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『魔法・想像』#17
~乃木国北側~
○:(光の勇者、死んだはずの西ノ国の民を名乗るやつ
ら、音信不通の影龍に賀喜……)
七:○○
○:お、来てくれたか
急遽場所を変えてしもうて悪かったな
松:それで話って?
○:各所で起こってる暴動の犯人に少し心当たりがあっ
てな
オレの失態やねんけど生徒が既に巻き込まれてるかも
しれんくて、今から行くわけやけど
犯人の魔法は十中八九………
………………………
○:ホンマにエエんか?
命の保障はないで
松:何弱気になってんねん
エエから、早よ行くで
○:…………分かった、ほな飛ぶで パチンッ
3時間後
山岳地帯に飛んだ3人
七:ここが修行させてた場所?
○:そ、やっぱりおらんか
本来いるはずの影龍も賀喜の姿もそこには無く、ただただ不安な感情を煽るかのごとく心地よい風が吹いている
松:どうする?
手分けして軽く捜索する?
○:せやな、それがエエわ
七:……○○、まちゅ
○:噂をすれば向こうから来てくれたな
松:探す手間省けたやん
空が黒く染まり3人は見上げる
そこには赤い瞳孔に翼が生えた人影が
○:賀喜……やんな
賀:……………
斬魔法《断絶》
○:!?
金属魔法《金剛盾》!
○○の出した盾に深い切り込みが入る
松:○○!大丈夫!?
○:あぁ…ギリな……っ!
りんご!後ろ!
賀喜は松村の背後に回り込み殴りかかる
松村は両腕でのガードに間に合うが遠方まで吹っ飛ばされてしまう
七:魔力武術 裂脚!
西野渾身の一撃を賀喜に当てるが片腕でガードされる
賀喜から一度距離を取る2人
七:……思ったより硬いな
しかも○○に撃った斬撃………
○:不可視の斬撃、覚醒してんな
七:しかも何?あの翼は
○:そりゃアレは……
賀:影魔法 《永陰影団》
地面から真っ黒の人形兵士が生み出されその数は優に1000を超えていた
○:影龍との合体やろうな
七:そのレベルに達するの早すぎやろ!
○:あの野郎が原因やろな
お、帰ってきた
上空から松村が拳を構えている
松:よくもさっきはやってくれたなぁ!
さ~ゆ~Ready?
魔力武術!
さゆりんご~!パ~~ンチッ!!!!!
魔力を宿した拳は空を叩き地面を陥没させ、粉塵が巻き起こる
人形兵士は塵も残っていなかった
○:相も変わらず威力が段違いやな
七:そりゃそうやろ
○○に魔力武術教えたん誰や思てんねん
○:お二方です
その節はありがとうございやした
賀:…………………
粉塵の中から脱出した賀喜
未だに表情を1つも変えないところを見るとまるで別人の様であった
○:さて、どうするか
?:あら、何か困り事?
○:かなり困り事や、お前らのせいでな
■:フフフ、私達の邪魔をしようとするからや
○:アホんだら、お前らがあたおかやからやろ
✕:エエ加減、俺らに身体を渡せや○○
■■ 降霊魔法
死者の怨念のみをこの世に顕現させ、人の身体に憑かせて操ることが可能
✕✕ 掌握魔法
他人の身体を乗っ取ること、また身体から自由に離脱することが可能
乗っ取った身体の魔法を行使できる
七:やっぱりお前らか
松:○○の予想通りやったな
○:おい✕✕………今日はそのために来たんや
✕:どういうことや
○:お前らをここで殺しきることは不可能やし、これ以
上オレの生徒に手を出されても困るからな
せやから身体を渡しに来た
✕:(何か企みがあるんか……まぁ乗っ取ればこっちのもん
やけど)
………こちら側からしたら有り難いことこの上ない
○:ならとっととしてくれ
✕:ほなお前の身体と魔法貰うで、○○
七:うちらにも集めた怨念全部よこせや
自壊するような柔な身体ちゃうから
✕✕と■■は目を合わせコクリと頷く
■:……分かったわ
黒いもやが○○の中に、半透明の火の玉のようなものが西野と松村の中に入っていく
●:ようやく……ようやく手に入れた!
この身体、魔力、魔法!
言葉にしがたい高揚感や……!
■:こっちも滞りなく支配完了よ
●:今になって差し出してきたのは癪やけどまぁエエわ
あとは適当に蹴散らして無限の魔力を手に入れるだ
けやな
折角やし宣戦布告するか
■:さんせーい
なら迫力は大事やね
賀喜と影龍が分離し、賀喜の身体が元に戻る
パチンッ
一方、林は山下に魔力武術を教わっていた
林:(拳に魔力を込めて維持……)
………難しいですね
山:てかそこまでしなくてもさ
十分強いから良いんじゃないの?
林:○○先生に何かあったら頼むって頼られたんです
裏切るわけにはいかないじゃないですか
山:そりゃ頼られたけどさ……
○○先生が負ける未来が想像つかないんだけど
梅:それでも何があるか分かんないでしょ
とは言え、張り切りすぎも良くないんだけどね……
桃:咲月ちゃんのこと?
梅:そ、だいぶ無茶なやり方してるからさ
菅原は座禅を組み、目を閉じている
菅:………
桃:あれは何してるの?
梅:魔力を全部吐き出して無理矢理魔力のキャパを増や
してる
魔力が無くなったら普通意識も飛ぶし身体も危ないん
だけど、気合いだけでやってのけてるみたい
そしてそれを何度も……
山:魔法で凶とか引いちゃうと消費する魔力もいつもよ
り多くなるみたいだしね……
梅:てか与田とかは?
山:今出てるよ
和:さくらさんも賀喜さんから連絡ないみたいで元気無
くて…
彩:あやは○○先生いないから寂しい
弓:飛鳥先生も心なしか元気ござんせんでした
梅:言っても半日程度でしょ……
各々が自己練習しているその時…
ゾッ
生徒それぞれに悪寒が走る
林:なんですか、今の!?
遠:何か急激に近づいてきます!
山:○○先生!?
でもこの感じ…
間もなく飛鳥と橋本も走ってグラウンドまで出てくる
飛:なんで○○の魔力がこんなに歪なの!
橋:分からない!
でも嫌な予感しかしない………!
その場に居合わせた生徒達、飛鳥と橋本が空を見上げる
そこには
梅:龍種!?
飛:○○……
遠:………かっきー?
橋:なぁちゃんにまちゅまで……それに誰?
影龍の上に立っている
●●、西野、松村、■■、賀喜だった
つづく