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おはようにゃんこ9



 昨年春に出会った2匹のさくら猫との不思議な交流が1年以上になる。今までに幾度となく投稿してきたT公園の「福ちゃん♀」と「モモちゃん♂」。始まりは朝の公園を散歩する道すがら、いつも決まって同じ所にたむろしている姿を見かけ、近くに寄って写真を撮ったりしたところからだった。
それまで自分は猫好きという訳ではなく、飼ったこともないどころか、ほとんど触れたことすらなかった。それが彼らの方から近づいてくるようになり、こちらの心を開かされたという訳だ。

擦り寄ってくるのは食べ物を与えてくれると思っているから。「ツンデレ」という言葉通り、なければプイっとどこかへ行ってしまう。
そうかと思えば時々目の前でお腹を見せてごろんとして、なかなか傍から離れずに毛づくろいをしたり、そのまま目をつむって寛いでいたりすることもある。立ち去ろうとすると、にゃーと鳴きながら追いかけてきたりもする。それはそれで可愛いのだが、如何せん「ツン」と「デレ」の使い分けがその日の気分によって違うのに振り回される。猫との交流がこれまでの人生でなかったが故に、このツンデレに慣れるまでには時間がかかった。

左:モモちゃん♂  右:福ちゃん♀
これだけの至近距離で2匹が一緒にいる光景は意外と少ない

この2匹は大抵同じエリアで暮らしているが、付かず離れずといった関係で、いつも適度な距離を置き、お互いを意識しつつ、くっついたり、一緒に遊ぶということはまずない。近すぎるとどちらかが猫パンチを繰り出して、あっちへ行けとやっている。縄張りの巡回もそれぞれが別の場所に、それぞれのペースで出かけている。

日向ぼっこも別々の場所で




 1年以上にわたり彼らと接していると性格の違いや、この1年での変化もよく分かってきた。

モモちゃんは以前いつもマイペースでゴロンとしているのが大好きだった。クールな性格で、ほとんど擦り寄ってくるということがなかった。食欲もなく、あまり動いている姿を見ないので、どこか体の具合でも悪いのかと思うほどだった。

ところが今年になってからは急に動きが活発になった。よく縄張りの見回りに外出していることが多い。彼らの暮らす場所はこんもりとした森の丘だが、この丘を歩いているとあちこちで巡回しているモモちゃんと出会う。意外なほど広範囲に遠征している。途中で出会うと遠くからでもにゃあにゃあ鳴きながら、駆け寄ってくるところがたいへんカワユイ。

森の中を巡回中のモモちゃん
出会うとすぐに駆け寄ってくる


木陰をじっと見つめる


じっと見上げる


巡回中










 福ちゃんも最近だいぶ性格が変わってきた。以前はほとんどなかったツンデレの「ツン」が増えた。かと言って近くに来ないという訳でもない。ひとしきり可愛がってもらう(触らせてあげる?)と満足して縄張りの見回りへといそいそと出かける。

福ちゃんもまたかなり遠くで姿を見たことがある。ある時縄張りの見回りについていってみると、森の木立の中へと分け入っていき、太い幹を駆け上がっていく姿を目撃した。どうやら高い樹の枝に留まった野鳥を狙っていたようだった。普段目にする福ちゃんはのんびり穏やかな性格だが、森の中を駆け巡る時には密かに野生本能を剥き出しにして、逞しいハンターとなっていたのだ。

こうして1年間を振り返ってみると、福ちゃんにしろモモちゃんにしろ、逞しく成長したなと思う。やはり公園という厳しい生活環境で、森を自由自在に歩き回り、独立独歩を勝ち得たようなその強さには敬服する。人の目から見ると地域猫たちは外に置かれて可哀想と思うのが自然かもしれないが、この2匹を見ている限りそうしたネガを感じさせない。環境から受けるプレッシャーをはねのけて、自分たちの猫生をエンジョイしているようにしか見えない。

そして他の場所にいる地域猫たちと比べるとよく分かるが、この2匹は断然人馴れ度が高く、必然的に世話をしてくれる人の数が多いので、食料に困るということはない。誰にでも愛想がよくデレデレしている。そこをうまく活用して、自分の生き方は見失わないという柔軟さを身に付けたのだろうと思う。

環境に屈せず強く生き続けること。
自分を大切にすること。
人間とのよりよい関係性を持続させること。
独立心を失わないこと。
野生本能を忘れないこと。
自由であること。

この2匹が見せてくれる「猫魂」からは目が離せない。

すぐに寄ってくる福ちゃん



















同じT公園にいる別のエリアの仔たち。彼らにもまた別に世話をする人たちが必ずいるので、みな元気いっぱいに生きている。









※この記事に書いた文章には一部訂正する必要性があり、そのことについて以下の記事に書きましたので、どうぞご覧ください。


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燿
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