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「DESIGN CAMP@奥大和2022・1歩目の報告会」レポートVol.2/大橋茶屋のその後
「DESIGN CAMP@奥大和2022・1歩目の報告会」レポートVol.1で、マルサンフットウエアーチームの「これまで」と「これから」をお伝えしました。
Vol.2では、大橋茶屋チームについてレポートします。
「いつ来てもええすよ」タオルを制作
<参加メンバー>
会場参加:大橋茶屋・小屋さん、デザイナー・松村さん
オンライン参加:シンガポールSECTION Eugene & Wee Hoon、通訳コーディネーター・福井さん
報告会当日は、大橋茶屋の小屋さんとデザイナーの松村さんが会場で、通訳・コーディネーターの福井さんはオンラインで参加。
シンガポールデザイナーのLi Jing & Xiu Mei は都合により欠席したため、代わって2人が在籍するSECTION 社の代表のEugeneとWee Hoonが参加しました。
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9月のプレゼンテーションでは、大橋茶屋に来てもらうことをメインテーマに据え、「いつ来てもええすよ」のタグラインやグッズ制作、茶屋を活用するアイデアとして、書道やヨガなどのワークショップやアクティビティーを行うことを提案しました。
それから約4ヶ月が経ち、大橋茶屋チームはタグライン「いつ来てもええすよ」のオリジナルタオルを作りました。
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「大橋茶屋に来てくれた人が寸志(お礼や感謝の気持ちを表した金銭や品物のこと)をくれるんです。
これまではお菓子をその返礼品にしていたのですが、これからはこのタオルをお渡ししたいと思います。タオルなら残りますしね」(小屋さん)
オリジナルグッズをタオルにした理由はあるのでしょうか?
「頭に巻いてしっくり来るのがタオルなんです。頭に巻く時は3つ折りがベスト!
山を登る時には汗をかきますし、万が一、怪我をしたときの止血にはタオルが必要なので。その場合はもれなくプレゼントします。
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今回、タオルを400枚作ったので販売もしていきたいです。その売り上げは大峯山を守る資金として使いたいと思っています」(小屋さん)
デザイナーの松村さんは、「天川村は温泉が有名で、そこらじゅうで温泉タオルを売っているんです。
大橋茶屋にもタオルがいっぱい飾ってあるのですが、大橋茶屋のタオルだけなかったので真っ先に作ろうと思いました」と制作意図を語りました。
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このタオルを見たシンガポールのデザイナーは、「我々が大橋茶屋に行った時にそのタオルがあったらいいですね!タオルには色々な機能性がありますから。
シンガポールでは『Good Morning towel』が有名です。大橋茶屋のタオルもそのようになったらと思いました」とコメントしました。
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商品がない大橋茶屋の価値を何で伝えるか
9月の提案から4ヶ月、コミュニケーションを続ける中で大変なことはあったのでしょうか?
デザイナーの松村さんに聞きました。
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「大橋茶屋には商品がないので価値を何で伝えようか悩みました。
メッセージで伝えるか、ビジュアルで伝えるかしかないんですよね。とはいえ、常に何かしらのメッセージを発していく必要があると思うのですが、このタオルもメッセージのひとつだと気付きました。
家で顔を洗うときにこのタオルを使って、『あ、大橋茶屋にいこう』と思ってくれる人がいたり、Instagramで『#いつ来てもええすよ』のタグを見た人が来てくれたりしたらいいなと。
そういったメッセージをタオルやTシャツなど、あらゆるところにつけて発信することが大事だと思います。それが今回のデザインキャンプの成果であり、難しさだと感じました」(松村さん)
大橋茶屋と大峯山のこれから
大峯山にあるお寺は2023年5月3日(水)から9月23日(土)まで開門され、その間は登拝できます(男性のみ可)。
(*上記期間以外でも山に登ることはできますが、冬季などは必要な装備を持ち自己責任でお願いします。)
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この話を聞いてシンガポールのデザイナーたちは、「2022年はコロナ禍だったので大橋茶屋に行くことができませんでしたが、今年の5月には現地に伺う予定です。
そのときには小屋さんと一緒に山を登って、そのことをタグラインとともにシンガポールに伝えていきたいと思っています」と話しました。
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この報告会に参加していた奈良県庁の担当者からも、「大橋茶屋が守る大峯山は修験の行場なので多くの人にとって心のハードルが高いと思います。
でも、『#いつ来てもええすよ』のタグラインによってそのハードルが下がりますし、その結果、大峯山を残すことにもつながっていくと思います。
大峯山は女人禁制ですが、男性が山を登っている間に女性が茶屋でヨガをするなど、老若男女が集えるアイデアが出るとうれしいです」との感想があがりました。
2022年11月に大橋茶屋を訪れたマルサンチームの台湾デザイナー・Hansさんも下記のようにコメントしました。
「奈良は最高です!大橋茶屋近辺の川など自然がきれいで、温泉もあって人生で最高の旅ができました。
小屋さんは大橋茶屋にいる全員に挨拶をして、大峯山に登った人が帰ってくるまでずっと待っていてくれて、山だけでなく地域も愛していることが伝わってきました」(Hansさん)
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現在、大橋茶屋ではヨガインストラクターによるヨガツアーなどを行っていて、今後も継続していく予定だといいます。
自然に恵まれたこの場所は、マインドフルネスに飢えている都市に住む人にとっての聖地になる可能性を秘めているのかもしれません。
今後の大橋茶屋の動向に、ぜひご注目ください。
次回、Vol.3では吉田屋チームのレポートをお届けします。