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僕をフォント沼にはまらせた犯人

note投稿一発目の記事が「フォント」というのもどうかなと思ったりしたのですがまずは書きたいことを書いてみよう…ということで。

僕がフォントに目覚めたのは中学生のころ。windows"XP"が最新OSで(隔世の感を禁じ得ない)、期末テストで上位の成績を取ることを条件に親に頼み込んで(拝み倒して)買ってもらった「FMV-BIBLO」の14.1型が最新にして最高のおもちゃだったころ・・・同じくPCを手に入れた友人たちが「フラッシュ倉庫」とか「2ch」とか「MSNメッセンジャー」とかの話題で盛り上がっている中、僕は"ワード"と"パワポ"に夢中だった。

「学級通信」「行事予定」など毎月発行される刷り物が、『ジャンプ』『マガジン』『サンデー』よりも待ち遠しかった。学校の先生が作るそれは、タイトルが「ワードアート」で装飾され、ポップ体が多用され、今思えばセンスの欠片もない発行物のオンパレードだったと思うが(失礼!!)、そこに散りばめられた無数の"フォント情報"に心を躍らせていたのは間違いない。

ある時、期末テストの問題用紙を読みながら僕は違和感を覚えた。

「これはワードもしくは一太郎で作成していて、MS明朝を使っているはず。なのに、僕が家で印刷するときと雰囲気が違う…」

「テストに集中しろ!」「中学生なのに気味が悪い…」という至極まっとうなご指摘はさておき、ここでレーザープリンタに設定されている「内臓フォント」の存在を知ることになる。当時、学校で使われていたプリンタはCanonのレーザショット。「MSゴシック→平成ゴシック」「MS明朝→平成明朝」「Times New Roman→Dutch801」といった具合に置き換えられて印刷されていたわけだ。家で使っていたインクジェットプリンタとは比較にならないほど美しかった。(当時は、文字が滲んでレーザープリンタとは印刷の仕上がりが全く違った。)そして…なけなしの2万円で、中古のレーザーショットを購入した。【重い】【うるさい】【遅い】という三重苦の代物だったがそれでも当時の僕にとっては宝物だった。これを手に入れた頃から、なんちゃってDTPにもはまるようになった。ある時、趣味で作っていた"部活動通信"の中で、「ドロップキャップ(段落の先頭の文字を大きくする機能)」を使ってみたらそれだけで「センスがいい!」と褒められたりした。(なぜ"部活動通信"なんかを作っていたのか、どういう立場で発行していたのか、今となっては謎。)

ということで、僕をフォント沼にはまらせた、というか落とした犯人は「学校の印刷物」である。

その後、僕のフォント熱はとどまるところを知らず…印刷物からテレビのテロップへと興味関心の範囲が拡大し、フジテレビの情報番組を研究してニィスのJTCウィンと出会い、最終的にモリサワ、フォントワークスにたどり着いて今に至る。(この過程詳細はまた別の機会に。書くと長いので。)

仕事の中でも"ペーパーレス"が主流で文書を印刷すること自体が珍しくなったが、丁寧に作り込まれた印刷物を目にするとワクワクする感覚は今も同じ。(会社の資料はwindowsPCで作成されることが多いからか「メイリオ」だらけ。読みやすいけどフォントマニアから見るとちょっとつまらない気もする。)

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