涙の栓
泣くのは
恥ずかしいことだと教わった。
泣くのは
ずるい事だと叱られた。
それらが涙の栓となって
私の心に蓋をする。
泣かないことは
決してカッコよくなんかない。
ただ苦しいだけだ。
もし涙が
みっともなくて、
ずるいだけのものだったら、
どうして人は
泣くことを手放さなかったのだろう。
人が人として生きていくために、
涙はきっと必要だったんだ。
だから人は
長い進化の過程でも、
泣く機能を失わなかったのだろう。
なのに。
どうして私は、
泣くことを捨てなければいけないのか。
泣くことを封じなければならないのか。
私だけ。
どうして、私だけ。
たとえ人前で泣いたとて、
誰も私を責めやしないことは分かっている。
優しく慰めてくれる人がいるかもしれないことも。
でも。
私が私を許さない。
そんな情けない自分を
決して許さない。
強くなれ。強くあれ。
そんな声が
私を責め立てる。
私はどこまで強くなったらいいんだろう。