郊外未来デザインラボメンバーの研究成果が、都市計画報告集にて公表されました
■題目・著者・リンク(以下のURLからPDFがご覧いただけます)
東京都市圏郊外ニュータウンの人口趨勢と用途地域及び開発形態の関係の分析
(著者:藤垣 洋平、矢吹 剣一、後藤 智香子、小泉 秀樹)
『都市計画報告集』2022 年 21 巻 1 号 p. 75-79
■研究の背景と概要
日本の郊外住宅地では、高齢化や人口減少などに伴い生じる課題に対応するために、様々な施策が検討・実施されていますが、日本の都市計画制度における重要な要素である「用途地域」についても、その指定のあり方を見直す動きがあります。
例えば横浜市では、市内の郊外部に広く指定されており、店舗等の立地について強い制限がある「第一種低層住居専用地域」を中心に、1996年以来となる用途地域等の見直しが検討されており、第一種低層住居専用地域から第二種低層住居専用地域への見直しや、特別用途地区の設定を通して、日用品店舗の誘導や喫茶店などの立地誘導、職住近接の実現などを目指すことなどが検討されています。
このような政策立案の一助となるために、郊外住宅地における人口の趨勢と、用途地域等の都市計画規制の関係を明らかにすることは、重要な研究課題だと考えられます。
そこで本研究では、東京都市圏の郊外ニュータウンを対象として、人口趨勢と用途地域の指定状況や開発形態等との関係について、定量的に分析しました。
その結果、「第一種低層住居専用地域」または「第一種中高層住居専用地域」が特に多い地区においては、人口減少地区が多くなっており、また「第二種低層住居専用地域」や「商業地域」または「近隣商業地域」が多い場合には人口減少地区に該当する地区が少ない傾向が確認されました。小規模の商業施設等の生活利便施設が立地できる「近隣センター」が形成できるか否かが、人口趨勢に影響していることが、このような傾向が生じる原因として考えられます。
(文責:藤垣洋平)