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【キャリア】Webデザイナーに資格は必要か?


Webデザイン系の資格は、就職にはイマイチ

20数年Webデザイナーを続けていますと、この世界を目指して勉強中の人たちと知り合う機会も時にはあります。

サンプルのWebサイトを制作したり、バナーをデザインしたりしている方が大半なのですが、その中で一部、資格取得に拘っている方が時折います

「webクリエイター能力認定試験」や「ウェブデザイン技能検定」というWEBデザイナーの資格があります。

こうした資格取得に重きを置いている方の中には、「資格がないと採用されない」と考えているような人たちもいるように感じます。

ただ、資格の運営団体の方たちにはちょっと悪いのですが(🙏)、こうした資格はほとんど就職に役に立たないというのが私の考えです。

導入レベル(3級など)では簡単すぎる感触ですし、それ以上のレベルであっても、あまり実践的な印象がしませんでした。

Webデザイナーとして就職を目指すのであれば、やはり選考に出すための作品づくりが何より大切でしょう。

試験勉強で用語の暗記などで時間を使うよりも、一つでも多くバナーをデザインしたり、サンプルサイトをコーディングで組上げる方が、ずっと有意義です。

今回、「webクリエイター能力認定試験」&「ウェブデザイン技能検定」で公開されている過去問を大まかにチェックし、実際に問題を解いてみました。

その中で私が感じたことを以下に記してみます。

「webクリエイター能力認定試験」「ウェブデザイン技能検定」で感じたこと

用語はそんなに大事ではない

過去問を実際解いた結果、用語の間違いを幾つかしていました。

間違えておいて何ですが🙈、現場でもさほど厳密に用語が使われていないことが多いです。

「キーカラー」と「アクセントカラー」、「利用規約」や「プライバシーポリシー」など、区別もあいまいに使っている人が多いと感じます。

私も「キーカラー」と「アクセントカラー」は、どちらがどちらか分かりません。でも特に調べたりしません。

別段調べないでも仕事になるから(胸張って言える事でもないですが😅)

特に現場に入りますと、その会社でしか使わない用語なども出てきます。さらにそれをアルファベット3文字にしたり(DAIGO氏のごとく🔤)。

用語を間違えても、意味が通じないというのは稀です。「なんか違う」と思えば聞き直して認識違いに気付けば良いだけですし。

用語を厳密に覚えていないと通用しない職場というのは殆どないというのが、私自身の今までの感触です。

すぐに必要な知識以外の設問が多い

より上位の試験(2級以上やエキスパート)になると、WEB制作の知識というより、IT全般の知識を問われるような出題が多いように見受けられました。

ネットワークエンジニアの試験で問われるような内容(「プロトコル」や「サブネットマスク」など)や、PHPなど内容が出題されていますが、WEBデザイナーを目指すのであれば差し当たり必要ないです。

Webデザイナーを目指すのであれば、Wi-Fi設定ができる位の知識レベルでOKだと考えます。

もしそれ以上の知識が必要そうであれば、ヘルプデスクへGOです🏃‍♂️

もちろんITの基礎知識はあるに越した事はないでしょうが、「WEBデザイナーとして働く」を最優先に考えるのであれば、特に今は必要ない知識となるでしょう。

「言われた事だけをやる」実技

実技試験の内容もざっくり見てましたが、「指示を出されて、ただそのままに作業をする」というような印象でした。

「カラムの横幅を300pxに設定してください」「文字色を#ff0000にしてください」「metaタグに指定のテキストを入力してください」というような内容だったでしょうか。

実際には、現場でこうした細かな指示が一から全部出るようなことは、まずないです。

「言われたこと以外はするな」というような会社もあるかもしれませんが、基本は自分の頭で考えて動く必要があります。

  • 「500pxにしたら、レイアウトが崩れたので400pxにしてみました」

  • 「ここの文字色変えたら、別のページのあの個所も同じように変えた方がいいな」

  • 「指示は『ドロップシャドウ』だけど、画像周りの余白を大きくすればもっと目立つかも」

「レイアウトが崩れました、どうしましょう?」「テキストがはみ出ます、どうしましょう?」ではなく、とにかく自分の頭で考えてみて試すことが実際の業務では要求されます。

コーディングであれば、いろいろピクセルなどの数値を変えてみて、「この数値だとカラムが落ちてしまうのか」などと実感してみる。

デザインであれば敢えて変な色使いにしてみて、「やっぱりこれじゃマズいよな」と再確認してみる。

手数を増やすことで、実践的感覚が身に付きます。

むしろ「試験時間中に問題通りに答えず、色々試したら『不合格』になった」なんて人の方が、私には頼れるように感じます(まあ、それではただ受験料が無駄になるだけとは思いますが😅)。

Webデザイン系資格の活用法

以上見てきたように、「webクリエイター能力認定試験」や「ウェブデザイン技能検定」は、あまり就職には有利にならないと考えています。

では、どんな人に向いているかと言いますと、2級以上の上位資格の場合に限った話にはなりますが、以下のケースが挙げられるでしょう。

職場のリーダーやフリーランス

ある程度(数年位~)のキャリアがあるWebデザイナーにとっては良い資格だと感じます。

前述のように、PHPやネットワークなどの「周辺知識」に関する問題も出題されますので、数年以上の経験を経て、IT全般を学ぶ精神的余裕がある人向けであると思います。

私もデザインの世界に入った時は、目の前のデザインやコーディングの技術向上で精一杯😫

今すぐ必要な技術に集中し、周りの知識を得るような余裕はまるでなかったです。

そういった観点もあり、「駆け出し」の段階で取る資格というよりは、ある程度「脂がのってきた」時に取ると響く資格であるように感じています。

業務を俯瞰する必要のある現場のリーダーやディレクター。

あるいは、自身で営業も兼ねるフリーランス。

Web制作のみならず、ITについて広範な話題や、周辺業務の解決策が必要とされる場面もあるでしょう。

こうした人たちには、知識の習得として良い学びの機会になるかと考えます。

官公庁や地方公共団体をクライアントに持つ場合

資格はある種、「目に見えやすい成果」とも言えますので、公務員試験を受けて採用された公的機関の人たちには一定の「受け」が期待できます。

試験自体も特定非営利活動法人のような、どちらかといえば「公」よりの団体が運営していますので、自治体などとは親和性が高いと感じられます。

おそらく役所の担当者の人たちも「こういう資格を持っている人です」と上司に紹介できるので、稟議なども通しやすいと感じられるかもしれません。

スクール講師

WebデザイナーもWeb制作だけではなく、様々な業務を兼ねる時代。2足や3足の「わらじ」を履いているデザイナーも多いでしょう。

専業講師の方もいるでしょうし、フリーランスの方で収入を補う兼業のWebデザイナーもいらっしゃるかと思います。

首から下げる身分証に資格のロゴがプリントされていれば、かなり心強い感じがします。

スクール側としても採用する基準として一定の「手がかり」になりますし、受講生に対しても説得力をアピールできるかと思います。

就職を目指すなら、とにかく作品づくりで試行錯誤しよう

以上のように、Webデザイナーには資格が必要か否かを見てきました。

未経験でWebデザインの世界に飛び込むなら、やはり一にも二にも実践です。

就職用のWebサイトやLP(ランディングページ)あるいはバナーを、「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤して作り上げる

それが一番、実になります👍

「『webクリエイター能力認定試験』が取れたから、今度は『ウェブデザイン技能検定』を取得しないと」なんていう人もいました。

でも酷な言い方になってしまいますが、どうしても「一歩先に踏み出せずにいる人」のように私は感じてしまいます。

コーディングで、わざと変な数値を入れてみてレイアウトを崩してみたり。

デザインで、「こんな色遣いしないだろう」というようなバナーを作ってみたり。

そうした繰り返しは、試験で正しい答えを得るより、ずっと有意義なものです。

今後も、これまでのキャリアで感じたことやエピソードを書いていきますので、どうぞよろしくお願いします。


siesta

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