することのむつかしさをかみしめています。楽しくて自然に英語が身に付いていくような、そんなコンテンツの発信を目指しています。