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もう一度見直す「一手間」

今回はこのツイートの深掘り記事です。全てのデザイナーに当てはまるかと思いますけど特にデザイン初心の会社員デザイナーさんに読んで貰い、実行して頂くと社内の方からの信頼感上がるかもしれません。

この「一手間」でみんなに信頼される?

今回は、デザインのスキルと別に「これをすればデザインを依頼した全ての人に信頼される」という、魔法のような作業をお伝えしたいと思います。

これこそ「デザインセンス」等と関係なく、誰にでも等しく出来ることなのに皆さん思ったよりしていない、という盲点のような「一手間」であり、それだけにあなたが今後欠かさずにこの「一手間」をする事で、あなたのデザインは確実にそのクオリティを上げると断言できます。

それは

「自分のデザインを提出する前に、もう一度間違いがないかを見直す」
という作業です。

「当たり前すぎてひっくり返った?」なんて言うあなた、何故僕がこの作業を全力でお勧めするかと言えば、そうです。この作業を怠ったために何度も痛い目に遭ってきたからです。

「一通り、チェックしたし大丈夫、さっさと納品して帰ろう」気持ちは痛い程わかります。でもそこでぐっと踏ん張って「もう一度間違いがないか?チェックしてみてください。

本当はデザイン的にも見直そう!と言いたい所ですが、文章の間違いが本当にないか?また見るからにおかしい所がないか?だけのチェックでとりあえず良しとしましょう。まるで誰か友達に最後の検証をお願いされたかのように、ニュートラルな気持ちで、間違いがないかをチェックしましょう。そう自分が作ったものだという意識を捨てたほうが良いかもしれませんね。

コツとしては「このデザインを作ったデザイナーは絶対に間違えている」というくらいの気持ちで「絶対に間違いがある」という前提で、しらみつぶしに見ていってください。

会社サイトをあなたが作ったとして、社長の名前を間違えていないか?、資本金一桁間、違えていないか?非表示にしていたレイヤーが表示されて変なところに変な画像が表示されたりしていないか?そういうクリティカルなミスと同時に、そうではないとしても指摘されるとめちゃくちゃ恥ずかしいデザインミス、細かい所のようですが、一つだけ他のレイアウトと明らかに違うマージン(余白)のところがないか?などあなたしか気がつかないとしても全部きちんと見るようにしてください。

何回かチェックをしていくと「大体間違えるとしたらここだろう」というポイントがわかるようになりますので、効率的にチェック出来る様に、あなただけのチェックリストも作るとさらに良いでしょう。もうそのチェックシートを見て間違いがなければ、チェックをつけるようにしていけば、かなりのスピードで一通りチェックすることができるはずです。


もう間違いがない、という時点からもう一度チェックする

このひと手間の見直し法の作法としてここの部分がとても大事なんですが、「これでまあ大丈夫、さあ終了だ」と自分が自信を持って「これで間違いは全くなし」という時点からもう一回チェックをする、ようにして下さい。

「まだまだ色々と途中だし間違いが残ってるだろう」という時点からチェックをするという話ではありません。それだと普通に「チェックする作業」をしているだけになり、間違いが残りがちです。僕がおすすめしたいのは普通の「チェック作業」ではなく「もう一段階あげた入念なチェック作業」です。

そう、自分で「もうこれで問題なし、自信あるから!」というくらい完成した後に「もう一回「ダメ押し」でチェックする」からこそ、このチェック作業に意味が出てくるのです。

この最終チェックで。多分8割を超える割合で、あなたは何がしかの間違いを発見するでしょう。

少なくとも僕はそうでした。勿論、見つけたミスは全てクリティカルな致命的ミスではありません。例えば、文章続いている部分で妙なところで改行してしまっているとか、例えばこの「改行」を「開業」と書いてしまったりとか(笑)

マージンミスとか、クリッピングマスクかけているつもりが外れてしまって、一つのレイヤーだけ明るくしようとしたところ、微妙に全部が明るくなっているとか、(これだってデザイン全体にクリッピングマスク外れて「彩度+10」の色調整レイヤーが入ってたら偉いことでもうクリティカルレベルに格上げのミスとなりますね)

そういう小さなミスも含みます。それでも「ミスはミス」で、やはり残してしまってはいけないのです。

そしてクリティカルなミス、人名の間違いだったりのやってはいけないミスや、画面要素丸ごと左にずれているとか「何故こんな事を俺はした?」と問いたくなるようなミスだって、結構な頻度で見つけて、怖ろしくなったりもします。でも、本当に怖ろしいのはそのミスが最後まで残る事です。だから、あなたは何かのミスを見つける度にガッツポーズを取っても良いくらいなのです。

自分が思うよりずっと、ミスは重い

会社でデザインをしている時、大抵は「営業」だったり「ディレクター」だったり、デザイナー以外に、その案件に関わり、自らデザインを作るわけではないですが、制作物の完成度に対して深く責任を持つ人達がいます。その方々は責任は勿論、その案件に思い入れや愛着を持っているモノで、時に僕らデザイナー以上に、成果物(デザインされたWebサイトやポスター)を厳しく愛を持って見ています。

その方々から見ると、デザイナーのケアレスミスは正直なところ、こちらが思うよりも腹立たしいはずです。勿論、一回か二回のミスは誰にだって起きうるし、大抵は「次から気をつけて」とか「すぐに修正して、他はないかな?」などと優しい言葉が出ますが、これがボロボロ出てくると「何故なんだ!」となってきます。

それまで協力しながら一つの案件を仕上げていたチームワークも崩れちゃう原因にだってなります。

勿論、まだ社内レベルで済んでいればいいですが、クライアントに間違いを見つけられたら最悪です。あなたがお風呂部屋のリフォームを業者にお願いしていて、シャワーの横に大きな傷を見つけたらどう思われますか?下手をすれば「修正しないならお金を返せ」みたいな話になっても仕方ないですよね。デザインも同じことです。

Webデザインの場合、DTPに比べ紙に印刷するという最終工程はなく、割と簡単に修正できます。その分、DTPデザインより最終チェックが甘くなってしまいがちで、ついついWebの場合「とりあえず公開する事が大事」となっちゃう事も実際にあります。

Webデザイナーとして自戒を込めて書きますが、

Webサイトの公開はDTPでの印刷に相当する、そのマインドでないとダメです

すぐに修正できる事は確かですが、一般ユーザーにはその「間違い」は見られている訳ですから、後から修正してもその事実は消えたりしないのです。公開に間に合うようにしっかりと見返して「ノーミス」の情報とデザインをお届けするよう頑張りましょう。

近年、デザイナーのレベルは低くなっている?

僕自身、ディレクターとして外部のデザイナーさんにデザインをお願いすることも多いですが、正直な話をしますと、デザイナーがミスをしたまま納品していくるケースは、昔に比べ明らかに多くなっていると感じます。

勿論、これは僕の肌感覚で感じてる事なんで、統計的にどうか?等はどうかまで確認はしてません。ただ少なくとも僕の周りのベテランの方々に聞いても、「最近のデザイン業界はミスが増えた気がする」というお話は結構出てます。もしかすると、デザインの経験が浅いに関わらず何となくフリーで始めてしまった人達が、多少ミスが残ってても依頼者側で何とかするだろう、くらいに思っているかもしれません。

フォトショップが出来るからプロのデザイナーではありません。間違いのない情報を間違いなく提示する安定感、そういうモノも(当然ですが)プロのデザイナーとしての大切な資質なのです。そして、その資質は「もう一手間」だけで簡単に手に入る訳です。


ミスを積極的に見つけてやる!と言う前向きな姿勢でチェックをしよう

「わかるけど何か自分のミスを責められてるようで読んでて痛いな」なんて思われる方、実は僕自身、ネガティブな話として今回、書いてるつもりは全くなく、実はデザイナーにとって「難しいスキル」も「センス」も必要ない、とってもお買い得な方法としてここに紹介させてもらってます。

だって最後の一手間を面倒がらずにしっかりとこなすだけで、貴方は一緒に働いているスタッフや先輩、そしてクライアントからも一目置かれる存在になれる訳ですから。

そう、先ほど「自分が思うよりずっと、ミスは重い」と脅かすような事を書いてしまいましたが(笑)これを逆に考えてみましょう。

「自分が思うより、ミスをしない自分には価値がある」という事です。

この書き方は「ミスをしないのが当たり前だろう?」と言うベテランのデザイナーからしたら、NGな言い方でしょう。でも、間違いをチェックしている作業を「後ろ向きな作業」として捉えることは僕は反対です。

それだと、どんどん自分のデザインを見返す作業が辛く、陰鬱なモノになってきます。

そうではなく、まずは初級編として「この最終チェックが終わればデザイン作業が終わるんだ!」と思いましょう。でもこれだと「とっとと終わらせよう!」と言う逃げの体制になって左手では帰りの準備を始めてしまいかねません。

上級編としては「ミスを見つけた自分は偉い!」とか「最後の最後でミスを見つけてピンチを回避した俺って偉い」とか、積極的にミスを見つける体勢になっちゃってください。

間違っても「またこんなにミスしちゃって」と必要以上に嘆くのはやめましょう。勿論、同じミスをしている所は、「ミス手帳」に記して、次にはやらないためのチェックリストなど作ることは、前向きだし効果も上がるのでオススメですが、意味もなく落ち込むのは時間の無駄です。

僕の友人などは、「ミスを見つけたら自分で自分にビールをプレゼント!」とかご褒美まで用意していたくらいで、まあ結局自分がただビールを買うだけ、でプレゼントでも何でもないんですが「まだミスが残ってるよ」と落ち込むより100倍良い方法ですね。反省は必要ですが未然に防げた自分も褒める事も大切です。

「貴方に頼めばミスはないから」という信頼感

そう、もう貴方は「今後のデザイナー人生でクリティカルなミスなど一度たりともしない」と力強く宣言しちゃってください。

そう、前向きにしつこく、ミスを見つけたら無人島で魚を取ったくらいに喜んで良いくらいに積極的にチェックをすることを自分に誓い、実行しましょう。

勿論、いい加減嫌になるくらいのミスを見つけてしまうなら、根本的に作り方に問題があるので、そこから直す必要はありますが、そこも含めてとにかく周りから「貴方に頼めばミスは少ない(ない)」と思われるくらいに、ミスのない貴方をブランド化しましょう。

そう、周りの人達がボロボロミスを出せば出すほど、貴方の価値は高く、光り輝きます。そしてこの「ノーミス」の称号を手に入れるのに、特段のスキルやセンスはそれ程必要ではないのです。
※勿論、ミスを見つけたり校閲をプロとして引き受ける方々のスキルは凄くて、それはそれで別次元の話です。でも自分の作ったモノを見返してミスを見つけることは誤解を恐れずに言えば「根性」だけで何とか出来ます。それなら手に入れてしまいあなたのデザインの完成度を上げて周りの方やクライアントからも信頼されるようになりましょう。

貴方が思うより、ミスがない、という事は当然な事であるけれど、依頼者側からすれば「価値」あるスキルでそれを実践する貴方への信頼度は高くなるのです。

地味なようで信頼を得るために、これだけ確実で簡単でお得な方法もないのです。

是非、ここで書いたように「もう間違いないぞ」と貴方が思ったところから、面倒がらずにもう一度だけ見返して、ミスがあれば事前に摘み取るよう努めてください。こういう一足づつが、貴方を正真正銘のプロのデザイナーへと導く運ぶ道になります。


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