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消えるデザイン・現れるデザイン


どうもkeloです。如何お過ごしでしょうか?

デザインの本質的な部分を深堀りして皆さんにご紹介したいと思い、記事を書いています。本日のメニューはこんな感じです。

1. 現れるデザイン、消えるデザイン
2. 消えるデザイン
3. 印(デザイン)を無くす商品→無印商品

そんな風に思われた方も多いでしょう。しかし「デザイン」を考える時に、この「現れる・消える」という2つの要素は、それぞれとても大切なものなんで、今回詳しく、書かせてもらいたいと思いました。是非、最後までお付き合いください。

今回のテーマも全く相反する二つの言葉ですよね。

「現れる→前へ出る、目立つ」
「消える→後ろへ引っ込む、目立たない」

でも、不思議な事にどちらも「デザイン」というものにとって、とても大切な要素です。どういうことでしょう?

■ 現れるデザイン
つまりは、どう目立つのか?という事は、商業デザインの世界では普通に重要な事でしょう。例えばプロダクツデザインの世界で言えば、売り場に置いてあったとしても、他の商品よりも前へと見えて来て、お客さんの目に留まって購入に至る、至極、普通な事ですし当然な流れですし、人が商品を選ぶ大切な要素として僕らデザイナーは、「いかにしてデザインで、目立つのか?」そこから逃げる事なく、むしろ真摯に考えていかなければなりません。

■ 消えるデザイン
しかし、もうひとつの要素、「消える→後ろへ引っ込む、目立たない」これらも、デザインにとってとても大切な要素なんだ、と言われてしまうと、もうあなたは、訳が分からなくなるかもしれません。何故ならそれぞれとてもネガティブな言葉ばかりですもんね。

目立たない・引っ込む?まして消える??

しかしここでひとつ間違ってはいけないのは「商品が消えるのではない」という事で、消えるのは「デザイン」そのものです。妙な言い方ですが、デザイン(装飾)というものを消すことによって、“商品そのもの”が表に現れて来るイメージなんです。

もっと言えば「いかにもデザインをしました」という部分を消し去る事で、商品自体を直接、ユーザーに繋げたい、そういう意味で「デザインを消したい」と思っているのです。

少し抽象的すぎるかもしれません、具体例を出して、ご説明しますね。

例えばあなたが「ノートが欲しいな」と思ったとき、ノートを買おうと、売り場へ出かけます。あなたはとにかく、書き記したい事があるだけです。

しかし、そこには、「Campus」という大きな大きな文字がどうだと言わんばかりに目に入って来ます。「別にオレ、大学生でもないしCampusなんてでかでかと書かれてもな」そんな風にあなたが思ったかどうかは別として、あなたが日記の為であろうと勉強の為のノートをつけたいと思っていようともそこに「Campus」ノートブランドのタイトルが存在している必要は全くありません。

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勿論、コクヨさんには企業としての都合もあり、いかにCampusというブランドを邪魔になる事もなくステキに目立たせるという戦いがあり、個人的に最近の様々な模様や素材の表紙に感動し、必要もないのに何冊も買ってる口ですが、ノートそのものを使う側からすればCampusというブランドは必要ない訳です。

■ 印(デザイン)を無くす商品→無印商品
そんな「デザイン(装飾・ブランド)を消したい」という欲求を、そのままコンセプトにして、無印良品は生まれたと言っても過言ではありません。デザイン(印)を消す、から「無印」なんですね。もちろん、色々なマーケティングから、もっと複雑な要望もたくさんあったんでしょうけど、「自分は“ノートそのもの”が欲しいわけで、メーカーさんが自分の預かり知らない所で勝手に名付けたブランド名なんかいらないんだけどな」そういう使い手の無意識を鷲掴みにしたから「無印良品」は(皮肉な事に)「無印と主張することで圧倒的な存在感を誇る唯一無二のブランド」となったのです。

しかしこれは「どうやって目立つか?」だけを追いかけて来たデザイナーからすれば、まさに晴天の霹靂で受け入れがたいものかもしれません。

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「無印良品」というブランド名は「デザインを消し去る!」というコンセプトを打ち出すことで、どんなデザイナーズブランドも叶わないような、非常に強大なブランドとなったわけです。デザインを消すことで、他の商品との差別化に成功しているのです。では、デザインを消すって、どういう事でしょう。

無印良品、でもない限り?基本的に何の商品ブランド名か?アピールする必要もあるとしたら、どうデザインすればいいのか?あなたがデザイナーであれば、こんな風に考え、まず混乱するはずです。

デザインを消す、という事をご説明するのに最適だったので、今回、無印良品を例としてあげさせて頂きましたが、他のパッケージデザインでも、まさに、デザイン”を消すことで、他の商品との差別化に成功しているものはあります。そして、そういうデザインを目指している、デザイナーの方もいます。

佐藤卓さん、という方などは、まさに、今回の「デザインを消す」というテーマに、ふさわしいデザイナーだと思われます。

実は今回のテーマは「デザインの現場」という雑誌に載っていた、佐藤さんのインタビューを読んで、思いついたテーマでした。

佐藤さんのデザインはまさに「デザイン」という邪魔な要素を消して、人と商品を直接繋げる、そんなコンセプトで作られているものが、多いように思うんです。

例えば、
ロッテのチューインガム、ミントシリーズや
キシリトールのシリーズ…
サントリーのピュアモルツのパッケージデザイン、
カルピス

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※全て「佐藤卓」氏 オフィシャルサイトより引用
https://www.tsdo.jp/


そして、最近では、明治の『おいしい牛乳』をデザインされています。

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https://www.meijioishiigyunyu.com/

このデザイン、明らかに無印良品とは違い、きちんと「おいしい牛乳」というタイトルもついていますし「MEIJI」という会社名も、水色に赤でぴりっと?目立ち、真ん中の「おいしい牛乳」のバックには、おいしそうに注がれる牛乳のイラストまでも描かれています。

ただ、そうやって割と普通のデザインですが(上手く言えませんが)非常にニュートラルなものになっていると思います。その結果、数多くある牛乳ブランドの中での差別化もきちんと出来ていて、デザイン自体が無理に主張している部分は全くありません。

ご自身がショートムービーで、自分のデザインを解説されていたりするので、もしご興味ある方は佐藤さんのオフィシャルサイトを御覧ください。

https://www.tsdo.jp/

ポートフォリオのページでは、佐藤さんの様々なデザインが、実際に見れますが、それぞれ『デザインというもの』が全然出しゃばっていない…それでいて、いやそれだからこそ、商品自体の魅力が、浮き上がってくる、そんなデザインばかり、並んでるように見えないでしょうか?

でしゃばらないデザインって、実は一番、実現するのが難しい、高度なデザインかな〜と感じます。

多分、ロゴの置き方ひとつ、余白の取り方ひとつ、全て、あるべき場所に、レイアウトをきちっと決めないと、デザインを消すデザイン?は、完成しないように思います。


では、消えるデザイン(引き算のデザイン)だけで世の中のデザインが構成されているか?と言えばそんなわけでもなく、広告系のデザインのように、どうやっって目立つのか?だけ目指しているデザインも沢山あります。

でも「良いデザイン、長く続くデザイン、名品と言われるデザイン」は周りのモノ達とも違和感がなく気持ちよく存在して、商品そのものと私達ユーザーが静かに強く伝わるための橋の役目を果たしてくれていると思います。

表に現れるデザイン・消えるデザインこの相反するふたつの要素は、コインの裏と表でありながら、実は、根っこの部分は同じものではないか?

そんな風にさえ、感じたりします。

今回もかなり抽象的なお話にならざるを得ませんでしたが、ユーザーが「デザインというものを忘れる感覚」を、無印良品や佐藤さんの一連のデザインなどを参考にして、深く考えてもらえたらと思いました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


さて、ここから後日談です。本文でも少し触れましたがこの記事の原型は10年前に書かせてもらってます。ですので本文中で「コクヨのCampusノートのデザイン」について少しネガティブ感じで書いてしまったかもしれませんが、当時のデザインはこんな感じでした。


※「キャンパスノートの歴史」ページより、参照。

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https://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/campus/history.html

ただ今はと言えば(コクヨだけでないですが)良いデザイン・たくさんのバリエーションのノートが数多く出ていて色々と選べるようになっています。なのでコクヨさんごめんなさい


無印のノートはと言えば、結構色々なデザイン出て細かく変わってますが、イメージとしてはあまり変わってません。それはそれですごいことですね。(後日談として)


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