【イベントレポート】デザイン組織をデザインする-後編-
2021年11〜12月の約1ヶ月間にわたり開催された「Uzabase DESIGN WAVE」。DESIGN BASEのメンバーが出演し、過去から現在の取り組み、未来への展望など、現場のリアルを語るトークイベントの最終回です。
今回は、「デザイン組織をデザインする -ビジョンを描き、取り組んだ施策のリアル-」と題し、CDOの平野友規と、ユーザベースSaaS事業部 DEISIGN BASE に所属する藤原来未、石丸恵理、伊藤崇志の3名が、デザイン組織の立ち上げや、チームに向けたコミュニケーションを増やすための施策、社外へのブランド発信など、具体的な施策について語ります。
デザイン組織をどうデザインし、社内外に向けてどう発信したか。イベントレポートは、2回にわけて掲載します。前編はこちら!
メンバーの人柄を伝えるための「チーム写真」の撮影
伊藤:DESIGN BASEのWebサイトのチームページには、集合写真やメンバー個々の写真が掲載されています。これらの写真について、なぜこういった撮影をしたか、どのように撮影し、その結果何を得たのかをご紹介します。
チーム写真でメンバーの「人柄」を社外へ発信
前提として、DESIGN BASEのWebサイトには上図のように、インナー向け、アウター向けにいくつかの目的があります。その中でも、チーム写真の撮影にあたっては「社外のデザイナーとのタッチポイントとして、採用に貢献するため」を意識しました。
なぜこうしたチーム写真を撮影することになったのか。課題が2つありました。1つ目は、「経済情報を扱うユーザベースのBtoB SaaS事業のデザイン組織」は社外から見て堅苦しい印象を持たれがちでした。実際はそうでなく、みんな誠実で柔らかく、デザインへの熱量が高い人たちばかりです。そのギャップを解消したいと考えました。
2つ目は、メンバーの人柄をいかにリアルに伝えるか。DESIGN BASEのWebサイトをつくる際、チームメンバーに「転職時に企業のどんな情報を求めていましたか?」というアンケートを取りました。その結果、「一緒に働く人がどんな人かを知りたかった」という声が圧倒的多数でした。そこで、写真を使って人柄を伝えようと思いました。
DESIGN BASEのメンバーは、以前からnoteでさまざまな発信をしてきましたが、人柄までは伝え切れていませんでした。そこで、記事を通して人柄を見せるのではなく、視覚的に第一印象を形成することでいかにメンバーの姿を表現するかを検討しました。
写真撮影にあたり、当初は「社内でカメラを借りてきて撮影しよう」「スマホで撮ろう」「恥ずかしいから写真は小さく使おう」といった声もありました。ですが、達成したい目的を考えて、フォトディレクションに強みのあるメンバーを中心に巻き込み、プロのフォトグラファーに依頼して、スタジオも借りて、写真はWebサイトで大きく使うといったように方向転換していきました。
写真撮影を通してメンバー同士のコミュニケーションが生まれた
撮影のコンセプトは「人柄が素直に出た、飾らない自然体」。実際の撮影は、上図のようにセットを組んで、ライティングして撮っています。
撮影を通して、アウター向けとインナー向け、2つの効果が得られました。
アウター向けとしては、インハウスデザイン組織として独自性のあるテーマ写真ができあがったと考えています。かつ、人柄を感じさせる雰囲気を醸成できたことが大きかったですね。
インナー向けには、コミュニケーションが増えました。撮影中は当然ながら、撮影前に社内チャットで「わくわくする」「美容院を予約した」といった投稿が見られたり、撮影後はデザイン組織内はもちろん、他部署からも反響がありました。
そして、一番大きかったのはチームの一体感の醸成です。普段リモートワークで働いている中で、初めてメンバーが一堂に会するという体験ができました。
学びとなったのは、企業視点と部署視点の両方を持つことが大事だという点です。デザイン組織としてカジュアルさを出していこうというアイディアもありましたが、外から見たらデザイン組織である前に、ユーザベースという企業として見られるわけです。
部署内だけのミクロな視点にならないよう注意して、そのうえで、デザイン組織で掲げているビジョン「DESIGN FORWARD」を体現しようと決めました。あくまでも自然体で、DESIGN FORWARDの雰囲気をまとっているように見せようと、ビジョンを起点にイメージを膨らませていきました。
最後に、その場を楽しむことを大切にしました。ふだんリモートワークをしているので、みんなで集まって撮影するという非常に濃い接点を大事にすることで、充実した体験になりました。
言語化と視覚イメージを行き来してフォトディレクションする
平野:リモートワークで働くメンバーが初めて全員集まったのが撮影の日でしたね。象徴的な日だったし、チームアップには集合写真が非常に有効だということを学ばせてもらいました。この写真撮影で一番ハードだったのはどの部分でしたか?
伊藤:写真の見せ方、バランス感ですね。デザイン組織の雰囲気としてあまりカッチリしすぎてもいけないし、かといってユーザベースという会社として崩しすぎてもいけない。絶妙なラインを探るのが難しかったですね。
平野:特にフォトディレクションになると、言語化できない難しさがありますね。そうした感覚値による雰囲気を、メンバーとどう共有していったのでしょうか。
伊藤:自分の場合、まず言語化することを意識しました。一旦言語で伝えて、そのあとで補足のイメージ画像、参考画像で補強するようなイメージです。今回の例で言うと、「自然体だがある程度の誠実さはある」という、曖昧ではありつつも言葉で伝えて、それを補強するイメージを提示する。そこを行ったり来たりして、仕上げていく感じですね。
ユーザベースでは1人ひとりのWILLを大事するカルチャーがあるので、まずはその人の素直な雰囲気や表情、動きを大切にしたいと思いました。あまり誇張はしたくありませんでしたね。
組織ブランディングはメンバーにいかに「自分ごと」として取り組んでもらうかがカギ
平野:3人がそれぞれ組織ブランディングをしてみて、あらためて何が一番難しかったのか、何が障壁となったか教えてください。
伊藤:組織ブランディングをするには、ほかのメンバーをどう巻き込んでいくかが大事だと考えています。とは言っても、みなさん本業がメインですので、お願いがしにくかったり、誘いにくかったりしますよね。どの段階で声をかけようかというのは悩みどころでした。
そこで躊躇しすぎるのではなく、ほどよく巻き込んで、ほかのメンバーにも自分ごと化してもらうことが大事かなと。
石丸:前職で組織ブランディングに携わったときには、ロゴの使い方や色合いが決まりきったうえでデザインをしていました。今回は立ち上げから参画したので、決まっているのはロゴのみ。色も決まっていない状態だったので、何をよりどころにグッズをつくっていくか、悩みましたね。いまはそれを含めて楽しもうと思っていて、「自分たちでつくっていく」という意識で取り組んでいます。
藤原:ユーザベースという企業の中のいち組織であることのトンマナを持ちつつ、でも新しいものをつくらなければいけない。かつ、DESIGN BASEのメンバーに「かっこいい」と思ってもらえるものをつくらなければいけないというのはプレッシャーでしたね。
みんなデザイナーなので美的意識も高いですし、こだわりもある。そんな人たちに認められるものをアウトプットしていかなければならないプレッシャーは常に感じていました。メンバーに好意的に受け止めてほしいし、愛着を持ってもらえるものをつくりたい。自分のセンスと技量と、プレッシャーとの戦いでしたね。
平野:こうしたプロジェクトでは、ある意味周りのデザイナーが「お客様」でもあるから、向き合い方が大事だということがよく理解できました。ありがとうございました。
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