門司港の夜
北九州は冷たい海風が吹いてくる季節を迎えた。関門海峡の街「門司港レトロ」では、冬から春まで続く恒例のライトアップと街路樹のイルミネーションが点灯し、街全体が輝いて見える。
いつもは海外旅行者で賑わうこの界隈だが、今はオーバーツーリズムとは無縁のような静寂に包まれている。おそらく中国人旅行者の大半が韓国へ向かうようになったからではないかと思う。
明治から大正にかけて建てられた洋風建築、近代的なシティホテル、土産物店、飲食店などが建ち並ぶこの港町には、大都会やテーマパークのような派手さはないが、来る度に心地よい静けさを味わえる街だ。
港の水面に揺らめく灯りを眺めていると、「人間関係は鏡の法則」という話を思い出した。
「鏡の法則」とは「自分自身の感情や態度が周囲の人々に反映され、その結果として返ってくる」という心理学的な思考アプローチです。この理論では、自分がどのように感じ、どのように振る舞うかが、他人の自分に対する反応を左右すると考えます。つまり、自分が他人に対して抱く態度や行動が、まるで鏡のように反射され、相手から同じような態度や感情で返されるということです。
この法則は、ポジティブな態度や行動がポジティブな結果を引き寄せるという「引き寄せの法則」とも通じる部分がありますが、鏡の法則はより具体的に人間関係のダイナミクス（力学）に焦点を当てています。例えば、あなたが他人を尊重し、親切に接することで、相手もまた同じようにあなたに対して尊重と親切をもって接してくれる可能性が高まると考えることができます。
多くの心理学者やコミュニケーション専門家が、この「鏡の法則」を使って、人間関係の問題を解析し改善する方法を提唱しています。自分自身の内面と外向けの態度を見つめ直すことで、周囲の人との関係を改善し、より充実した人間関係を築くための第一歩となるのです。
鏡の法則を適応することによって問題が改善するのは、目の前にある関係性だけではない。無意識の内に抱えていた問題にまで影響が及ぶこともある。
例えば、父親との関係性に問題を感じている場合、父親によく似たタイプの男性を目の前にすると苦手意識を抱くことがある。ところがその男性の中に好感が持てる要素を見い出し、苦手意識が軽くなると、その相手だけでなく、父親との関係性もいつの間にか改善されている、ということが起こり得る。
つまり、新たに生まれたポジティブなエネルギーと、無意識の内に抱えていた古いネガティブなエネルギーが、自分自身の中で出会い、プラスマイナスゼロとなって中和される。すると意識はその両方のエネルギーを一度に俯瞰できる視点へと引き上げられる。その結果、今まで引きずっていた問題が、深刻な問題には見えず、小さな事柄に思えたり、或いは手放せるようになったりする。
この鏡の法則は、風景にも当てはまると思う。門司港レトロにはこれまでに何回も訪れ、その都度写真に撮り投稿してきた。来る度にそれまで気づかなかった新たな視点に気づく。街の歴史を紐解き、周辺地域にも足を延ばし、街の人々との交流を通じて、理解を深める。すると同じ風景を見ていても、より多層的な景色が見え、撮る写真も変わってくる。
港は鉄道駅や空港などと同じように、出発地と目的地とをつなく旅の経由地であると同時に、我が家に帰ってきたような安堵を感じるひとときでもある。それは過去の旅路を振り返り、英気を養い、そして再び旅を始める基点となっていく。
明治、大正、昭和と続く激動の時代、実に多くの人々がこの街を通り抜け、また憩いのひとときを過ごしてきた。或いはこの地に生まれ育った人、移り住んできた人、よその土地へ移った人もいる。そうした歴史の痕跡を辿っていくと、定住するしないに関わらず、人生とは旅であり、人は旅人だとつくづく思う。
この街を通り過ぎていった何十万、何百万の人々の想いは人それぞれだ。しかしいつの時代も、そして今も、人は魂の安息の地を求め、旅路を歩んでいる。
こうして穏やかな門司港の夜を眺めていると、無数の光が水面に揺らめく様子は、あたかもそうした旅人たちの想いがひとつひとつ映し出された鏡のように見える。そして光と影のその向こうにある永遠のような海の静寂は、魂が求める安息の地を暗示しているように思えてくるのだ。
北九州市門司区 門司港レトロ
レトロな駅舎に合わせてデザインされたこの駅だけの特別な制服とのこと
(※SNS投稿了承済み)
C’est Magnifique
Melody Gardot
ああ何て美しい夢でしょう
何と美しい光景なんでしょう
素晴らしいわ
穏やかな熱帯の海
珊瑚とクリームの色
素晴らしいわ
拡がっていく
私はそこにいたわ
私はそこにいた
私はそこにいた
あなただけが見ていなかった
私の太陽は海に落ちる
私はそこにいたわ
私はそこにいた
私はそこにいた
あなただけが見ていなかった
私の太陽が海に落ちる
海に落ちる
海に落ちる
お疲れ様です
いつもありがとうございます
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