【卒業講評会レポ vol.2・後編】第二期 応用コース
基礎コースに続いて、応用コースの講評会のレポートも、
早速行ってみましょう!
基礎コースはこちら↓
応用コースの卒業制作課題:商品のブランディング・アートディレクションを行おう
基礎コースの課題が具体的なものだったのに対し、
応用コースの課題は、
【知っている店などを繁盛させるクリエイティブを作る。デザインを含めた、見せ方すべての計画を行う】というもの。
言われたものを作るだけでなく、デザインを含むトータルの提案を行う、というのが意図です。
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■ 課題:デザインを使ってプロモーション& デザインを考える
【お客様の要望】
なし
【条件】
・実際に店に提案営業をしに行くこと
・そのお店の現状の課題を考え、クリエイティブで解決する
(例:身近にある" 良いのに知られていない・人気がなくてもったいない"と思うお店やサービスを繁盛させるためにどうしたらいいか?を考える等)
・ターゲットは自身で決めてOK
・成果物はブランディング計画書と、デザイン制作物(なんでもOK)
1人目:海外から受講したまなふぃーぬさん
まなふぃーぬさん(@femmeco_design)は、スイス在住。
以前Webディレクターをやっていて、スイスでもその経験を活かして働きたいと考えていたところ、言語の壁が。
「今までの15年ほどのキャリアをを生かしたい。でも自分で手を動かしてデザインをする経験が少なかったから、改めてデザインを学びたい」と入学。
卒制では、お子さんが通う日本語学校を取り上げました!
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◆現状の問題提起
1.統一感に欠けていること
現状、Webサイトや学校案内のパンフレットはあるものの、それぞれを親御さんや講師が手作りしたもので統一感があまり無い
2.日本語オンリー
両親のどちらかはスイス人で日本語が読めないという家庭も多く、
「日本語が読み書きできる方の親にしか学校の良さが伝わらないし、学校とのやりとりも自然と日本語を話せる方の親ばかりになってしまう」
片親に比重が偏り、負担が大きくなってしまうんですね。
◆解決アイデア
・入学希望者が必ず目を通すwebサイトやパンフレットを作り直し、統一感を持たせることで、信頼感を出すと印象がぐっと良くなるのはないか
・同じデザインで日本語、フランス語の2か国語で作成する
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この2つの課題解決を考え、制作したデザインがこちら。
A. フライヤー(二か国語)
完成度の高さがすごい!!
保護者が目を通すパンフレットなので必要な情報は丁寧にまとめられつつ、背景にカラフルな装飾があしらわれているので楽しそうな雰囲気が伝わってきますね。
B. Webサイト(7ページ分の大ボリューム!)
今後も学校側で運営してもらうことを前提に、既にwixで実装したそうです。
すごい労力と提案力!!!
◆メンター陣コメント
「これ、本当にタダでやっていいの??お金とった方がいいですよ!」
「プレゼン資料がわかりやすく素晴らしい」
というメンターの評価は既に最高潮。更に、
「フライヤーとWebデザインのクオリティはさることながら、実務でお客さんに提案する時も資料を作ることが多いので、成果物だけでなく、わかりやすく説明する力は100点満点!!」
とお墨付きをもらっていました。
2人目:基礎コース→応用コースに進んだしろまぐさん
しろまぐさん(@omr_spfw)さんも、基礎コースから応用コースに進んだ1人。
事務のお仕事をやっていて、デザイナーになり海外へ行きたいという思いから、未経験からデザイントーストに飛び込んでくれました。
卒制では、友人が経営するケーキ屋さんのWebデザイン・ロゴデザインの提案。
とても可愛く、既に繁盛しているケーキ屋さんですが、
デザイン制作の課題ということで、しろまぐさんの目線であえて課題を提起してみました。
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◆現状の問題提起
1.顧客ターゲットが狭く、男性が入りづらい
現在、リボンをあしらったロゴが使われており、
とても可愛いデザインである一方、男性の方にはお店に入りづらいと思われてしまう可能性も。
2.Webサイトがない
お店のWebサイトが無いため、お店の雰囲気や良さが伝わりづらい。
◆解決アイデア
・サイトを新たに立ち上げ、商品・お店の魅力をたくさんの人に伝えたい。
・多くのお客様に味わってもらうため、オンラインショップも開設したい。
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「”誰でも入りやすいお店”として、性別等を限定せず、来店するお客さん層の間口を広げたい。オンラインショップも開設して売上をアップさせたい!」と考えたそうです。
デザインがとにかくかわいいのでまずは制作物を見てほしいです!
A.ロゴ
ロゴ、めちゃくちゃ可愛いくないですか?
良く見ると「カプリス」というお店の名前の頭文字である「C」をリスが抱えたデザインになっているんです!
B.Webサイト
サイトのデザインも美味しそうなケーキが1番に飛び込んできて、おしゃれ!美味しそう!!!
リスが木に住んでいるイメージでデザインに落とし込んだそうです。
想像力が物語を生み出していて、引き込まれてしまいますね。
このデザインを作るため、Tさんはケーキ業界の問題点を洗い出し、競合比較をもとにお店の強みを分析。
こんなこと考えてくれたら・・・
お店からしたらめちゃくちゃ嬉しくありませんか?!
・高価格帯を目指しつつ、オンラインショップを開設して幅広いお客様に購入してもらう。
・売上アップのためWebサイト上でホールケーキをアピールする・・等
サイトを通じ、どうやってお店の売上に貢献するか?という経営する側の目線まで考え、デザイナーを通り越してコンサルティングまでできています。
ストーリーがプラスされて、世界観が作られてる・・・すごい・・。
◆メンター陣コメント
「ここまで業界や競合のことを調査し、お店の現状の課題を洗い出し、課題解決のための提案やデザインができているのは素晴らしい!」
と度肝を抜かれた様子。
「ケーキ屋さんがどこで利益を得ているのかまで考え、お店の経営目線で提案している。プレゼン内容がウェビナーレベルに勉強になりました」
「オンラインショップ以外にも、インスタを同じ世界観で運用したり、まだまだ提案できることがたくさんありそう」と、それぞれのアイデアが行き交い、盛り上がってました!
3人目:子育てをしながら応用コースを完走したKeKeさん
3人目の発表は、けけ(@IgnKkdes)さん。
趣味でデザインをやっていて、自分の結婚式のペーパーアイテム等を作った経験はあるものの、独学に限界を感じ応用コースから入学したそう。
KeKeさんが取り上げたのは、歴史あるかりんとう屋さん。
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◆現状の問題提起
1.Webサイトの情報量の多さ
かりんとうの種類が豊富でどれも美味しいのに、Webサイトに載っている情報が多すぎてお店の強みが伝わっていない
2.ブランドイメージが統一されていない
商品のパッケージが統一されておらず、ロゴもなぜか2種類使われている。
統一感の無さが原因で「あのお店の商品だ」と伝わらずもったいない。
◆解決アイデア
・ロゴやWebサイト・パッケージ等全てリニューアルし、お店の魅力をもっと伝えたい
・リブランディングすることで、若い世代にも手にとってもらえるブランドにしたい
という想いでデザインに落とし込んでいったそう。
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そんなKeKeさんの作品がこちら。
A.ポスター
B.Webサイト
C.パッケージ案
もともとデザイナーだったんじゃないの?と思ってしまうくらいクオリティが高すぎて驚き!!!
更に分析も、めちゃくちゃまとまっています。
◆メンター陣コメント
外部からの参加者クリエイターさんも、
「本当にスクール生の成果物?!って思っちゃう」とびっくり。
メンター陣は他にも、
「かりんとうの和のイメージからモダンで今っぽいデザインにリブランディング大成功してますね」
「この会社の強みであるかりんとうの種類の多さをしっかり活かしたコンセプトになっていて、デザインはもちろん前段階の分析、情報整理をしっかりと行い、ロジカルにデザインの方向性を導き出しているのが素晴らしい」
と大・絶・賛!
4人目:大学院の研究と両立したmikuさん
miku(@am39mk)さんは、独学でAdobeで作品制作をしてきた理系大学院生。
予約制のカフェ「余珀」さんを題材に取り上げました。
古民家風のとっっても素敵なカフェです!
もう既に雰囲気も素晴らしくブランディングされており、ここに提案するものなんてある?という状態。
しかしそこは卒業制作。
mikuさんは実際にお店に足を運び、何か提案・改善できることを探してきました。
◆現状の問題提起
1.SNSでしか予約ができない
カフェのWebサイトが無く、予約はSNSのメッセージ経由でのみ受付けているそうです。
とてもかっこいいカフェなのに、SNSをやっている人しか予約できないのはもったいない、と思ったそう。
2.文字だけのメニュー表で、お茶の特徴がわかりづらい
お店の売りである日本茶。たくさんの種類が用意されているものの、
現在のメニュー表だとお茶の特徴がわかりづらく選びにくいと感じたとのこと。
◆解決アイデア
・お店にとってもお客さんにとっても使いやすい、予約ができるWebサイトを制作し、もっとたくさんのお客様に来てもらう。
・お茶の種類が豊富でそれぞれの良さ・特徴が一目で分かるメニュー表を作りたい
そんな熱い想いでお店にアポを取り、なんと、写真撮影も自分で行いデザインを作ったそう!
A. Webサイト
B. お茶メニュー表
メニュー表はお茶それぞれの特徴が直感的にわかるように、円の大きさで香りやうまみが強いかどうかを表しています。
「お客様が待っている間に楽しくお茶を選んでもらいたいのと、グループで来店された方が種類の違うお茶を注文して飲み比べしてほしいので」と、実際に利用されるシーンまでイメージして制作したそう。
さらに「日本茶とオーガニックをコンセプトにしているカフェなので、海外向けにインスタを運用したらコロナが落ち着いた後に旅行客も来てくれるのではないか」と今後の展望を分析。
クライアント目線でクライアントとお客さん両方が相互に望むこと、
来てもらうだけで終わりではなく、心地よく・楽しんで過ごしてもらえるゴールを意識されている点がプロフェッショナル!と感じました。
◆メンター陣コメント
「お店側の目線に立ち、お茶の特徴がひと目でわかる工夫に、お店への愛を感じる」
「サイトにはデザインを始めたての人は要素や色を盛り込みがちだけど、ここまで潔くミニマルなデザインは斬新だし、勇気があるなあ!と。動きをつける等でかなり面白くなりそう」
「辞書風のあしらいなどのアイデアが良い!」
「実際にお店に声をかけて写真撮影まで行う行動力、なかなかできない」
と当然、高評価!!
5人目:現役大学生の「む」さん
最後の発表は む さん(@610_dedede)。
高校卒業時、デザインを学びたい想いはあったものの、大学に入学し就活を控えた頃「このまま一般職に勤めたら後悔するかもしれない」と思い、大学を休学しデザイントーストへ。
入学後、自主制作クリエイティブ活動の場を、めきめき広げています。
「む」さんが取り上げたのは、自分がよく買いに行く近所のパン屋さん。
・現状のWebサイト(BASE)
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◆現状の問題提起
1.Web上の情報量が少ない
近所の人から美味しいと定評があるものの、
Webサイトやインスタグラムの情報量が少なく、お店のセールスポイントやパン作りに対する熱意を外向けに発信できていなくて、少しもったいない。
2.宣伝効果に乏しい
お客様がインスタグラムでハッシュタグを付けて写真を投稿してくれればかなりの宣伝効果になるが、
イートインスペースの無い小規模なお店のため、その場で写真を撮影するのが難しく、お店の投稿が増えない。
◆解決アイデア
・素材や製法にとことんこだわった美味しいパン屋さんと分かるよう、Webサイトをリデザインする
・もっとファンを増やすために”写真を撮って発信したくなるお店”を目指し、企画を提案する
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パン屋さんへの愛がめちゃくちゃ伝わってくるプレゼンを一部紹介します!
A. Webサイト
Webサイトはお店のこだわりがお客様に伝わるように設計。
「パンの味にファンになってもらうことはもちろん、働いている人たちの人柄や姿勢に共感してくれるファンが増えてほしい」という想いで制作したそうです。
”写真を撮って発信したくなるお店”づくり”のために、考えた企画は8個!
・フリーペーパーの発行
・生産者さんに会えるツアー
・ロゴ入りのトートバッグを作る
・・・etc
フリーペーパーは手にとって読みたくなるようなデザインだし、トートバッグもとってもかわいい〜!
◆メンター陣コメント
「プロでもこれだけアイデアを出すのは難しいのに、自力でお店のことを調べ、ここまで考え抜いたのには驚き」
「また、デザインを作るだけでなく、プロジェクト全体の目的をしっかり定めて、卒業制作を完成させた点が素晴らしい!」
とメンター陣も感動の域。
「デザインって、いかにクライアントのことを考えられるか、つまり愛!」とチーフメンターほりさん。
応用コースの卒業式を終えて
応用コース5名の作品を紹介しました。
正直、本当に驚きました。
デザイントーストの卒業式で、「デザイン専門」という言葉から意外性を感じたことが一つあります。
それは、受講生の作品はクオリティの高いデザインばかりで本当にびっくりしたのですが、その見た目の美しさ以上に、
資料作りや、その前にある膨大なリサーチ資料によって、デザインに「なるほど」と深みを感じ、納得できるものが多かったことです。
他人事ではなく、クライアントの思いに今ここで向き合っている、
現場のプロフェッショナルの提案のような熱意を感じ、圧倒されました。
しかし、その応用5名のうち4名は半年前は全くの未経験だった方だったという。(信じられない・・!)
基礎コースからスタートし、たった半年で、
企画・分析・情報整理・プレゼン力・ロジックを包括したデザインスキルが、ここまで身に付くスクールはデザイントーストだけはないかと感じます。
受講生の声
まとめ
受講生の作品、いかがでしたか?
デザイントーストのレッスンでは毎週大量の制作課題が出ます。
それをこなしつつ走り抜けた3ヶ月間は本当にハードだったと思います!
ハードなカリキュラムをこなしたからこそ、短期間でこれだけのスキルアップできるのだな~と感じた卒業式でした。
チーフメンターのほりさん曰く、
「他のWebスクールは、続けられず途中でやめてしまった」
「なんとなくデザインを形にできても、どうすれば上達するか分からない」
という方も、未経験者と同じか、半分以上だそう。
クリエイティブ経験者、完全未経験者、いろいろいらっしゃるそうですが、
共通しているのは「デザインをやはりどこかで諦めきれない」という方。
そして、入ってから「楽しい」「もっとやりたい」と加速していく方が多い!とのことでした。
↓次期、4期の卒業講評会レポートvol.4(応用コース)はこちら↓
(※システムが変わり3期→4期という呼び名になっています)