コンビニ観察。〈ファミリーマートRN編〉
みなさまごきげんよう、デザイナーのうらうらです。
2022年もどうぞよろしくお願いいたします。
年末年始、家の近くにあるファミリーマートをちょくちょく利用していました。ファミリーマートのプライベートブランド(以下PB)がリニューアルされたことはニュースで知っていましたが、実店舗で入れ替わりの途中を目撃し、新旧デザインを見比べることができたのでリポートしたいと思います。
ファミリーマート観察。
去年10月、ファミリーマートは「お母さん食堂」と「ファミリーマートコレクション」を統合し、“家族に安心してすすめられる”「ファミリークオリティー」というコンセプトのもと、「ファミマル」ブランドとしてリニューアルすることを発表しました。
出典:新プライベートブランド「ファミマル」|ファミリーマート
ファミマル、ネーミングは若干犬みたいな名前ですが呼びやすく、親しみやすいし、呼称「ファミマ」にルをつけただけ(本当の由来はブランドのキーワードである「おいしい◎うれしい◎あんしん◎」の“マル”と“ファミマ”をくっつけたもの)だし、ブランドのマークはファミマのブランドカラーを使用しているので、ファミマのPBだと分かりやすくなりました。
業界のリーダーとなっているセブンイレブンでは「セブンプレミアム」、ローソンでは2年前のリニューアルで話題になった雑貨的な見え方が印象的な「ローソンオリジナル」がPB展開されています。それぞれがそれぞれのブランド戦略によって全く違うデザインを展開していますが、ファミマはリーダーを追う形でどちらかというとセブンに近い、商品名+大きなシズル写真というデザインになっており、消費者はより安心感を感じて買うことができそうです。
実際に買って見比べてみました
ファミマルブランド商品の第一印象は、「情報が明確に整理され分かりやすくなり、それが安心感につながっている」。まず目についたのは、パッケージに配置されているアイコン。産地や製法、リサイクルについてまで表記されており、消費者の産地や環境への関心の高さと、それが根付いたことを強く感じました。商品棚での見え方と、パッケージにクローズアップして見ていきます。
商品棚での見せ方
ファミマの店舗では、冷凍食品を並べるための扉がついたリーチイン型の冷凍庫が置かれています。たくさんの商品を並べるために棚は何段にも分かれていて、大人の目線から見て下の段に並ぶ商品ほでパッケージの見える面積は少なくなります。この時旧パッケージでは、シズル写真は見えても商品名が見づらくなっていました。新パッケージでは商品名が下になり、分かりやすい。冷凍食品は買いたいものが決まっていることの方が多いので、目当ての商品名が見えた方が効果的です。
スナック菓子では商品名が上になっています。スーパーとは違って棚割も自由自在であることを生かして、棚に合わせて商品名の位置を調節しています。また、シズル写真が見えやすくなっていることにより、スナック菓子特有のいわゆる衝動買い的な買い方をしやすくなっています。
そして、素晴らしいなと思ったのは、リニューアルに伴って、旧パッケージの商品が古く見えてしまう問題も、レイアウトが大幅に変わったにも関わらずそれほど感じなかったことです。新パッケージの方が鮮やかにも見えますが、色を合わせることでうまく馴染むようになっています。
パッケージの見せ方
まず、シズル写真が斜俯瞰から俯瞰に変わっています。旧パッケージの方が背景の小物も商品のトーンに合わせてこだわっていて、美味しそうに見えます。家庭でこんなおいしそうな担々麺が食べられたらいいな、と思わず手が伸びます。それに対して新パッケージは箸あげされたのみのシンプルで整然としたイメージを受けます。「デザイナーもカメラマン。の巻」で紹介した、お箸でつかんで形状や質感を表現する方法が使われていますね。
コンビニへ来店する消費者は商品を吟味する時間が短いため、丸く切り抜いた俯瞰写真に統一することで、情報を絞り込んで伝えることに注力しています。
パッケージに使用するフォントも、お母さん食堂では情緒的な明朝系でしたが、やさしさ、美味しさ感を担保しつつ視認性の高い書体になっており、お皿、文字、中央のマークもファミマルの“マル”が意識されています。
リニューアルで大切なこと
企業の思想を確実に消費者に伝えるには、企業の思想(理念)・ブランドのコンセプト・商品のコンセプトが一貫していることが必要です。今回のファミマの例は、ブランドの部分にあった“お母さん”という存在を軌道修正し、キャッチーなネーミングとともに「企業に関わるみんなが家族のようにつながって、地域の家族のような存在になりたい」というファミリーマートの経営理念の核が、そのまま真っ直ぐに消費者に届くようにリニューアルされていました。
中身をわかりやすく伝えるだけでなく、パッケージデザインは直接消費者の手に取られる分、企業のイメージさえも左右するブランドの一部なんですね。
私たちUNIは単にものや外観をデザインするのではなく、製品の中核をとらえ末永く愛される “世界観とオーラを持った新しいスター”に育てあげるお手伝いをしています。ブランドや商品パッケージのリニューアルをしたい企業様、デザイン部の方、ぜひご依頼ください。
ではまた!
パッケージデザイン会社|株式会社デザインオフィス・ユニURL:https://douni.co.jp