離婚と親和欲求
親和欲求とは、心理学の言葉で「誰かと一緒にいたい」「誰かと一緒にいようと行動する」という意味です。
これは人間の集団生活には欠かせない欲求ですが、環境が発達した社会ではマイナスに働くこともあるのです。
僕が感じたのは、クライアントが離婚する時。
浮気の証拠が揃い、離婚の準備も万端。あとは離婚するだけ。
そんなとき、多くのクライアントたちは一旦立ち止まり、「離婚を撤回しようと思いますがどう思いますか?」と聞いてきます。
もちろん、慎重に考えることは必要です。勢いで離婚するのは現実的ではありません。
しかし、さんざん悩んだあげくそこまで事を運んだにも関わらず、「離婚を撤回しようかな」となるのは何故でしょうか?
何に引っかかっているのかを聞くと、これもまた多くのクライアントが
「一人になるのが怖い」と言うのです。
DVや浮気というネガティブな事象に苦しめられ、やっと有利に別れることができるところまできたのに、またそこに引き返そうとする。
その動機は、経済的問題でもなく、相手への感情でもない。
「自分が1人になるのが怖い」という、親和欲求が働いていると思料されるのです。
配偶者が根本的に変わってくれたなら別ですが、この一時の親和欲求で、ここまで積み上げた離婚の準備を壊してしまうのは、本人にとってあまり良いことではありません。
こういう時に考えるべきは、ただ単に「親和欲求」から来る気持ちなのか、他にメリットのある事象から来る気持ちなのかをしっかりと判断することです。
ただ単に親和欲求から来る気持ちならば、わざわざマイナスな人物のほうに向かわずとも、新しい人間を求めたほうがいいと思います。
一旦立ち止まり、この欲求を俯瞰して見ることが大切ですね!
なんだか怖い親和欲求ですが、
この欲求を良い方向に使う方法も考えてみました。
親和欲求が強くなるタイミングは、‘’恐怖や不安を感じる時‘’です。
上記の例では、「離婚」という大きな分岐点に差し掛かるタイミングでしたね。そこには大きな不安がつきものですので、親和欲求が強くなったのでしょう。
この性質を利用すると、恋愛であれば、一緒になりたい人と‘’暗い場所‘’へ行ったり‘’ちょっとしたトラブル‘’を一緒に体験したりすると、相手の親和欲求を引き出すことができるでしょう。
これは、吊り橋効果的な側面もありますね。
又、仕事であれば、まず部下や上司の性質を確認します。
個々人が「権力欲求」が強いのか、「親和欲求」が強いのかを見極めるのです。
権力欲求とは、他者に影響を持ちたいという欲求です。簡単に言うと、支配的です。
親和欲求は、他人と仲良くなりたいという欲求ですね。これが強い方は、協調性を重視します。
親和欲求が強い方に接する時は、‘’褒める‘’‘’チームで仕事をする‘’などの方向性で接するといいでしょう。
権力欲求が強い方には、‘’地位や立場を明確にする‘’‘’責任を与える‘’という方向性で接するといいと思います。
このように、‘’他人の欲求を満たす‘’というのは、相手もいいし自分もそれによって良い方向に向かえば最高ですね。
親和欲求をネガティブな事象に使わないように、気を付けましょう!