「らしさ」をかたちにするロゴトレーニング
エルでは新しい取り組みとして、ロゴトレーニング(略してロゴトレ)を始めました。週に一度時間を取り、決められたお題に対してロゴをつくっていく取り組みです。
ロゴトレが始まって1ヶ月半ほど経ちましたが、一回一回がとても有意義な時間だと感じています。らしさをかたちにする技術力はもちろん、らしさを引き出す力や、聞いた話から解釈する力、細かな調整力など、実案件で必須な力を鍛える訓練になっています(非デザイナーも含めて)。
今回は、そんなロゴトレの様子をお伝えします。
ロゴトレの流れ
①お題をつくる
まずは、架空のクライアントを定義します。この作業は2人のライターが、交互に担当します。
架空だからテキトーでいいわけではなく、「どんな情報があればデザインしやすいか」を考えながら、できるだけ解像度高く設定します。たとえばこんな感じ。
クライアント像を明確に定義することは、ペルソナをつくる練習にもなります。ペルソナの作り方については、こちらの記事でも詳しく書いています。
②お題共有〜ヒアリング
お題を考えたライターがクライアント役となり、案件概要をチームメンバーに共有。それをもとに、ディレクター、デザイナー陣、もう一人のライターでヒアリングを行います。気になることやもっと知りたいことをクライアント役に聞き、クライアント役はクライアントになりきって答えます。
実際に自分がヒアリングされる立場になってみて、聞かれることで気づくこともたくさんあるなと感じました。らしさをかたちにするためにはどんな情報が必要なのか、どういう質問だったらそれを引き出せるのか…質問する側もされる側も、とても勉強になります。
自分のことは自分が一番わかっているようで、わかっていない領域もたくさんあります。だからこそ、丁寧に深掘りしてもらえると「この人なら、自分のらしさを見つけてくれる」と信じられるような気がします。
③ラフを書く
ヒアリングの内容をもとに、デザイナーはラフを、ライターはコピーを書きます。制限時間は約15分間。大切なのは、時間を決めてぎゅっと集中すること。
黙々と手を動かしつつ、気になることがあればクライアントへの質問もOKです。
④ラフを見せ合う
15分後、できたラフを見せ合います。スケッチブックに描いたラフをチャットに共有し、一つひとつみんなで見ていきます。
こんなふうに互いのラフを見ながら、あれいいね、これいいねと意見交換します。同じ情報を聞いていても、どこを抽出してどう表現するかは、人によって全然違います。それがおもしろいです。
⑤清書
ラフの中から清書するものを選び、提案できるかたちに仕上げていきます。期間は1週間ほど。ポイントは、あまり時間をかけすぎないことです。
長い時間をかければ、いいものができるわけではありません。時間を決めて、できるだけ頭に汗をかいて、アイデアをかたちにする。実務にもつながる大切な訓練です。
⑥初稿提案
清書したロゴを、チームに共有。クライアントのらしさをどう汲み取って、どんな方法でかたちにしたか、制作意図や技法を含めて説明します。このとき、ロゴデータだけではなく、看板にしたときのイメージや、ショップカードや名刺への展開例なども合わせて提案します。
ぱっと見の印象、説明と合わせて見たときの印象、モックにしたときの印象…それらを踏まえて、意見交換をします。
ロゴには正解がありませんが、それぞれの視点から見た意見が加わることで、ブラッシュアップの方向性が見えてきます。
⑦ブラッシュアップ
この期間も一週間ほど。受けたフィードバックをもとにもう一度考え、よりいいものにブラッシュアップしていきます。
⑧再提案
そして再提案。どんなことを意識してどんな試行錯誤をして、このかたちにたどり着いたのかを説明します。この時点で、「とてもよくなった!」という意見があふれます。しかし、ここで終わりではありません。より細かな部分を、納得いくまで詰めていきます。最後まで手は抜きません。大切なのは、最後までやりきること。この過程で私は、デザイナーの根気と底力を目の当たりにしました。「そこまでやるのか…!」と。
今回できあがった、スパイスカレー屋さんのロゴはこちらです。
デザイナー百瀬案
デザイナー栗原案
クライアント役として
自分の思いがかたちになったロゴを提案してもらうのは、思った以上に嬉しくて、わくわくすることでした。毎回どきどきして、静かに感動していました。「こんなふうにしたいな」という漠然とした思いを、かたちにしてくれるデザイナーってすごい…!!
さらに、提案を受けて「看板くらいしか考えてなかったけど、ショップカードやメニュー表もお願いしたいな…」「いろんなカラーパターンも見てみたいな…」と、自分の中にも新しいアイデアが生まれました。「自分の事業をこれからがんばるぞ」という意欲も湧いた気がします。
デザイナーの感想
「らしさ」をつくる力を、みんなで高めていく
クライアントの立場になり、らしさを見つけ、かたちにする。これから愛着を持って育てていけるようなロゴを提案する。どんなクライントであっても、このスタンスは変わりません。
誰か一人に任せるのではなく、チームで「らしさをつくる」力を底上げしていければいいなと思います。トレーニングは続く…。
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デザインスタジオ・エルは「超えるをつくる」を合言葉に「らしさ」をデザインするWeb制作会社です。
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