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陽は沈み月輝く



北九州市郊外黒崎城址の高台から見た西の空
慌ただしかった一日も
あっという間に過ぎ去ってゆく




関門海峡から10キロほど奥まった
洞海湾の西端附近まで北九州市の工業地帯が続いている
昼間の喧騒が静まるのを見届けるように
丘陵の向こうに陽が沈んでいく



太陽の中心から少し左に大きな黒点が一つ
中心からやや右上に小さな黒点が縦に4カ所並んでいる
小さいものでも地球数個分の大きさとのこと
黒点の温度はおよそ4000℃
周囲からは2000℃も低い
強力な磁場が存在し
近くではフレア爆発や太陽風の噴き出しなど
地球や人体にも影響を及ぼす現象が起き続けている



丘陵の向こう側は北九州の農村地帯
そのさらに先は響灘の海が広がる
街が宇宙の闇に包まれてゆき
やがて太古の静寂を取り戻すひとときが訪れる



同じ日の夕刻
響灘に三日月と金星が並んで現れた
今週は3日間接近が続いた
月と金星との距離はおよそ4,100万キロメートルから
2億5,820万キロメートルの間を変動する
地球から金星が見えるのは日の出前か
もしくは日没後のそれぞれ数時間のみ
金星は太陽と地球の間に存在しているからだ
(惑星ナビ参照)



時が経つにつれ
黄昏色に染まる水平線が
ゆっくりと滲むように溶けてゆく
夜の帳が降りると
月と星は輝きをさらに増してゆく



月と金星のランデブー
漆黒の宇宙の中でようやく月や星は光輝く

街の喧騒と頭の中のおしゃべりが静まり
夜の憩いのひとときを迎えたとき
ようやく心の安堵と静けさに気づくのと
どこか似ているなと思う





落下する夕方
西村由紀江



夕暮れ散歩に御一緒いただきありがとうございます





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燿
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