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普段からポートフォリオを作ろう

普段から少しづつでもポートフォリオを作っておく

ポートフォリオの作り方については何回か色々なところで書かせてもらってますが、今回あえて「普段から」と入れてます(笑)

「デザイナーあるある」かもしれませんが、ポートフォリオをいつ作るかと言えば、転職活動など始めるにあたって慌てて用意する、というパターンが多い気がします。(少なくとも僕はそうでした)でも、声を大にして言いたいのは、ポートフォリオは「普段から作っておくべきモノ」という事です。

これを読んでいるあなたがデザイナーで、自分のポートフォリオを持っていない(作っていない)なら、今すぐにでも作ることをオススメいたします。今現在、すでに持っている人でも、新作を常に入れてアップデートする事をオススメしたいです。

そう、ポートフォリオを普段から作ることは、デザイナーにとってメリットしか有りません。

まあ「デザイナーならポートフォリオ持っているのは当たり前だ」と言うのは、よく聞きますが、何故「当たり前」なのか?その理由を具体的に書かせてもらいますね。

「普段からポートフォリオを作っておくとよいこと」をまず3つあげさせてもらいます。

1.転職活動にプラスになる。
2.自分の棚卸し(自らを客観的に見る資料)が出来る。
3.自分と対話し、自分を上達させるツールになる。

では順番にご説明していきましょう。

1.転職活動にプラスになる

デザイナーの転職活動において「ポートフォリオ」の存在は非常に大きいもので、デザイナー採用の有無を決めるのは、一にも二にもポートフォリオのクオリティだと言えます。「人間性やコミュニケーション力が大事」という意見はまさにその通りなんですが、それでもやはり作品力が一番大事、というのがデザイナー採用担当者の本音です。

ですから「ポートフォリオ=そのデザイナーのスキルを表す成績表」となるのでポートフォリオの良し悪しは転職の合否にダイレクトに影響を及ぼします。

遅ればせながら、デザイナーでない読者の方たちのために簡潔にご説明するなら、ポートフォリオとは「デザイナーが今まで仕上げてきたデザインを一冊にまとめた自分の作品集(実績集)」のようなものです。勿論どこかの誰かが作ってくれるモノではなく、デザイナー自身の手作りで、一枚一枚プリントアウトしたものを一冊のクリアファイルに入れ、10枚〜20枚程度にまとめます。

※また冊子版の他にweb上にWordPressなど使って展開するweb版のポートフォリオもあります。

単純に作るのに手間も時間もかかるので、在職中のデザイナーの転職活動は、日々の仕事をしながらポートフォリオを用意し、書類を応募し、面接・プレゼン等もこなさないとならないのでそれなりに大変です。

最悪の場合、転職したい会社に指定された面談日にポートフォリオ作りが全然間に合わないことだってあり得ます。

ですから非常に現実的なお話として「普段から」デザイナーはポートフォリオを用意しておくべきですね。ポートフォリオ=作品集、としてあんまり壮大な事など考えず、とりあえず最低限、作品の画像や、キャプションとして制作期間や何を担当したのか?(デザイン・コーディング・アートディレクション等)が載っていれば、まずはオッケーです。

ポートフォリオは、冊子版とWeb版2つ用意するのがベストですが、まずは作りやすいものから一つでも作りましょう。個人的にはは持ち歩ける冊子版をまず作ることをオススメします。

ポートフォリオを作るコツは、妙な言い方ですが、とにかく作り始めることです。作るために少しでもいいので動くことです。

まだ一冊もポートフォリオを作っていないなら尚更ですが、とにかく作り始めましょう。

作るために色々な準備があります。家にインクジェットプリンターや紙がなければ、買わないとなりませんし、紙だってそこらへんのコピー用紙では駄目です。コンビニで売っているようなものでなく、ヨドバシやビッグカメラのプリント用紙売り場で、つや消しだつや有りだと選ぶ必要もあり

つまりは「結構、やることが沢山ある」ということにやり始めない限り、中々気が付かないモノなんですね。「作り始めたら早いぜ」と何の経験も根拠もない癖につぶやいていつまでも作らないという悪循環にはまる前に、手を動かし始めましょう。

走りたいならまず助走からでもいいので「走る」事です。助走であっても「走っている事」に変わりはないですし、
間違った方向に向かっている事も走らないと気が付かないモノです。

頭で考えるより先に行動して、とにかく形にしていく事が結局近道です。「面倒だな」と考えず「自分の作品集を作れるなんて幸せだな」とポジティブに捉えて楽しんで作って下さい。

実際、僕は、ポートフォリオが段々と出来上がっていく様を見るのは喜びしか感じませんでしたし、

大袈裟なようですが、ポートフォリオを作る事ができるのは、「作り手の特権」くらいに思ってます。


webでも冊子でも作り易い方から作ればいい

最近、WordPressがどんどん使い易くなって、個人ブログを開設し易くなってきました。ブログと言うと、日記等、文章ベースのコンテンツのように思われるかもしれませんが、WordPressを使い画像を中心にポートフォリオをWeb上に開設する人が増えています。

僕自身も冊子版だけでなくWeb版も持っていて、転職活動の時にガンガン使いました。と言うか、現代のWeb中心の採用の中で、Web版ポートフォリオがない人がスムースに転職活動を行うのは難しいかと思います。

ですから、Webが少し苦手な方でも何とかしてWeb版ポートフォリオは作成すべきだと思います。(Webデザイナーは特にあった方が良いです)基本的には最終的には冊子版とWeb版どちらも作るのがベストです。

Web版は転職活動だけではなく、オンラインで誰かに自分の作品を見てもらう時に、URLを教えればすぐに見てもらえますし、オンライン上のメンター(先生)にも作品のアドバイスだってもらえます。なので非常に重宝するので少しづつでも作りましょう。(基本認証をかけて、パスワードがないと見れないようにする事は必須ですのでご注意ください)

一点、web版を作るにあたって注意すべき点は、簡単になったと言ってもWordPressの知識がある程度は必要になる、という事です。webデザイナーの方は、WordPressの知識を手に入れることは、メリットしかありませんので、作りながらプラグインの探し方とか設置方法とか、自然に覚えていくことをお勧めします。

実際、ポートフォリオを見せた時に「おお、WordPressの基本的な操作方法はご存知ですね」と好印象を持たれた事も何回かありました。プラスになれどマイナスになる事は決してありません。時間に余裕ある方はついでにWordPressの基本的な使い方くらい覚えてしまいましょう。(Wordpressの作り方とか本格的なカスタマイズではありません)

WordPressは掘り下げれば無限に掘り下げられる、追求できるものなんで、目的がポートフォリオであるならWordPressの作り込みはあまり追求しない、と意識していた方が良いかもしれません。

またポートフォリオはあくまでも作品や実績が主役なんで、あまりゴリゴリに動く仕様にしたりしないで良いかと思います。

ですから、WordPressのテーマは出来るだけニュートラルなものが良いでしょう。冊子版で言えば、表紙とか目立っても意味がありません。僕は無印の無色透明なクリアファイルを使ってきました。あくまでもポートフォリオは作品を見せるための「舞台」のようなものです。主役の俳優さん(作品)より舞台が目立つようでは本末転倒かなと思います。

採用面接官がテンポ良く作品を見ていけるようなポートフォリオが最良のものだと思いますので、見やすいかどうか?には最大限注意する事が大事です。

2.自分の棚卸し(自らを客観的に見る資料)が出来る。

一つ、一つデザイン作品を作り実績を積み重ねて行ったとしても、特にwebデザイナーの場合、ずっとPCの中でしか自分の作品を見れていない状態が続く事になりますよね。これはまさデッサンを描く時に一度も離れて見直していないような、自分のデザインを客観的に見れていない、あまり良くない状態です。

例えばポスターであったりパッケージであったり、アパレルデザインなどだと、最終的に、デザインはPCの中から出るはずで、お店や駅など、PC画面と別の場所で客観的に自分のデザインを見返す事ができます。でも本当にwebデザイナーの場合、会社のPC画面内でしか自分のデザインを見ていない人も少なからずいるはずです。

昔、傘のデザインの仕事をしていた時、売り場で見た時にどう見えるか?必ず一回は百貨店やスーパーで自分が企画・デザインした商品を見るようにしてました。違う場所で見た自分のデザインは仕事場で見てみるとまた違う見えかたをするので、色々と発見があるモノです。

プロダクツデザインの場合、実際に作ったモノが売れるように目立っているか?等どうしてもデザイナーとして気になり、誰に教えてもらうわけでもなく、自然にデザイナーは売り場へ足を運ぶモノですが、Webデザインの場合、そういう機会が中々作れないので、PCで見るにしても色々なサイズのモニタで見てみるとか、デバイス環境を変えて見た方が良いでしょう。

また、一度自分のPC画面から出して、紙の状態で見返すとまた違う見え方で見え「自分では少し尖ったデザインにしたつもりだったけど、思ったよりつまらないデザインになってしまったり、色々と見えなかった欠点や、逆に長所が見えたりするモノです。

そういう意味で、初めに作るポートフォリオは、出来るだけ冊子版にした方が良いのではないか?そんな風に思うんですね。

3.自分と対話し、自分を上達させるツールになる

ポートフォリオを作る事は、自分の作品と向き合う良い機会です。

勿論、日々のデザイン制作時に皆さん精一杯力を出し切り、仕事を通じて成長しようとされているでしょう。自分の作品をプリントアウトして時系列に並べたりしないはずです。

一つの案件であれば、その案件の中での試作については比べてみるにせよ、自分の作品群を昔のモノも含めて、まとめてみる事はなかなかしないでしょう。

自分の作品をただ並べて見たり、一冊の本のようにしてパラパラとめくって見ると、普段見えなかったモノが、見えてきたりします。

気がつかなかった自分の癖であったり、思ったより上達している部分、逆に停滞している部分にも気がついたりします。もし停滞しているとしたら、それは何故なのか?

実際に作品を並べて見比べて見ると、結構、何がしかの具体的なヒントを見つけられるはずです。

ポートフォリオ作りは、そんな風に、自分の作品と対話する事でスキルアップの手がかりにしていく事もできる便利なツールなのです。

最後に:ポートフォリオがない=デザイナーではない?

「ポートフォリオがなければ、デザイナーとは呼べません」これは、全然言い過ぎではないかと思います。

僕は、傘のデザインを作る仕事からWebデザインの制作会社に転職しようとした時に、まず必要なのは「ポートフォリオ」と考えてせっせと作った思い出があります。勿論、Webデザインの仕事をひとつもしていないのですから、載せる作品が「傘のデザイン」だったり学生時代に作った「デッサン」だけのモノで、Webデザイナーのポートフォリオとは言えないような代物だったでしょう。

それでもとりあえずは、ポートフォリオサイトを何とか作り、それ自体を作品として見せる事で「やる気」だけでも、伝えたいなと考えたんです。

それに転職活動をするというのに「ポートフォリオ」さえ持参できない事は、忙しい中、時間を割いて見てくれる採用担当の方にとにかく「失礼」だと考えたのです。

ポートフォリオを持つことの理由は「転職活動」をするからだけでなく、デザイナーとして活動していく上で絶対的に必要なものです。自分が何を作れるのか?どんなデザインが得意なのか?自己申告だけで済ませ、採用されてきたデザイナーを少なくとも僕は一人も知りません。

ポートフォリオを持たないデザイナーは、名刺を毎回忘れる営業のようなもので「連絡先を知らせるモノも持たずに何しに来たの?」と飛び込み先のお客様に言われるように「作品も見せてくれない、自称デザイナーの方ですか」と思われるのがオチです。

ニューヨークのデザイン学校の生徒たちは、学校に教えに来るお気に入りのデザイナー達に「自分を雇ってみたらどうか?」と売り込みをかけるらしいです。勿論、インターンの売り込みからでしょうけど、それでももうそのデザイナーの会社に勤めている自分を夢見て、自ら売り込みをかけている訳です。ギラギラしているな〜なんて学生の頃には少し感じたりもしましたが、今プロとしてしばらく仕事をさせてもらってから振り返ると、全然デザイナーとして当たり前の行動であり、姿勢であると思うんです。

作品が足りない→作ってポートフォリオのページ数を増やす→昔の作品がやけに見劣りする→ポートフォリオから外す→ページ数が少なくなる→また作品を作る(ただし、外した作品よりもクオリティが高いものを)

こうやってポートフォリオのクオリティをあげる為に自分の作品クオリティも上がっていく、卵が先か、鶏が先か?わかりませんが、そんな風にしてデザイナーが作品レベルを上げることは自然な事ですし、一度作ってみるとわかりますが、意識しなくても「せっかくだからクオリティの高いポートフォリオを作りたいな」と思えたなら、あなた自身がクオリティ高いデザインを作れるデザイナーになるしか道はないのです。

ポートフォリオ作りが、本当に手間がかかることは、僕自身、痛い程わかってます。流石にもう20年近くデザイナーとして生きてきたので、作品数が足りない事もないですが、webデザインの作品実績がない時には「どうやって作品を増やそうか、自動的に増えないものかな」などと、何も入っていないクリアファイルを見つめていた事もあります。

それでも、読者の皆さんには「とにかく作り始めましょう」と言いたいです。作る事でのメリットが沢山ありすぎです。

はっきり言って「作ったモノ勝ち」です。逆に言えば、あなたが作らない中で、あなたのライバル達が作り始めたら、ライバル達は急激にスキルアップする可能性があります。理由はもうこの章で書き切りました。

繰り返しになりますが、助走で良いので走り始めてみましょう。「本気で走らなければ意味がないよ」と言う方もいるでしょうが、僕は、走る事でどの方向に走るのが正しいのかがわかると思います。動きながら失敗しながらポートフォリオを作っていきましょう。

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