3冊のデザインノート
■メルマガ読者さんからのご質問
デザインの専門学校に通ってますが、やはり美大に比べ、
(美大が)4年かけて学ぶ内容を3年でやらないとならず、
圧倒的に授業時間が短いと思っています。サボりたいわけではありませんが、短い学生生活の中で効率的にデザインをたくさん吸収したいと思い、
毎日少しづつでも確実に学べるようになりたいです。出来るだけ効率的に、日常生活の中で、まあ授業自体を変えることはできないので、
日々できる勉強法とかそういったものを教えて頂ければと思います。
長いメールでしたので僕の方で少し短くさせてもらいましたが、大体、こんな内容のメールでした。
「日々できる勉強法で何かデザインスキルを上げていける方法はないか?
そんな質問です。素晴らしい心がけですね。
確かに専門学校は2年とか3年のところが多く。時間的制約は4年生の美大よりもありますし、世のPCスクール(デジハリのようなところ)」はもっと短いでしょう。
アドバイスとしては「勉強法」と構えてしまうと続かなくなりそうなんで、
「気がついたらついうっかり続けてしまったな」という日々の習慣レベルでできそうなものをお伝えしたいと思います。
ずばり、デザインノートを、つけてみたらいかがでしょうか。
1冊からまず初めてもらっても良いですが、最終的には3冊つけてもらうとかなり効果が出てくるはずです。詳しくご説明していきますね。
1冊目は「デザイン日記」です
日記を既につけているならその中に「デザイン」という欄を作っても構いませんが、思いきってデザイン専用の日記として一冊用意した方が良いですね。
おすすめは、ほぼ日手帳のような、1日1ページとかある程度たっぷりかけるやつがいいですね。自分で見返して何も書いていない日のページがあると少し悔しくなるようにしたいので手帳を選ぶことをお勧めします。
今日デザインについて学んだこと。(あるいは今日デザインで失敗したこと)をひとつだけでも良いので書くようにしましょう。
一行でも構いません。ないのであればないと書いてください。
「デザインについて何を学べたか」思い返す時間を作ることが一番大切です。
専門学校で学んだこと、
友達から聞いたデザインのおもしろ情報、忙しい中行ってみた美術展で感じたこと、何でもいいです。最低でも5分くらいは時間かけてください。
多分続けていくうちに自然にもっと長くなると思います。そして、ときどき見返す癖をつけましょう。
何も書かないページがしばらく続くなら、鬱にならない程度に健全に落ち込みましょう。デザインのことを振り返る時間を5分でさえ取れなかった証明ですから「いけね!」くらいは反省必要です(笑)
でもぶっちゃけて言えば、書けない日も絶対出てきます。数日たってこっそり空欄の日を埋めるべく、後から書き込むのも大歓迎です。
コンスタントに続けるコツとしては、デザインの学校で起きたこと、仕事で起きた印象的なこと、など日々必ずやらねばならない日常に紐付けて一言は書く!ってすると嫌でも続きます。そして段々このデザイン日記に、何か書き残さないと気持ち悪いようになればしめたものです。もうその後は「1日にひとつと言わずデザインについて何かを書いてやるぞ」ってなってくるはずですから。
そしてそんな風に毎日、日記に書くデザインネタを探すことで一段(会社とか学校の)日常の生活が、デザインの色味が強くなると言うか濃くなってくるんです。
そうするといつの間にか、専門学校の授業からインプットできるものも増えてくるはずです。
何もせずに授業だけ受けている人と比べ、あなたが受け取る情報の方が濃くなってくるんですね。何故なら授業を受けるあなた自身が、デザイン日記をつけることで、自分でも気が付かないうちにデザインに対するアンテナがビンビンと立つようになってるんです。授業やカリキュラム自体の長さを変えられなくてもデザイン日記をつけることであなた自身を変えることはできます。
週に3つくらいは埋めるぞ!ってな感じで、気軽な気持ちで初めてみてください。
2冊目はデザインのテクニック帳です
テクニック帳というと何だか凄いようですけど、メモ帳感覚で良いです。
学校でどういうカリキュラムで勉強されてるかわかりませんが、アプリの使い方を教える授業もあるはずです。そういう授業等で、あるいは仕事をしている方なら、アプリの使い方を覚えていないと仕事にならないでしょうから、言うまでもなく何かしらメモっていると思います。
これも一冊独立して用意した方が良いかと思います。授業時間、仕事時間に限定せず、あなたが興味を持って覚えるソフトがあれば、使い方を忘れないように書き込みましょう。
まあ僕の場合は、机のスペースないところでPC使いながらささっと描くので小さい文庫本サイズのメモ帳に、自分だけしかわからない文字で殴り書きしてますが。これも決まりはありません。
ノートに書くのが好きならそれでも良いです。テクニック中心ですが、自分だけの技術的な辞書みたいなものと捉えても良いかもしれないですね。これも使っていくうちにアプリごとに分けて書くとか、時系列に書くとか、やりやすいようにまとめていくと良いでしょう。
3冊目はスクラップブック(コラージュ)です
3冊目、これがなかなかオススメで楽しいノートとなります。(このスクラップブックだけ単独で紹介した記事もありますし先日書かせてもらった本でも「お楽しみノート」としてご紹介しました)
スクラップブックと言うと、ジャーナリストや記者の方も新聞記事を切り抜いていって、時系列に見返すことが出来るようにしてるものを思い浮かべるかもしれません。
※池上彰さんやら立花隆さんなど作っておられましたね。良いと思ったものをストックする意味では全く同じです。
でも僕たちはデザイナーですから、少し慣れてきたら、ただ貼っていく、残していくだけではなく、自分が作ったスクラップブックを誰かに見てもらうことを、「ある段階から」意識し始めないといけません。
つまりは、作品化していくのです。ここ、重要です!(笑)
切り抜く材料は、自分の作品は素材にせずに雑誌やフリーペーパー、タワレコに置いてあるCD紹介の冊子とか、あくまでも他人が作ったものを素材にします。もちろん全てあなたが「素敵だな」と思って集めてきたものを使います。
すでにある素材(写真素材・フォント・用意されたテキスト)からビジュアルを作り出していくことは、デザインと言う作業に似ていて(デザインも素材をいちから作ることは少ないです)知らず知らずのうちにこのスクラップブック作りは、デザインの予行演習になっていくわけです。
あなたの毎日をデザインにどんどん近づけていくためには、作品作りに毎日触れるのが、一番ですよね。
でも1日1作!なんて意気込んで、毎日イチからデザイン作品を作るなんてよほどの物好きか暇な人でないと続きません。
でもこのスクラップしながら時々(気が向いたら)。コラージュにしちゃおう!なんてノリだと振り返って「1週間に3つ作ってたな」ってなり、段々コラージュの面白さに目覚めてしまい、1日2、3個作ってしまい気がつくと、1週間の中で10個作ってしまうことも出てくるかもしれません。
またこのコラージュの部分は、先日に触れた『インプットとアウトプットの交わる部分』でもあるので、一石二鳥にもなり時間を効率的に使えたりします。
前このメルマガでも何度か書かせてもらった「模写」という作業も似ている部分ありますが、コラージュの方があなたのオリジナリティが出るので
作品として残せると思います。
自分のオリジナリティが強く出るので、人に見せるのが恥ずかしい人は見せないでも構いません。でも人に見せても恥ずかしくないクオリティは、
自分で意識して維持するようにしてみてください。
コラージュの流れをざっと説明しますと、、
街中で誰かの作ったグラフィックを探してきて
(→インプット)
それを元にコラージュ化して自分の作品として誰かに見せる
(→アウトプット)
単純にインプットとアウトプットとの循環の輪が「濃く」なってくるのが分かりますよね。と言うか、インプットとアウトプットを同時に行ってる感じもします。あまり初めから気合を入れてやらないことです。
僕のスクラップブックは作りかけのものも多いです。コラージュを作り始めたけど、夕ご飯に呼ばれたから、そこでストップしてそのまま残ってる、なんて類のモノです。見返した時に、「どうするんだこれ」とか自分で自分に突っ込んだりしますが(笑)それくらいのゆるさで良いんです。
作品集を作り上げて発売するわけでなく、何かしら毎日、作品作りに手を出した!ってことが、何より大切なんですから。
専門学校に限らず、今のデザイン教育って、「参考作品通りに作りなさい」というものか「イチからオリジナリティを全開にして作りなさい」か、両極端な気がします。ある程度制限がないと、作品って作りにくいってことありませんか?デザインって少なくともそうです。
デザインの仕事は色々と制限があります。(例えばこんなものは氷山の一角)
・サイズが決まっている、
・色数も2色以内でまとめる(3色ですると高いからさ)、
・このページに、社長の写真、唐突だけど必ず入れて、
・このテキスト5,000字あるけどなんとか入れて、
とか、各案件ごとに違いますが、制限というか決まり事があってから始まります。
コラージュの場合、何を作るかは自由ですが「今日街で手に入れてきたものを素材に作る」ようにすれば、それが制限になり、決まり事にもなり、
デザインの予行演習になるわけです。
タワレコのフリーペーパーや駅の観光チラシ、駅ビルおしゃれスイーツの小さいフリーペーパーとか、
その日手に入れたものだけで絵にしにくい時もあるでしょう、そんな時は、色的にアクセントをつけたいならマスキングテープを使ったり、色紙をポイントで入れてみましょう。
(画材屋行かないで良いです。100円ショップに全て揃ってます)
コラージュのメリットを軽くまとめると、
①割と気軽に作れる
②自分が作ってないものを素材に作っていく感覚がデザインに近い
③結構楽しい!
デメリットは?と言えば、机周りが散らかる、程度でしょうか(笑)
大丈夫です。慣れると片付け方わかってきてそれなりにすぐ片付きます。
長くなりましたのでまとめますね。
■質問
専門学校のカリキュラムは美大に比べ短いです。
短い学生生活の中で効率的にデザインをたくさん吸収したいので、
毎日できることで何かオススメの勉強法があれば教えていただけますか。
■答え
毎日続ける勉強法って(キツすぎて)大抵続かなくなるもんです。
もう少し簡単な方法としてデザインノートを3冊書くようにしてみてください。
●1冊目は「デザイン日記」
→日々デザインについて学んだこと、感じたこと、気になったこと等、なんでも良いから書く
●2冊目はデザインのテクニック帳
→アプリの使い方、ショートカットなど、実務的に覚えておくために書く
●3冊目はスクラップブック(コラージュ)
→街で手に入れたデザインのもと、雑誌などから気になったものをコラージュにして
作品化しながらデザインの演習をしてしまう(インプットとアウトプットの一石二鳥!)
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