ProNとかStdNのNとは?
フォントざっくり解説⑩
フォントに興味はあるけれど細かい事が不安で何となく購入に至ってない方、仕事で入手する必要ができてしまったけどイマイチ選び方に自信がない方のための、ざっくり解説。
厳密すぎる説明で途方に暮れてしまわないよう、選ぶ・買うのに必要な知識を、ほどほどに端折りながら解説します。
※2016年11月時点の情報です。
ProとProN。StdとStdN。同じ名前と思っていたのに、よく見るとNがついているのとついていない2種類がある…。OS Xに標準で入っているProフォントとProNフォント、違いを意識せず何となく使い分けていた方も、是非こちらの記事をチェックしてください。
NがつけばJIS2004字形 ── いくつかの漢字が旧字風デザインに
細かい経緯を説明すると長くなるので、まずは下の画像をご覧ください。
どれもこれもごく一般的なJIS第1水準の漢字ですが、よく見ると
Std・Proなど、Nのつかないフォントでは略字風の「JIS90字形」で
StdN・ProNなど、Nつきのフォントでは旧字風の「JIS2004字形」で
それぞれ表示されています。
このように、微妙に字形が変わる (可能性のある) 漢字が全部で168字あり、これが、NつきフォントとNなしフォントの違いです。
StdやProなどの後にNをつけることでJIS2004字形のフォントであることを表すこの方式は、大手フォントメーカーの販売するOpenTypeでは半ば慣例となっています。
※あくまで慣例のため、必ずしも名前だけでJIS2004フォントなのかどうか区別できるとは限りません。その代表例が最近のWindowsの標準フォントです。Vistaが登場した際、従来と同じ「MSゴシック・MS明朝」という名前のままで字形が変更され、混乱を起こしました。
今後はNつきフォントの字形が主流になる見込み
Windows Vista以降の標準フォントであるMSゴシックやメイリオは、名前では区別がつかないものの、ここで紹介したNつきフォントと同じJIS2004字形のフォントです。
Macの場合も、OS X v10.5以降はNつき、つまりJIS2004字形の「ヒラギノ角ゴ ProN」がOSに搭載されるようになり、こちらが標準として使われるように改められています。
書籍やWeb記事など読み物に使われるような明朝体や角ゴシック体、丸ゴシック体の本文系フォントは、すでにJIS2004字形のものが市場に出そろい、主流になってきています。2016年現在では、テレビの画面に表示されるテロップなどもJIS2004字形のものが増えてきました。
一方、字形差にそれほど敏感にならないで済むデザイン書体やデザイン系の毛筆書体などに関しては、JIS2004字形のものはまだ多くありません。
デザイン書体やデザイン系の毛筆書体の場合、大手企業以外のメーカーや個人デザイナーが手がけるものが多く、JIS2004字形への入れ替わりはゆっくりとしたペースになりそうです。
【メイン画像使用フォント】
ロゴ:パンダベーカリー、DSきりぎりす
タイトル:パンダベーカリー、DSきりぎりす、DSあかり