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テレビの"つまらなさと"YouTubeのテレビ化
はじめに
近年、「テレビがつまらない」「テレビを見なくなった」と言う人が筆者の周辺で増えている。実際に筆者も、ここ5年ぐらいはテレビを見る時間が昔と比べて随分と減った。
しかし、テレビが完全につまらなくなったと言うと甚だ疑問である。
本当にテレビ全体がつまらなくなったのか
個人的な感想になってしまうが、これはあり得ないと思う。筆者はドラマもまだまだ面白いものがあるように感じるし、アニメも毎週楽しみにしている、だからテレビの全てがつまらないとは微塵も思わない。
逆にバラエティ番組は、番組の内容が面白いと言うよりかは、出ている演者目当て、ブランド力に頼っており、演者に疎い筆者には"よく知らない人があまり面白くないことをしている"ように映る、おそらく内輪にはウケがいいのだろうが、内輪に含まれていない者にはさっぱり面白さが分からないと言った感じだ。
また、尺のために引き伸ばしたような、内容の薄い番組構成などもつまらなさに拍車をかけている。
本当につまらないと言われているのは
テレビがつまらないと言われる原因として、筆者が先程面白いと言ったドラマやアニメと言ったコンテンツが、アマゾンプライム等の配信サービスでも見られるようになったことが大きいと考えている。これらのコンテンツがテレビに頼らずとも簡単に見られるようになったことで、残ったバラエティ等のコンテンツを指して"テレビはつまらない"と言われているのでは無いだろうか。
YouTubeのテレビ化
ではインターネット、特に映像サービスの大手であるYouTubeは全部が全部面白いのかと問われると、最近はそうでもないと筆者は考える。
一昔前は無名の人間達が面白いコンテンツを作る場所であったYouTubeも、最近はその無名の人間だった中で売れた者にブランド力が付き始めた。
ここでテレビの"つまらなさ"についておさらいしていこう。
テレビのつまらなさの主な要因は
・尺に番組を合わせた引き伸ばしによるもの
・演者のブランド力に頼ったもの
の2つであると前回の項目で筆者は指摘した
これはYouTubeでも既に起こっていることである。
YouTubeに尺はないので、一見おかしな主張に見えるだろうが、YouTubeにも尺と言う概念は存在する。
その理由はYouTubeの広告の仕組みにあり、8分未満の動画にはミッドロール広告、つまり動画の途中で再生される広告が挿入出来ないようになっている、これにより8分が動画を作る上での実質的な尺となる。
次に演者のブランド力に頼ったコンテンツについてだ。
動画投稿者として名を上げていくと、内容がつまらなくても、見る価値が無いようなものでも安定して動画が伸び続けてしまうことがあり、そうなれば内容ではなく投稿者のブランド力で再生数を得る方針にシフトする者が出てくる。
これに前述した尺の要素が加わり、動画時間8分以上をノルマとした粗雑な動画が義務的に投稿される地獄のようなチャンネルが出来上がってしまう。
特に動画投稿者や有名人同士が集まったタイプのチャンネルは内容が薄い対談動画をやたら動画時間を長くして投稿しがちであり、演者のファンを釣って再生数を稼ごうと言う意志が透けて見える。
この悪しき構造こそがYouTubeのテレビ化ではないかと筆者は考えている。
最後に
テレビ化と言うものの、テレビの方が先であっただけで、つまらない構造自体はYouTubeでも十分に起こり得ることである。未来のYouTubeが見るに堪えないコンテンツで溢れないことを祈るばかりだ。