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時間を取り戻す物語〜ミヒャエル・エンデの『モモ』〜

私たち「Desk and Chair」は、徳島市内で4店舗を展開する会員制自習室です。
今回は、ミヒャエル・エンデの名作『モモ』をご紹介します。この物語が伝える「時間の使い方」や「本当に大切なこと」は、現代を生きる私たちに大きな学びを与えてくれます。


『モモ』のあらすじ――時間を奪う灰色の男たち

主人公のモモは、廃墟となった円形劇場に住む不思議な女の子です。彼女の特技は「人の話を聞く」こと。モモと話すことで、人々は心を軽くし、元気を取り戻していきます。

そんな街に突如現れたのが、「灰色の男たち」です。彼らは「時間貯蓄銀行」の使者を名乗り、人々に「時間を節約する」ことを提案します。一見有益に思える提案ですが、その裏で彼らは人々から「時間」を奪い取り、冷たく無感動な社会を作り上げていきます。

灰色の男たちによって奪われた時間を取り戻すため、モモは冒険に出ます。彼女の味方となるのは、未来を少しだけ見通せる不思議な亀・カシオペイアと、時間を司るマイスター・ホラ。物語は、時間の本質を探りながら、人間らしさを取り戻す戦いへと展開していきます。

時間の本質――「使う」ことと「分かち合う」こと

物語の中心にあるテーマは、「時間の本質」です。灰色の男たちは「時間を節約することが成功の鍵だ」と人々に信じ込ませますが、その結果、心の余裕や他者とのつながりを奪ってしまいます。

エンデは、時間とは「節約」するものではなく、「使い方」で価値が変わるものだと語ります。特に大切なのは、時間を誰かと「分かち合う」ことです。家族や友人との何気ない時間が、私たちの人生を豊かにするとモモは教えてくれます。

モモが教える「聞く力」――人を癒す行為とは?

モモの最大の特技は「話を聞くこと」です。ただ相槌を打つのではなく、相手に寄り添い、心から話を受け止めます。この行為は、現代の忙しい社会で見落とされがちな「本当に大切な人間関係のあり方」を思い出させてくれます。

「聞く」という行為は、他者の心を理解し、関係を深めるための基本です。日々の生活や仕事の中で、誰かの話に耳を傾ける時間を大切にすることが、私たち自身の豊かさにもつながるのです。

現代に響く『モモ』のメッセージ

エンデが『モモ』を執筆した1970年代には、すでに効率や成果を重視する風潮が広まりつつありました。そしてその風潮は、現代社会でさらに強まっています。

たとえば、SNSや仕事の忙しさに追われる中で、「自分の時間がどこに消えているのか」を考える機会は少なくなっています。『モモ』は、こうした現代人に対し、時間の使い方を見直すきっかけを与えてくれます。

大切なのは、「結果を出すため」だけに時間を使うのではなく、「自分にとって本当に価値のあること」に時間を使うことです。たとえば、家族との時間や趣味に没頭する時間、ただぼんやりと過ごす時間も、人生を豊かにする重要な要素です。

自習室とのつながり――自分の時間を見つめ直す場

Desk and Chairでは、静かで集中できる環境を提供していますが、それは単に効率的に学ぶためだけの場所ではありません。ここは、自分のペースで物事に向き合い、自分の時間を見つめ直す場所でもあります。

モモが教えるように、時間の価値は「量」ではなく「質」にあります。自習室でのひとときが、学びを深めるだけでなく、自分にとって本当に大切なことを考える機会になれば幸いです。


二軒屋店

まとめ――『モモ』が教える豊かな時間の使い方

ミヒャエル・エンデの『モモ』は、時間の本質や人間関係の大切さを描いた普遍的な物語です。この物語は、私たちに「時間の使い方」や「人とのつながりの意味」を問いかけてきます。

忙しさに追われる毎日の中で、自分の時間をどう使うか、誰と分かち合うかを考えてみませんか?Desk and Chairでの学びの時間が、そんな問いに向き合うきっかけとなれば嬉しく思います。

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