【最近気付いた細菌スゲエ】011 赤ちゃんとビフィズス菌
赤ちゃんは、ほぼ無菌状態で生まれてきます。胎盤を通じてお母さんの菌を引き継ぐのではないようです(そのように考える人もいるようですが、検証されていません。)。
自然分娩
経膣出産ともいいます。経膣出産の際、お母さんの膣内の菌を赤ちゃんが受け取ることがわかっています。
赤ちゃんは生後一週間で腸内の99%がビフィズス菌で占められます。(そもそもビフィズス菌は、赤ちゃんの糞便から発見されました。)
まず最初の不思議。お母さんの膣内の細菌叢(さいきんそう)が妊娠期間中変化していくことです。妊娠前期は腸内細菌叢とそんなに変わらないのが、妊娠後期になるとビフィズス菌優位になるんですって!
赤ちゃんは生後3ヶ月位までビフィズス菌と共に生きます。
ビフィズス菌は、腸内環境を酸性に保つので、いわゆる悪玉菌の繁殖を防ぐとされていますが、本当のところはよくわかっていないようです。
帝王切開
じゃあ、帝王切開の場合は菌はどうなるでしょう?
消毒・無菌状態で手術しますから、赤ちゃんも無菌状態のまま生まれます。そのまま長くNICUで過ごしたりすると、中には現代病を抱える子供になってしまうケースもあるようです。潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、糖尿病、アレルギー症状、情緒不安定など。
帝王切開で生まれたとしても、母乳を与えると、腸内環境がビフィズス菌優位になるみたいですよ。
赤ちゃんの腸内環境を整えるために、お母さんの膣内にガーゼを入れておいて、帝王切開で赤ちゃんを取り上げた瞬間にそのガーゼで体を拭ってあげるという治療法もあります。
母乳の不思議
不思議なことに、母乳にはビフィズス菌が含まれているそうです。腸にいるビフィズス菌が、体の中を通って乳腺に入って母乳と一緒に出てくる。なんでビフィズス菌だけが移動してくるのか??なぞです。
そして赤ちゃんが母乳を飲む。赤ちゃんの腸内のビフィズス菌がヒトミルクオリゴ糖を分解する。ビフィズス菌大喜び。すごく不思議なことに、赤ちゃん自体はヒトミルクオリゴ糖を消化したり栄養を得たりすることができないのです。まるでビフィズス菌のために母乳を与えるようですね。
離乳食
さあ、そして離乳食が始まります。ここからビフィズス菌優位から多様な腸内細菌叢(フローラ)に変化していきます。3歳位にはもう成人と同等のフローラになるそうです。
赤ちゃんはまるで、ビフィズス菌に守られて生まれてくるようですね。
参照文献:
『腸内細菌キャラ図鑑』44〜45頁
アランナ・コリン『あなたの体は9割が細菌』第7章産声を上げたときから
腸内細菌学雑誌33巻1号2019年『新生児・乳児期の腸内細菌叢とその形成因子』
小児科臨床Vol72No1 2019 『乳児期における腸内細菌叢の形成とその乱れ』
科学と生物56(4) 2018 『乳児腸内フローラの形成機構 生涯の健康状態をさゆうする重大イベント』