L/R/M/B、W1/W2/W3… いろいろな太さ記号
フォントざっくり解説⑪
フォントに興味はあるけれど細かい事が不安で何となく購入に至ってない方、仕事で入手する必要ができてしまったけどイマイチ選び方に自信がない方のための、ざっくり解説。
厳密すぎる説明で途方に暮れてしまわないよう、選ぶ・買うのに必要な知識を、ほどほどに端折りながら解説します。
※2024年8月時点の情報です。
経験上すでに馴染みのある方も多いと思いますが、○○明朝B、○○ゴシックLなどフォント名の最後についた1~2文字の記号は、大抵の場合「ウェイト」つまり文字の太さを表しています。ここでは、最近よく使われるW~表記との関係など、ウェイト記号についてご紹介します。
まずは分かりやすいほうから、W1~W9について
市販されている書体の中には、基本的なデザイン骨格は同一でありながら「太さ違い」の概念を持つものも多く存在します。
フォント製品では、このようなシリーズの太さ違いをフォント名末尾の記号で表す習慣があり、主に最近のOpenType製品においては国内の多数のメーカーが「W1/W2/W3…/W9」の記号を用いるようになりました。
例えば、最近になってさらに細い「W0」ウェイトまで追加されたヒラギノフォントの角ゴシック体 W0~W9 を並べると以下のようになります。
上に挙げた角ゴシック体の他にも、明朝体や丸ゴシック体など主に本文用途の書体において、このような太さ違いの製品が多く商品化されています。
なお、W1・W2…のWは、フォントの「太さ」に相当する用語「Weight:ウェイト (重さ)」の頭文字をとったものです。
かつてよく用いられた L・R・M…方式の太さ表記
前述の「ヒラギノ角ゴシック」のように、太さが増すにつれて W1, W2, …と数字を増やす表記は、近年の日本語フォント製品でしばしば見られるようになってきた方式です。
一方、長く伝統的に用いられ、現在でも主流となっている方式として、「L (Light)・M (Medium)・B (Bold)」など太さ・重さを連想させる英単語を用いた表記があります。さらに、例えば「細楷書体」「中ゴシック体」「太教科書体」といったように、L・M・B などに対応する和名を組み合わせた製品もあります。
これらのウェイト表記は、一般的な慣例としては以下のようにまとめることができます。
実は上記の表のうち、「Semi light」「Semi bold」という表記は、ISO表記にあるものの実際のフォント製品ではほとんど馴染みがありません。
それぞれ「Regular」や「Demi bold」という名称のほうがはるかに多く用いられています。
ウェイト表記は各メーカーやフォント制作者の意図に基づいて任意に命名されています。そのため、上記の表記・階層・上下関係が当てはまらない製品も数多く存在します。
W0とかW12、WじゃなくてL2・B2なんてのもあるけど…?
これまで説明した太さ記号はあくまでメーカーの命名する書体名・製品名の一部であり、厳密な統一規格や基準がある訳ではありません。
例えば最初に例に挙げたヒラギノ角ゴシリーズには最近になってW0という超極細製品も登場しましたし、ダイナフォントでは太いほうのウェイト記号はW14まで存在しています。
なお、旧リョービのフォント (現在タイプバンクから販売) では、「Ro本明朝Std-B2」のように書体名の最後にL2・B2・M2・E2という記号がついているものがあります。これは、過去に販売されていた「本明朝Bの後継版」というような意味で2を付け足したものです。2という数字自体に太さの意味合いはありません。
【メイン画像使用フォント】
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