資料作成ガイドラインをセールスメンバーに使ってもらって、膨大な営業資料のデザイン刷新してもらった話
こんにちは、株式会社ユーザベースでデザイナーをしている板坂です。2024年7月1日にリブランディングした「スピーダ」の裏側をデザイナー視点で紹介するnoteの第5弾になります。
今回のリブランディングに関する記事を毎週更新しているので、他の記事も読んでみてくださいね!
今回は異なるブランドで展開されてきた複数のプロダクトを1つのブランドにまとめるに当たって、どのようにスライド資料のデザインを統一したのかという話になります。
主に企業に勤めるデザイナーの方々には共感してもらえる話なのかなと思います。どの企業にいても資料制作からは逃れられないですよね。その気持ちわかります。
当時の状況
何を作る必要があるのか
リブランディングをするので過去に作成された下記のスライド資料のデザイン刷新が必要です。
新規で以下も制作する必要があります。
プロダクト別に異なるデザインのスライド資料
以前に制作している資料は第一弾の記事でも記載があるように、「SPEEDA」「FORCAS」「INITIAL」それぞれ異なるデザインの資料が存在しています。
資料作成ガイドラインの存在
各プロダクト毎に資料作成ガイドラインというものが存在していて、文字サイズや使用書体、フォーマット等が記載されているものになります。こちらを参考にして各プロダクト担当のメンバーが資料を作っています。
どのような状態がゴールと言えるか
1. 異なるデザインの資料が「スピーダ」の資料に統一されている状態
リブランディングが発表されているにもかかわらず、以前のデザインを使用しているのはよくない状態です。
2. デザイナー以外の人たちが「スピーダ」の資料を作成できる状態
自分だけが「スピーダ」の資料が作れるようになっても意味がないのです…皆が作れるようにならないとスピード感がなくなってしまいます。
進め方
状況とゴールが把握できたら、どのようにゴールに向かっていくかのプロセスを考えていきます。
リブランディングお知らせ資料を制作(限定的に配布する資料なのでプロトタイプとする)
①を基に営業資料を制作
②を基に資料作成ガイドラインを制作して、セールスメンバーにその他資料の刷新のお願いを伝える
最後に資料作成ガイドラインを基にサービス概要資料を制作
長い道のりですが、コツコツやっていきます。
リブランディングお知らせ資料
まずはこちらを作成していきます。
原稿はマーケティングチームのメンバーが作ってくれているので、それをベースに作成するのですが、デザインの装飾的な部分はまだ何も決めていないので探っていきます。
リサーチ
社内外の資料を収集しつつ、某大型書店にいったのですが、かなりの数の資料スライド作成本が棚に並んでおりびっくりしました。割と立ち読みしてる人もいて棚が賑わっていました。
個人的に「寝てても作れる!商談がうまくいきすぎてビックリしちゃう資料デザインの作り方」みたいな本が欲しいと思ってましたがそんな本あるわけがなかったですね。悔しい!
冗談はさておき、こちらはデザインにフォーカスされている本だったので参考になりそうと思い購入。
決算資料等がメインなので、今回自分が作るものとは異なりますが、様々な企業で働くデザイナーがどのような要素を資料に使うことでブランドイメージを保っているのか参考になりました。
社内外の様々な資料をFigjamにペタペタ貼りながら、参考にできそうなところを探っていきます。
同時並行でスピーダのアイデンティティをめぐる議論も進んでいたので、横目で気にしつつ、クリエイティブ全般のDo / Don’tも定例ミーティングで話したりしていました。
なんとなく「スピーダ」ってこんな感じだよね〜をチームの皆で共有できていたような気がします。
実際に作っていく
デザインの試行錯誤はごちゃごちゃしているのでので省きますが、
どの制作ツールを使うか判断に迷いました。
Indesignで作る
Googleスライドで作る
やはりAdobe製品で作った方が綺麗な資料が作れるのでデザイナーとしてはAdobeを推したいのですが、Googleスライドだと内容の調整が急に入った場合に誰でも修正ができるメリットや、他の資料にページ単位で追加することも簡単にできるとの意見もありました。
悩みます。
・・・・・早送り・・・・・
完成しました。悩んだ末にGoogleスライドで作っています。
営業資料
先に作成したリブランディングお知らせ資料をベースに制作していきます。
各プロダクトごとに営業資料はあるのですが、資料作成ガイドラインを作ることが目的でもあるので、先ず2つの資料を調整することにしました。
・・・・・早送り・・・・・
完成しました。
その他セールスの方々が作った資料(資料作成ガイドラインの制作)
営業資料以外の細々したスライド資料は膨大な量になり1人で調整することは難しいので、作成した営業資料をもとに資料作成ガイドラインを作成して、各チームメンバーに調整をお願いしていきます。
このガイドラインは資料作成に使う書体・サイズ・レイアウト割等がまとめてある資料になっていて、自分が作業しなくても皆でブランドらしい資料が作れるのです。
上記のガイドラインを参考にしつつ、
資料作成ガイドラインを作成したことのある、別部署のデザイナーの方に意識した点をヒアリングします。
そこでいただいた一言。
ありがとうございます。まったくもってその通りですね、実際使う人の意見は大事にしたいです。
セールスの方々にヒアリングし、以下の内容を聞いていきます。
ヒアリングの結果、主に得られた気づきは以下です。
作ったガイドラインが使われてないのは衝撃でしたが泣
頂いた意見にしっかり向き合って制作を続けていきます。
・・・・・早送り・・・・・
完成しました。
意識した点
資料ガイドライン自体もコピペで使えるようにして、より使いやすく
イラスト、吹き出し、矢印等の要素や、各プロダクトのロゴもコピペできるように用意しておく
他の営業資料にもアクセスを容易にして、参考になるスライドをコピペしやすくする
フォント指定、サイズ、行間等々も内容には入っているのですが、そちらは最小限にしてとにかくコピペで使えるガイドラインを目指しました。
なるべく便利に使ってもらえるように、社内展開するときにTipsも添えたりしていました。
ウェブサイトからダウンロードできるサービス概要資料
最後にこちらを作成していきます。
先ほど作成したガイドラインを基に作成するのみです!
・・・・・早送り・・・・・
完成しました。
資料はスピーダのウェブサイトからダウンロードできます。
これにて資料のリブランディングが完了しました。
最後に
振り返ると、いい判断だったと思うことが2つありました。
・制作ツールにGoogleスライドを選んだこと
Googleスライドが不慣れなことも手伝って、Adobeを使って綺麗な資料を作りたいというデザイナーとしてのエゴと戦っていました。何かしら理由をつけて、どうしてもAdobeでやりたいと話を通せば進めることはできたはずです。
ただ、今後資料を調整していく中でリソースの問題や、セールスの方々が資料を扱いやすくなることで生まれるスピード感、事業成長につながるのはどちらかを考えると多くの人が編集できるGoogleスライドがベストな選択だったと思います。
(エゴは悪いわけでないのですが、使い所を考える必要がありました)
・コピペで使える資料作成ガイドラインにこだわったこと
ガイドラインのマニュアル的な美しさは現段階では必要なく、簡単に資料作りができるためにはどうするかと考えた時にコピペ形式のガイドラインにたどり着きました。ガイドライン公開後、メンバーから使いやすいとの声をもらっています。
ひとまず完成はしましたが、メンバーの皆のフィードバックを聞いて今後も改善していく予定です。使いやすいガイドラインを目指していきます!
自分の判断や、制作物は1つの事例に過ぎないですが、この記事を読まれているどなたかの参考や発見になれば嬉しいです。
スピーダのリブランディングの裏側はまだまだ続きますので、次回もお楽しみに!!