【映画レビュー】 巨鰐メガ・クロコダイルをレビュー
こんにちは。
今回は中国の2019年のB級映画 巨鰐 メガ・クロコダイルをレビューしていこうと思います。
ネタバレ注意。
ざっくりとしたあらすじ
東南アジアのとある地域にて、ゾンビのようにボロボロの奇妙な鰐が発見される。
「イリエワニだろう――それも、本来は”地獄島”に居る筈の種類だ」。
そう言い当てたのは昼行燈な動物学者、ハン。
ハンが不審に思いながらも自分の小屋で酒を呑み直していると、いかにもといった風貌の美人女社長、付き人の眼鏡の付き人、アジア系の顔つきが並ぶ中で異彩を放つ外見の用心棒と出会う。
女社長は地獄島で行方不明になった自身の弟をハンに探してもらいたいと願い出る。
しかしそこには毒ガス蔓延る地域、吸血ヒル、そして地獄島に居るワニよりも巨大な突然変異のワニが居て……。
この作品はどこの映画レビューサイトへ行っても星1や、最高で星2.5といった評価が多く、これは個人的には不当だと思っています。
曰く、「ストーリーがありきたり」「先の展開が読める」「ツッコミどころが多すぎる」……といったものが多いようです。
私自身がB級映画が肌に合うからでしょうか、思うに、エンタメ作品というのはこれぐらいで良いような気がします。
見所
この作品を一言でいうなれば、思考停止で勢いを楽しむモンスターパニックモノです。
内容は大体あらすじに書いてある通り、昼行燈だけどやる時はやる有能でマッチョな主人公(シュワちゃんの頼もしさに近い)、若手の美人女社長、金にがめつそうながらギャグシーンの多い秘書のおデブちゃん、戦闘要員かと思いきやかませの用心棒が地獄島という場所で冒険を繰り広げるモンスターパニックものです。
まずワニ以外に視聴者に見せてくれるのが、ラフレシア(実際はハエトリグサを大きくしたような食人植物)の襲撃や、度々映る犠牲者の死体(新鮮な様に思われるがこれが伏線)、吸血ヒルへの対処法がライターにアルコールを吹きかけた即席の火炎放射だったりと、前半は完全に未知の島を冒険するサバイバル感が楽しめるようになっていて、テンポも良い。
血気盛んながら、その実臆病な用心棒が吸血ヒルを挑発して逆に襲われる原因を作ったり、途中で出てきた調査隊だという男が地獄島に巨大ワニが居つく原因になっていたり、と隅々まで登場人物に役割があてがわれていて、王道的で楽しく、視聴者の目を飽きさせないアクションと絵図が連続しています。
最後はバイオハザード2のワニさんよろしく、燃料タンクの中へ飛び込ませ、主人公が手榴弾を放り投げ爆破。
最後まで崖に上って来るもそれも主人公のボウガンで射貫き、見事討伐完了。
総合評価
個人的に評価するとすれば、星3は付けたい所です。
ただ、近頃の映画として見るとCGがまるでPS3時代のムービーに出て来るクリーチャーのようで確かに美麗なCGに慣れた人からすれば苦しいかもしれません。
同年代の美麗なCGの例 ゴジラキングオブモンスターズ等
PS3の参考CG(因みにPS3は2006年11月発売。この動画のAFRICAは2008年発売)
余談
余談ですが、作中で出てきたワニはガンへの抗体を持つものとして、特効薬を作り出す為に遺伝子操作されていますが、ガンとまではいかずとも、案外ワニから薬を作り出すというのも夢物語ではないようです。
https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9502/9502_index.pdf
(↑生物工学誌のリンク)
またワニだけに限らず、実際に様々な生物がサプリメントや医薬品の素材になっているようです。
それから、映画に出てくる吸血ヒルは実在しますので、山岳地帯にお出かけになる際はご注意を。
因みに、ラフレシアの外見はこんな感じで、名前だけ借りているようです。
大きな花といえば、というわかりやすい発想で借りているのかも―――と考えましたが、どうやら歴史的にも食人植物ではないかと疑われていた時期があったそうです。
また、途中で島で巨大ワニが出て来る原因となった研究所に居た寄生型のゾウムシですが(宿主の声を真似し、肉を内部から喰らっている辺りメイドインアビスのクオンガタリに近い)、肉食ではないにせよ対象の体に穴を空けて中身を削り、餌として食べるという性質はオリーブアナアキゾウムシなどの種を思わせます。
なお、映画作中の外見はエキゾチックな雰囲気を出す為か、まるで発光する羽化したてのヒメカブトのように見えます。
巨大ワニについて
巨大ワニそのものも、三分の二は実在していて三分の一は都市伝説だ、と言えます。
ギュスターヴ、という人食いの巨大ワニ(ナイルワニですがクロコダイル科ではあるので実質リアルメガクロコダイル)です。
体は機関銃や小銃でも致命傷には至らず、推定体長6mはあり、現在60代という高齢。
また、映画でも語られていたイリエワニという種も居ます。
こちらもクロコダイル科で、種単位で平均4m、海水に耐性があって渡れるという怪物です。
こちらは捕獲されましたが、人食いの巨大個体、ロロンも居た様です。
更に、ワニというわかりやすく恐ろし気で、恐竜を思わせる造形はどうやら世界共通で大きくなるようなイメージがあるらしく、アメリカでは「ニューヨークの下水道には巨大ワニが居る」という都市伝説もあるようです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
機会がございましたら、またレビュー+豆知識語りしようと思います。
この作品、小説もあるらしい……日本語訳があったら読もうかな、中国語はまだ勉強してないし。
因みにAmazonprimeに会員登録すれば、無料で視聴できますのでよければ。
↓吹き替え版
↓字幕版
それでは。