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歴史から学ぶ「経営理念」の本来の姿とは~富国強兵から続く、盤石たる理念の創出~【ビジネスパーソンのための産業撰録記】

本日のタイトル

歴史から学ぶ「経営理念」の本来の姿とは
~富国強兵から続く、盤石たる理念の創出~

概要

当記事では、企業の経営理念について、その定義から歴史的な背景まで、多角的に解説します。

対応するYouTube動画

当記事と同様の内容を踏襲し、より分かりやすく解説している動画です。
※後日アップロード予定



「経営理念」とは

二次元的経営理念

「経営理念」とは、基本理念と行動理念と企業理念の三つからなる体系を言います。
なお、この定義については、経営理念体系として、二次元的にとらえた場合の定義です。

経営理念=基本理念+行動理念+企業理念

三次元的経営理念

二次元的に定義に対して、三次元的経営理念の体系が存在します。
経営理念を上位概念とはせず、その下位概念として「企業理念」「経営理念」「行動理念」を設定し、これを「基本理念体系」とするものであり、この場合は、正四面体モデルを採用し逆正四面体モデルで説明しています。

理念を実現するために

これらの経営理念を実現させるために、「経営ビジョン」を策定します。経営ビジョンでは、企業の到達したい将来像を示す必要があります。
策定した「経営ビジョン」に向かって活動するには、「経営戦略」が必要です。そのため企業戦略では、企業の経営目標を実現するためのシナリオを明確にします。
つまり、企業のあるべき姿や、理想像である経営理念を、置かれている環境や利用できる経営資源等を加味して具体化したものが、経営戦略やビジョンと言えるでしょう。
次に、企業の経営戦略を実現するための行動計画を示すには、経営計画の策定が必要です。

ピラミッド構造

ピラミッド構造で表すと以下のようになります。
ここでは、上に行くほど長期的、抽象的、野心的なものになります。

  • 経営理念:企業の存在理由や価値観を明確にする

  • 経営ビジョン:企業の到達したい将来像を示す

  • 経営戦略:企業の経営目標を実現するためのシナリオを明確にする

  • 経営計画:企業の経営戦略を実現するための行動計画を具体的に示す

対内的には、社員の行動規範や価値判断の基準、あるいは自己評価の基準となり、また企業風土・企業文化を形成したり、社員に帰属意識や一体感をもたせることが期待され、その一方で対外的には、ステークホルダーに対して他社とは異なるアイデンティティを示すことが期待されます。

日本では、明治期では富国強兵と関連付けた理念の策定が、大正期にかけては経営家族主義的な理念が、第二次世界大戦中は産業報国主義的な理念が代表的となった。また、高度経済成長期には「近代化と技術革新」が多くの企業で唱えられた。


「経営家族主義」と「産業報国主義」

「経営家族主義」とは

「経営家族主義」とは、企業を一つの家族に見立て、従業員一人ひとりが家族の一員として企業に貢献するという考えに基づいた経営理念です。企業と従業員が一体となり、相互に信頼関係を築き、企業の発展に共に尽力するというのが特徴です。

特徴
・家族的な雰囲気:企業内は家族のような温かい雰囲気で、従業員同士が助け合い、協力し合います。
・長期的な視点:企業の存続を家族の繁栄と捉え、長期的な視点で経営を行います。
・従業員の幸福:従業員の物心両面の幸福を重視し、働きやすい環境づくりに努めます。
・企業への忠誠心:従業員は企業に対して強い忠誠心を持って働き、企業の発展のために貢献します。

歴史的背景
・日本の高度経済成長期:日本が高度経済成長期を迎えた際に、企業が従業員の生活を保証し、従業員も企業に貢献するという関係が構築されました。
・終身雇用:終身雇用制度が定着し、企業と従業員が長期的な関係を築くことが一般的になりました。

現代における「経営家族主義」
現代においては、グローバル化や多様化が進み、従来の経営家族主義がそのまま当てはまらないケースも増えてきています。しかし、従業員のモチベーションを高め、企業文化を醸成する上で、経営家族主義の考え方は依然として有効であると考えられています。

「産業報国主義」とは

「産業報国主義」とは、産業の発展を通じて国家に貢献するという思想です。企業が単なる利益追求の主体ではなく、国家の発展に貢献する役割を担うべきであるという考えに基づいています。

特徴
・国家への貢献:企業は、単なる利益追求だけでなく、国家の産業力強化や国民生活の工場に貢献することを目的とします。
・技術革新:新しい技術や製品の開発を通じて、産業の競争力強化に努めます。
・社会貢献:社会問題の解決や地域社会の発展に貢献します。

歴史的背景
・明治維新:明治維新以降、日本の富国強兵政策を進め、産業の発展が国家の目標となりました。
・第二次世界大戦:第二次世界大戦中は、国家総力戦体制のもと、企業は軍需産業に協力し、国家に貢献することが求められました。

現代における「産業報国主義」
現代においては、産業報国主義は、会社の社会的責任(CSR)という概念に発展しています。企業は、経済活動だけでなく、環境問題、社会問題など、様々な課題に対して責任を持ち、持続可能な社会の実現に貢献することが求められています。

両主義の関係性

「経営家族主義」と「産業報国主義」は、一見異なる概念のように思われますが、両主義には共通点も存在します。
例えば、どちらも企業と社会とのつながりを重視しており、企業が単なる利益追求の主体ではなく、社員の一員として貢献すべきであるという考え方などが挙げられるのではないでしょうか。


まとめ

経営理念は、企業の行動の指針となるものであり、企業文化を形成する上で重要な役割を果たします。
その定義は時代や企業によって変化し、多様な側面を持っています。
経営理念は、企業の将来像を示す経営ビジョン、具体的な行動計画を示す経営戦略、経営計画と密接に関連しており、企業の持続的な成長に貢献することでしょう。

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