模写からオリジナルへ
今回は模写の先のオリジナル作品作成について、下記のようなメニューで書かせて頂きました。
模写からオリジナル作品へ移行するタイミング?
前回「模写法」について書かせて頂きましたが、「模写」には当然続きと言うか「目的」があります。
誰かの模写ではない「あなた自身のオリジナル作品」を作る、ということなんです。
模写、とかトレースとか、最近よくSNS等で聞くようになりましたが、
その後、いきなり仕事のデザイン、に入るのでも良いのですが、もし余裕があるならその前にオリジナル作品など練習してみると良いかと思います。
では始めます。
1.模写からオリジナルへ移行するタイミング
「模写からオリジナル作品へ移行するタイミングは?」という質問を結構頂きます。
色々なスクール等でバナーの模写等を課題にされてる所はありますが、オリジナル作品への移行タイミング等については、どのように教えてらっしゃるのでしょうかね。それぞれのスクールで答えは違うかも知れませんが、ここでは、今までの経験から僕なりの答えを書かせて頂きます。
いつも「思い立ったら吉日」とお答えしています。ふざけているわけではありません。それくらいフレキシブルで良いと思ってるんです。
そこそこPhotoshop等のアプリの使い方を覚え始めて「模写」を5枚以上でも描いていれば、オリジナルを作りたくて仕方がなくなってくるはずですから、その時がタイミングだと思うんですね。
そんな風になってきたら、もう我慢せずに作り始めましょう。
失敗しても誰にも迷惑かけませんから(笑)
別に模写することはいつになっても練習になるので、続けていって構いませんが、「模写は一枚一枚全てキチンと最後までやり抜きましょう」というがちがちのカリキュラムがあるなら、僕とは少し考えが違うかもしれません。
模写を3個描いたら、オリジナルを一つ作るのか?等の決まりはなく、
作りたくなればオリジナル作品を作っていけば良い、というのが答えです。
オリジナル作り始めてみたら「まだオレには無理だ」と感じたら、そこで模写に戻るのもありです。色々試してみてしっくりくる方法で良いかと思います。
2.オリジナル作品って何?
オリジナル作品オリジナル作品、と連呼してますが「オリジナル作品」とは具体的に何か?ご説明しましょう。Webデザインでオリジナル作品として作るとすれば大きく2パターンあります。
【①架空のサイトデザイン作成】
文字通り、
架空のパン屋さん、架空の保険会社、架空のカフェ、まあ何でもいいのですが架空のクライアントのWebサイトを作るパターンです。
まあパン屋さんという事であれば、
・カレーパンが売れ筋で午前中には売り切れてしまう
・50年続く街の老舗パン屋さん、
とか、ある程度設定を細かくリアルに考えて、楽しみながら、作ってみましょう。
「本当にこういうパン屋、あるのでは?」と思っちゃうくらいが良いと思います。
リアルを追求する上で簡単なのは実際にあるパン屋さんをモデルにして設定を作ることです。極端な話、名前とロゴだけ変えるくらいでも構いません。
(どこのパン屋さんをモデルにしたか?すぐわかっちゃうくらいだと少し恥ずかしいですが)
デザイン込みで楽しんで作っていけば設定は、それっぽくなりますので心配する必要はありません。構わずやってみて下さい。
【②既存サイトを勝手にリニューアル】
これはもう現在ある会社のサイトを「僕ならこう作る」と、勝手にリニューアルしてしまうパターンです。
架空クライアントの設定作るのが苦手だ、という方はこちらのパターンがオススメです。今実在するサイトと少し離れたアイディアで作ると
やりやすいですね。
もちろんSNS等で発表は出来ません。本当にそういうサイト作ったのか?と
疑われてしまうかもしれませんし、根本的に著作権侵害になりますんで(まあ現実、そんな風に題材にしてもらった会社が個人のデザイナーを責めるケースはないですけど一応、法律踏まえて念の為)
こちらのパターンでオリジナル作品を作るコツとしては「自分がサイト作れたら最高だな、自分ならどう作るか?」なんて妄想するのが楽しいくらい
自分が好きな会社やお店のサイトを選ぶと作業も進むし楽しんで作れると思います。
昔、デザインの勉強会をある会社でやった時(そのままですが)「勝手にリニューアル」と名前までつけて、課題としてチームメンバーにやってもらった事もあります。ゲーム感覚とまでいきませんが面白がってみんなやってくれました。
わざわざ課題にした狙いとしては、オリジナルを作って貰いたいと言うよりは、まだ経験が少ないデザイナー達に、プロの作品と自分の作品をガッツリと比べて貰いたかったんです。
まだまだ力が足りない面々でしたが、横にプロの作品があり、A案・B案のようにして見比べる中で、その差を埋めようとして劇的に伸びる人も結構いるもんで、実際この「勝手にリニューアル」をやったことで驚くほどにスキルアップした方もいました。なので、そういう効果も期待できる場合もありますので興味ある方は試してみてください。
ちなみに僕がこの「勝手にリニューアル」パターンをやり始めたのは、
面接に持参する時のウケ狙いと「本物のサイトより上手く出来ているのでは?」と採用側に思わせられれば、インパクトを与えられる、なんて考えたからです。
いわば確信犯ですよね。その時はポートフォリオと言えば、
持参してその場でお見せしてお預けすることもあまりなかったので、著作権云々は全く気にせず、自分のスキルを目立たせる為に色々とやった記憶があります。
ウケ狙いと書きましたが、ぶっちゃけた話、面接って少し変化球投げて
良い意味で採用面接側に面白がられるというか、そういう部分も必要だったりします。もちろんそれをやる時にクオリティは、いつも以上に上げて臨むようにしてましたが。
さて①と②どちらが良いかと言えば、基本どちらでも良いと思いますがSNS含めWeb上に載せようとされてるなら、「①架空のWebデザイン作成」を選ぶのがまあ無難です。
しかし以前の僕のように、面接時に持参する時にインパクトを狙うなど、
確信犯的なものとして仕上げたい時は「②既存サイトを勝手にリニューアル」で、いっても面白いかと思います。
僕が勉強会で試みたように、プロが作った既存サイトを目指して作り、
どなたかにその差について講評なんかしてもらうと効果が上がる場合あります。
3.「模写」を活かしてオリジナル作品を作る方法
せっかく模写をして練習してきたのですから、
模写をしてきた経験を踏み台(という言い方は少し失礼ですね)ではなく、
「活かす形」でオリジナル作品へ進むことをオススメします。
と言うか、前回の模写法の記事で書いた通りに、キチンと考えながら、頭を働かせながら模写をしているなら、
模写するお手本が水族館サイトなら、水族館サイトのデザインに関して
幾つものアイディアが浮かんでいるはずです。
お手本のデザインで円の形状を使って画面を作っているのであれば、
もっと曲線を使って画面作ったらどうだろう?とか、
水彩絵の具を塗ったタッチならどうか?とかアイディアを書き止めているはずです。そのアイディアを活かす形で、オリジナル作品を作り始めれば、それほど躓くこともなく、模写からオリジナルへスムーズに
橋を渡ることが出来るはずです。
4.作りたいオリジナル作品が先にあり、模写をするのも良い
例えば前に水族館サイトを模写した経験があって模写しているうちに、オリジナル作品で自分なりの水族館サイトを作りたい、となるのは至極自然な事です。
一方で、水族館に遊びに行った時でもいつでもいいですが、
①「水族館サイトを作りたいな」と思い付く→②海外の水族館も含めて既存サイトを探し回って絞り込んだお手本サイトを模写→③模写している間に良いアイディア浮かんで来たらどんどんメモし、
模写をやめてオリジナル作品作りに突入する
こういう形で模写からオリジナルへ進むパターンも全然ありですよね。そもそもこの流れは、実際のお仕事でデザイン依頼を受けてからの流れによく似てもいるので勉強にもなります。
例えば、保険会社のサイトデザインを受けた時に、既存サイトでどんなデザインがあるか?は確実にチェックしますし、Pinterestなども見る時があります。
もちろんそこを見つつも、クライアントの依頼に沿うようにデザインしていくので、あくまでも参考程度ですが、ビジュアル的に大切なヒントや気づきを手に入れることも少なくはありません。
作りたいサイトカテゴリを元に、お手本サイトを探す流れも一度は、
やってみた方が良いでしょう。
5.模写する目的はあくまでもオリジナル作品を作る為
模写はとても効果のある上達方法であるのは間違いないですが、
あくまでもオリジナルを充実させる為に行う習作なのでキッチリと、10枚なら10枚耳を揃えて完成しないとダメというモノではありません。
もっとフレキシブルに色々なアレンジして楽しんで続けられるよう進めましょう。
また、
模写を自分のポートフォリオにまで載せるのは基本、反対です。何故なら模写は作品ではなく習作だからです。
ピッチャーが投げるフォームを修正する為にタオルが鳴るように、腕を大きく振る練習をしたりします。それはあくまでも「練習」であって練習時間にやることでマウンド上でその練習をお客さんに披露する選手などいません。そして余程の野球ファンでない限り見たくないはずです。
習作をポートフォリオに載せてしまうのはそれと同じ事です。
逆に練習であるからこそ,色々と自由にアレンジして良いはずです。
模写の途中で、オリジナル作りたくなって仕方なくなったらもう模写してる場合じゃありません。模写を途中でやめてオリジナル作品作りに入って構いません。
もちろんいつもいつも50%も仕上がらないのは、やってる意味がなくなってしまうの訳で困りますが、一枚一枚全て最後まで仕上げないでも良いです。
ウエイトトレーニングのメニューを、柔軟に変えるくらいの気持ちでやりやすいようにアレンジしてみましょう。
今回は下記のようなメニューで書かせて頂きました。
1.模写からオリジナルへ移行するタイミング
2.そもそもオリジナル作品って何?
①架空のサイトデザイン作成
②既存サイトを勝手にリニューアル
3.「模写」を活かしてオリジナル作品を作る方法
4.作りたいオリジナル作品が先にあり、模写をするのも良い
5.模写する目的はあくまでもオリジナル作品を作る為
こんな事を中心に文章だけでデザインの本質をお伝えする本を書かせてもらってます。よろしければ是非読んでみて頂ければ嬉しいです。
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