先日、2日間ほど生まれ故郷の東京へ帰省した。今年98歳になるお袋の顔を見るためだった。車椅子生活だが、口だけは相変わらず達者で、よく喋り、よく食べる。
今回は時間が限られていたので、カメラは持っていかず、写真はスマホで目に留まったものを数枚だけ撮った。カメラよりも、構図を決める操作に手間取る。とりあえず旅の記録として残しておこう。
東京を離れ、滋賀から福岡へ、西へ西へと地方暮らしを続けること20年。それはあっという間だった気もする。
今回、2年ぶりに見る都会の風景は、より大きく高く、煌びやかになっていた。日本の中にあって、東京は遠い異国のような見知らぬ土地に見えてくる。東京一極集中と言われる社会構造は、時間が経てば経つほど、より鮮明になってゆくのだろう。
どの駅前も高層ビルが立ち並び、そのスケールに圧倒され、道行く人も自分も小さく見える。空が遠く感じる。飲食店の数がとても多く、バラエティに富んでいる。コンビニに入っただけでも、陳列棚には見たこともない商品がズラリと並んでいる光景を見て驚く。
西洋人観光客の姿がとても多い。駅ビルの食品街は日本人よりも外人の方が多いのではないか。皆、夢中になってウインドウの中を覗き込んでいる。最近は日本の伝統文化や食文化への関心が随分と高まっているようだ。
BBCでは日本に関する特集番組を放送し、日本文化がこれからの世界をリードすることになるだろうとまで言っていた。
昔は高度経済成長期のうねりに疲れた顔の人が多かった。今は老若男女問わず明るく元気な人が随分と目立つ。個性豊かで、お洒落になり、颯爽と歩いている。これだけ人口密度が高いのに、ストレスやプレッシャーを跳ね除け、自分の居場所をしっかり確立している人が多いのかもしれない。
地方から東京への人口集中の動きは一時コロナ禍で鈍化していたが、昨年からは復活。特に若い女性の転入が増加したとのこと。若い人にとってはやはり東京は魅力溢れる街なのだろう。経済、文化、教育、生活水準あらゆる面で地方との格差は広がり続けている。
その一方で、地方には豊かな自然が残されている。美しい海や山がすぐ近くにあり、星空もよく見え、宇宙がより身近なものに感じる。酸素濃度が濃く、呼吸するのが楽だ。大地のエネルギーにグラウンディングしやすいので、足腰に力が入る。人混みが少なくゆったりしている。何を食べても美味い。
都市と地方。それぞれ一長一短、それぞれの魅力があり、どちらが良い悪いではない。どこにいても、どのような境遇にあっても、自分自身を見守り、世界を見つめることができる場であるならば、そこが自分の居場所となるのではないかと改めて思う。
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ありがとうございます