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なかなか上手くいかない転職、ベストな方法はある?〈#デザイナーのお悩み相談〉No.003

こんにちは&こんばんは、スズキアユミです。今回お手紙を頂いたのは、コロナ禍で転職が成功したものの実際はあまりよくない会社で、早く次の転職をしたいというWebデザイナーさんです。次の転職をするのに一番ベストな方法を知りたいとのご相談を頂きました。

まず、今回のお寄せ頂いたお手紙の内容を読んで、相談者さんの“怒り”を感じました。世の中に、会社に、上司に、自分に。何もかも上手くいかなくて、悲しみよりもむしろ怒りすら感じる。人に話したり相談すればするほど、その憎悪も膨らんでいくばかり。そんな状態です。

そんな感情に呑まれたことが、きっとこの記事を読んでくださっているみなさんにもあると思います。もちろん、私も例外なく。ちょっと私の話をすると、むしろデザイナーになった新卒〜4年ぐらいはずっとそんな状態だったんですよ。こんなに頑張っているのに、なぜ私の人生はこうも上手くいかないのだろう!と。(いまでもたまに言ってる気がします。)
そんな私が今ではちょっと落ち着けているので、まずはそのキッカケをご紹介したいと思います。

「かわいそうな私」と「悪いあの人」、その裏にある見えていないもの

まず、この記事を読んでいるみなさんに騙されたと思ってやってみて欲しいことがあります。A4のコピー用紙とか、サイズは関係ないのですが、とりあえず長方形の白紙を用意してください。

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それを上図のように四つ折り→三角柱を作ります。そのうち2つの面に、それぞれ「かわいそうな私」、「悪いあの人」とペンで書いてください。

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今の“私”にはこの2つの面しか見えていない状態です。
ですが、視点を変えて、今は見えていない面を覗いてみましょう。白い一面ですね。その何も書いてない一面に「これからどうするか」と書いてください。

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そう、今の“私”には「かわいそうな私」と「悪いあの人」ばかりに囚われていて、「これからどうするか」が抜けてしまっているのです。
私はしばらくこの三角柱を自宅のテーブルの上に置いて、眺めるようにしました。そうすると少し冷静さが戻ってきて、さらに「これからどうするか」と問われると自然と頭が思考し始めます。

これは『幸せになる勇気』という書籍に書かれていた手法です。有名な『嫌われる勇気』の次作にあたるものなので、すでにご存知の方も多いかもしれません。

私はかわいそうだし、あの人(環境)は悪い。それに共感してもらえれば、いっときの癒やしは得られるでしょう。でも、現状は何も変わらないという気づきをくれます。画面や紙面で眺めるのでなく、実際にやると不思議とリアリティがあり、納得感があがります。同じようにさいなまれる方はぜひやってみてください。(書籍自体もおすすめです。)

さて、ここまでで、きっと今回の相談者さんには「そんなことわかってるんだ」と言われてしまうかもしれません。なぜなら、相談者さんはとってもご自身で悩んで考えていて、転職できない(なかなか踏み切れない)原因も書いて送ってくださってます。これからどうするか行き詰まっているから、こうやって私にお手紙をくださったのだと文面から伝わってきました。

でも、上記のことをどうか忘れないで欲しいのです。私自身もそうなのですが、考えているようでじつは悩んでいるだけのことが多いのです。それをふまえつつ、相談者さんがくださった転職できない原因を一つ一つ、これから一緒に「どうするか?」を問いていきたいと思います。
この記事では私の経験上の思いつく手段や手法をご紹介する形になるので、よかったらこれを読んでいるみなさんも一緒に問い、私ならこうするよと、ぜひコメント欄にシェアしてくださると嬉しいです。

転職できない原因を一緒にどうするか問おう

実績が積みづらい会社にいるから実績を作れない
→どうする?

【スズキの提案】今いる会社以外で実績を作る
自主制作をする、知人に仕事を紹介してもらう、副業やアウトソーシングサービスを利用するなど、会社以外で実績を作る方法はあります。これをオススメすると、ほとんどの人にそんな時間ないと言われてしまうのですが、時間は作る!のです。塵も積もれば山となるというように、1日10分でも30分でも決めた時間に。そして、どんどんSNSでシェアするのもオススメです。(DailyUIなどのハッシュタグもありますしね。目に留まると声がかかったりなんてことも望めます。)厳しいことをいうと、できないのならあなたはそこまでなのです。諦めて他のことに挑戦した方がずっと有意義な時間になるはずなので、限界が知れてラッキーぐらいに思いましょう!

また似たような自分に合わない会社へ行ってしまわないか心配
→どうする?

【スズキの提案】もっと情報収集しよう
じつは相談者さんが挙げてくださっていた、入社してから見えた会社の悪い点(自分に合わない点)のほとんどは、面接時やその会社のネットコンテンツなどで確認できることだったりします。
・残業時間、休日出勤の有無
・業務フロー
・会社にとってデザイナーの価値や期待すること
・デザイナーの昇給制度の有無
・組織図、部署、部署間の連携、自分が入社したらどこに配属されるのか
・直属の上司は誰になるか(面接に出てこないようなら話をしてみたいとお願いする)
・現場の声を直接聞く(社員とも面談できるようお願いする)
  →雰囲気や良い点・悪い点など自分と同じ目線の人から聞ける
これ、全部聞きましょう。しっかりメモして他の会社と比較もしましょう。自分なりに点数を付けるのも良い方法です。トータルで自分の中で高い点だったところに入社を決めればよいのです。なかなか見つからないなら、どこかを妥協して、何で補うかを考えます。また、こうすることで、自分は仕事で何に重きを置いているのかを知ることができます。ここが一番大切です。

面接の時になんだか聞きづらいと思って遠慮してしまいがちだと思いますが、むしろどんどん質問した方が会社に興味を持ってくれてるんだなと思います。これらを聞いて口ごもるようなら、その会社は・・察しの通りです。これはリモート面接であっても変わらないと思います。

そして、どんどん質問していい理由に、企業の採用ってじつはとても費用がかかるのです。企業の利用してる求人サービスにもよりますが、入社した人がアンマッチですぐ辞めてしまうと、企業にとっては大きな赤字です。なので企業としても、自社にマッチする人材かどうか入社前に出来る限りわかる方がありがたいのです。

WebデザイナーからUIデザイナーになりたい
→どうする?

【スズキの提案】まずは思い違いを解消するためのヒント
これに関しては、もしかしたら似たような思い違いをしている人も多いかもしれません。(日々急速に変わっていく業界で仕方ないことなので、思い違いしていても全然恥ずかしいことではありません。ご自身を責めなくて大丈夫ですよ!)

■ WebデザイナーからUIデザイナーへの転向はキャリアアップ…ではないのです!
むしろ、ファッションデザイナーやインテリアデザイナーのように別の職種と思った方が良いです。端的にはデザインする“モノ”が変わってきます。ですが、業界経験の浅い方が、キャリアアップに見えるのも無理はないと思います。

→ なぜWebデザイナーからUIデザイナーへの転向がキャリアアップのように見えるのか?
これは私の考察ですが、昨今ではUIデザイナーの需要がかなり増えてきたため、UIデザイナーの給与がどんどん上がっています。そして、これまでWebデザイナーが多くいた制作会社も、受託でプロダクトやサービス開発もするようになりました。今まで社内にいたWebデザイナーがUIデザインも求められるようになったり、UIデザインができる人材を探すようになっています。その一方で、UIデザイナーが多くいる事業会社が成長してブランディングや広報・PRを強化するためにWebデザイナーを探す、ということも起きています。そのため、昨今の求人票はWebデザイナーとUIデザイナーが混ざったものが多く見受けられ、また会社によって定義が異なり、だいぶ複雑・難解なものになっています。
私も何度も転職活動していますが、こればかりは本当に悩ましい点です。なので、転職活動するときは、「自分が何をする・作ることになるのか?」はしっかり確認しておきたいところです。UIデザイナーとして入ったのに、内容はWebデザインだったなんてことは結構あるあるです。

■ UIデザイナーの未経験は新卒しか門戸を開いてない…訳ではないのです!
WebデザイナーからUIデザイナーに転向したいという方はたくさんいらっしゃいます。ですがその転向を、UIデザイナーを求めている企業側で良い顔をしてくれるところは少ないのが実情かと思います。
なぜかというと、WebデザイナーとUIデザイナーがそれぞれ属してしている会社では、仕事のやり方やスタンスなどが基本的に異なるからです。

【会社や成長段階によって異なってくるので、あくまでも一般的な例】
・受託制作会社(Webデザイナーがよく属している):
  クライアントから依頼を受けて仕事をすることになる『1→10』
・事業会社(UIデザイナーがよく属している):
  プロジェクトメンバーと創造し改善していくことになる『0→1』

企業側だけでなく、その仕事のやり方やスタンスなどに、WebデザイナーからUIデザイナーへ実際に転向したデザイナーさんたちも最初は全然違くてとても戸惑ったという話をよく聞きます。ツールなどの技術は一人でも、またはスクールなどに通って身につけてスキルアップしていけますが、仕事のやり方やスタンスなどはなかなか一人やスクールで身につけられることではありません。また、会社によっても詳細が異なってくる部分です。

なので、企業側からすると、同じUIデザイナー未経験者なら
A:Webデザイナーとしての仕事のやり方やスタンスが染み付いている人
B:まっさらな新卒(必要最低限なツールなどのスキルは学校等で教わってる)

後者の方が教えやすいですし、会社のやり方に馴染みやすいのでどうしても優先度が高まってきます。
新しく入った人に、別の職種・他社で覚えたやり方やルールでどんどん進められてしまうと上手く連携やコミュニケーションがとれず、既存の社員は返って大変なのです…。WebデザイナーはUIデザイナーと非常に近しい位置にあるので、なおさら勝手は同じだろうと思ってしまいがち。なので、未経験なら新卒の募集の方が多くみえるのだと私は推測します。

さて、ここまで長くなってしまいましたが、この辺りを前提とした上で、WebデザイナーからUIデザイナー未経験で転向するにはどうしたらよいのかというと、私がよくオススメしているのは『自分はサービス開発が好きなんだ・めっちゃ興味あるんだ』とアピールすることです!(例え募集していなくても、コーポレートサイトからメールして直接アタックしたりとかする人もいますよ。新卒よりも魅力に感じてもらえれば採用してもらえますからね。)

過去に私が相談を受けた中で、UIデザイナー未経験だった方はこんな感じで転職していきました
・好きなサービスがあってその事業会社に入りたい。→その既存サービスの改善点をあげた資料を作ってプレゼンした。
・個人でエンジニアさんとアプリを作っていたが、ポートフォリオにWebデザイナーの実績しか載せていかなった。→しっかり自主制作のアプリもポートフォリオに掲載した。

こんなアドバイスをしたこともあります
・ポートフォリオを拝見したらWebデザイナー目線のものになっていた。→ 今まで勤めていたような制作会社にならウケが良いのですが、Webデザイナーの制作のほとんどはクライアントから依頼を受けるものなので、どうしてもポートフォリオが受け身な内容になりがちなのです。これはクライアントの課題や要求をどう上手く扱い・噛み砕き、デザインに昇華していくかが評価される傾向にあるためです。
ですが、事業会社では、自分とメンバーで課題をみつけ解決していく自主性が強く求められるので、Webデザイナーとして評価されていたところが返ってマイナスに映ってしまうのです。

転職を繰り返しているのがネックになって動けない
→どうする?

【スズキの提案】転職回数を気にする会社は諦めること
こんなこと言ってごめんなさい。私自身もなかなかの転職回数ですが、一番気になるのは転職回数をみられて書類選考などで早々に落とされることだと思います。今の段階で言えることは「転職回数を気にする会社は諦めましょう」なのです。
こればかりは我々転職回数重ねた民にとっては仕方ありません。私たちにはどうすることもできないことなので、最初からそのスタンスで転職活動した方がきっと気持ちが楽なはずです。
今は仕方ないですが、もし将来にとても入りたい会社が見つかって、そこは転職回数を気にするところかもしれません。なので今後は、重ねてしまった転職回数が薄れるような魅力やスキルを身に着けることをより意識していきましょう!

最後に、私の屍を越えていって

さて最後に、じつは相談者さんの一番聞きたいことへまだお答えできていません。転職活動に「一番ベストな方法があれば教えて欲しい」と。正直に言いましょう。わたくし、デザイナー歴9年・転職5回になりますが、

私も一番ベストな方法は見つけられていません!

私はこの日本社会にだいぶ合わない部類なんだなと自覚して、いろいろ試して9年経ってしまいました。なんなら、その一環で1年と少し前に、とうとう会社員を辞めてフリーランスになりました。

相談者さんにとってはとてもガッカリな答えかもしれません。でも、これだけは言えます。模索していくことは、たしかに大変なこともたくさんあるけど(むしろ大変なことの方が多いけど)、どんどん良くなっていっていくし、私は今が一番楽しくて幸せです。

なのでぜひ、相談者さんも、相談者さんと同じように悩んでいる方も、模索を諦めず、どんどん視野を広げて、その中で自分が本当に大切にしたいものを一つずつ見つけていってください。そして、この記事が自分なりのベストを見つけていくうちの、少しでもヒントになればとても嬉しいです。

なぜ私がこのような活動をしているのか。時にはnoteで失敗談も赤裸々に語るのか。私の失敗を踏み台にしてぜひみなさんにはどんどんチートして欲しいのです!どうぞ私の屍を越えていって!

Special thanks:
今回お手紙を下さった ももち様

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