すみこ的展覧会レポ#06ワールドクラスルーム展@森美術館
■基本情報
・世界中のアーティストによる現代アート作品を学校で習う教科に分類し、「世界の教室」として新しい視点を発見する試みです。
・規模…映像作品も多く、かなりのボリュームがあります。作品約150点と見応えあり!「最後まで見る体力がない…」なんて口コミもチラホラ。じっくり見ると3-4時間はかかります。
・構成や流れ…8つの教科にセクションが分けられています。音楽・体育は映像のみでした。
■周りの様子
・人が集まっている作品
<ペーター・フィッシュリ & ダヴィッド・ヴァイス>
《事の次第/THE WAY THINGS GO》
巨大なピタゴラスイッチのような映像作品です。
次は何が起こるんだろう?と気になってついつい見入ってしまいます。
次々と物事が連鎖していく面白い装置、アメリカの漫画家ルーブ・ゴールドバーグが考案したものが所謂「ピタゴラスイッチ」の原型だそうです。
■所感・考えたこと
・一番気になった作品
□スーザン・ヒラー「Lost and Found」
世界の絶滅に瀕した言語を現地の話者が語る作品です。画面に映るのは、本来は人間の耳に聞こえない音の再現に用いるオシロスコープという波形のみ。
マジョリティ言語が小さな言葉を抑圧していること、消え去る言語があることすら私たちには見えて(聞こえて)いないのでは、という痛烈な批判も見えてきます。
言語は人々にとってアイデンティティでもあるのだと思います。言語と文化は分かち難く、結びついているのです。
たくさんのアイデンティティが失われつつあるという現状、こうして作品という形で記録すること自体にも大きな価値があると思いました。
□瀬戸桃子「プラネットΣ」
圧倒的映像美、の一言に尽きます。
スロー再生やマクロ撮影を通して、小さな世界を大きなスケール感で描きます。
特にドライアイスのような煙が弾ける瞬間、蜂が飛び回る風景など目を見張るものがありました。
□ユ・チェンタ「形容詞ダンス」
画面に映し出される形容詞を、ダンサーが解釈してダンスとして表現します。
見る人の価値観や文化的背景によって納得度が異なるのが面白いと思いました。
言葉の意味合いも辞書での定義と違って、人によって受け止め方も違うのですね。
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圧倒的ボリュームの本展、作品のパワーを受け止めるのにも体力が要るものですね。
世界中のアーティスト先生にまたひとつ、凝り固まった価値観をひっくり返してもらった気がします。