ストレートアライの私が、調査・インタビューしてまとめた、セクシャリティーの現在(2022/3)。
こんにちは、アジサイです。
今日はnoteの投稿では初めて、デザイン以外のトピックを取り上げることにしました。
今回のテーマは「セクシャリティー 」です。その中でも特にセクシャルマイノリティーについて。
誤解のないように書くため、かなりのボリュームになりましたが、ビジュアライズしているので流し読みもしやすいかと思います。
ぜひ、一緒に考えて、これからの意思決定のヒントになればと思います。
はじめに
さて、なぜ当事者でもない私が、このテーマを取り上げようと思ったのか…?
いろんな理由はありますが、きちんと勉強しようと思ったきっかけは、小泉今日子さんがパーソナリティーを務める「ホントの小泉さん」というラジオの#11の回でした。
私にとってこの分野に対して理解を深めることは、
より、多くの人とコミュニケーションが取れることだと思っています。
当事者の方たちとできるだけフラットに話しをしたいという動機から、
この分野の理解を深めることにしました。
それでは本題に入ります。
セクシャリティー とは?
セクシャリティー とは何でしょうか。
セクシャリティー は人間の性に関わるすべての事柄であると言われています。
もともと、19世紀頃にヨーロッパで使われ始めた言葉といわれており、最初は「植物・動物の生態における有性生殖」といった性の事実のみをあらわす生物学上における言葉だったようです。 しかし、時代が進みさまざまな分野の発達により、その意味や内容が広義になってきたと考えられています。
セクシャリティー とジェンダー
セクシュアリティと似たような言葉にジェンダーという言葉があります。
…ジェンダーとは何でしょうか?
ジェンダーとは、男女の社会的な規範、性差を指します。
もっというと、それぞれ下記のようなイメージになります。
要約するとそれぞれ、下記のようになります。
そうはいうものの、セクシュアリティとジェンダーは、完全に別の概念ではなく、セクシュアリティがジェンダーやセックスなどの言葉を包括したものとして拘られることもありますし、相互関係しているみたいな捉えられ方もあります。
ただ、今回はいったん、セクシュアリティ=「人間の性のあり方」に焦点を当ててお話ししたいと思います。
セクシュアリティはどう決まる?
セクシュアリティを決める4要素
セクシュアリティを決める要素は、下記の4つと言われています。
それぞれどういう意味かというと、
1つ目の、"身体的な性"は文章の通り、生まれたときに何という性を授かったかという観点での性です。
2つ目の、"性自認"はその戸籍の性に対して自分がなんという性別であると認識しているかという意味での性です。男性もしくは女性、またはどちらでもないとか、選ばないという場合もあります。
3つ目の"性的指向"というのは、好きになる性別のことです。上記と同じように、男性もしくは女性、またはどちらも好きにならない・どちらも好きになるとか、選ばないという場合もあります。
4つ目は、"表現する性"は、わかりやすく見た目の話しです。フェミニンなファッション、ユニセックスなファッションなど、色々ありますよね。
性はバロメーターで表現できる
この4つの要素は下記の図のように、個人または体調や気分によってバロメーターのように表現することができます。
例えばこの人だったら、
1.身体の性:生まれたときの戸籍上の性は女性で
2.性自認:自分ではやや男性的な面もある女性だと認識していて
3.性的指向:好きになる性は女性で
4.表現する性:外見や言葉遣いなど表面的な性は、フェミニンなものからやや中性的なものまで
ということになります。
そういう性を持つ人のことを、シスジェンダーでレズビアンというように世間は呼んでいます。
さて、下記の図を見てみてください。
これは先ほどのバロメーターを全部真ん中にしたものです。
今日の皆さんは、それぞれのバロメーターがどのあたりに位置するのか、ちょっと心の中で考えてみてください。
性はグラデーション
上記のようにバロメーターで表すとき、身体的な(戸籍上の)性ははっきりしている場合が多いですが、意外とその他すべてのバロメーターがはっきりと端に振れる人の方の方が少ないんじゃないかと予想します。
また明日、1週間後、5年後に試してみたとき、同じ"自分"という人間でも、別の結果になることも少なくありません。
この"揺れ"のことを"性のグラデーション"と言って、同じ人間の中でも発生し、人が変わればグラデーションの振り幅が大きくなります。
セクシュアル・マイノリティとは?
セクシャルマイノリティーと呼ばれる性
さて、このようにセクシュアリティは十人十色ですが、社会の中では「これが普通・こうあるべき」と言われている性のあり方があります。
それとは異なる性のあり方をしている人は「セクシュアル・マイノリティ」と呼ばれることがあります。
それらを指す表現の1つにLGBTQ+があります。
LGBTQ+について知る
LGBTQ+はそれぞれ何の略でしょうか?
LGBTQ+は下の図の通り、「レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー・クィアまたはクエスチョニング、それ以外にも色々な性があるよ」という意味の略になります。
「レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー」についてどんな性を意味するのかについては、それぞれ下の図を参考にしていただいて間違えないと思います。
「クエスチョニング・クィア」に関してはいろんな表現があり、認識がずれていたら申し訳ないですが、私は「性に対して決まりを持たない、もしくは定まっていない人」ということで理解しています。
LGBTQ+の名称が持つ歴史的な意味
ここまでで、LGBTQ+が何なのかという定義付けの話しについては、大枠理解できたかと思うのですが、これらの名称ついて”歴史的の意味”を知るとより丁寧に言葉を扱えると思うので、今回は下記の2つについて紹介したいと思います。
1.LGBTQ+という並び順に詰まった連帯の歴史
みなさんは、なぜLGBTQ+がこの順番なのか、ということについて考えたことはありますか?
LGBTQ+はもともとGLという名称でした。ゲイ(男性)・レズビアン(女性)の順ですね。
しかし、ここで「この男性主義社会の中で、私たちですら男性を先頭にするのか?」という議論が、当事者の間で行われました。
その議論の末、LGという名称に変わり、その後BTQ+と続きました。
何気なく知っていたLGBTQ+という名前にもそんな試行錯誤があったということを覚えておくと、このトピックを話すときのヒントが見つかるかもしれません。
2.クィアという呼称にこもった意思
さて、冒頭でも簡単に触れたクィアという性ですが、この名称にもきちんとした歴史があります。
"クィア"という名前自体は、2018年に「クィアアイ」というNetflixのコンテンツが流行ったのでご存知の方が多いかもしれません。
この"クィア"という呼び名は、「奇妙な・風変わりな」という意味で、19世紀から20世紀初頭くらいは、日本でいう"オカマ"と同じように、蔑称として使われてきました。
しかしながら、1990年代になって当事者たちがプライドを持って「クィア」と名乗るようになり、徐々に浸透していき、今に至ります。
LGBTQ+について、知っておきたいこと
さて、ここまではLGBTQ+についての概念や歴史などについてお話ししてきました。
ここからはLGBTQ+について知っておきたい、知識について紹介したいと思います。
1.数字で見るLGBTQ+
セクシャルマイノリティーは、日本の人口の7.6%、人数で言うと900万人だと言われています。
(この7.6%という数字は調査によって幅があって、5%というものから13%というものまであります。)
7.6%というのはAB型と左利きと同数。
具体的には、約13人に1人がLGBTQ+であり、学校が40人クラスであれば約3人がセクシャルマイノリティーという確率になります。
さらに言えば、日本の六大苗字である佐藤、鈴木、高橋、田中、渡辺、伊藤を合わせた数よりも多いといわれています。
友達や家族に"AB型・左利き・六大苗字"の誰かはいるのではないでしょうか?
そう考えると、LGBTQの方は思っている以上に身近にいるということがわかると思います。
2.世界から見た日本の制度状況
皆様も普段のニュースを見ていて、ご存知かと思いますが、日本の制度状況はかなり遅れています。
例えば、同性婚あるいはパートナーシップ法などが認められていないのは問題視されている状況の1つで、G8の中でも日本とロシアのみとなりました。
一方、同性婚が承認されている国では同性愛者の自殺率が大幅に下がっていると言う調査結果があります。
▼参考
同性婚が認められたデンマークとスウェーデン、同性愛者の自死率が大幅に減少(研究結果)
研究者は「結婚していることは、自殺の予防となる」と発言しており、早急に法的な支援が進むことを当事者たちが望んでいることは言うまでも在りません。
ただし法律としての制度はないものの、地方自治体や企業の取り組みでは同姓パートナーを認める動きも出てきています。
また、問題視されている制度状況の1つに、戸籍変更の際「性別適合手術」を行わなければならないという状況があります。
健康な臓器を取り出し、望まない手術をすることが人権侵害にあたるとして、世界では手術要件を外す動きとなっているため、日本のこの状況は、世界で大きな批判と不審に晒されている制度です。
3.ALLYという存在について
みなさまはアライ(ally)という存在を知っていますか?
アライ(ally)とは「味方」を意味する単語で、そこから転じて「LGBTを理解・支援する人」を指します。
何か特別な資格などは必要なく、マイノリティに寄り添う気持ちさえあれば、誰でも名乗ることができます。
アライのできることとして、このようなことが考えられます。
など。
何気ないことですが、そのように気遣いから救われる心もあるはずです。
4.気をつけて欲しいアウティング
こういった記事を読むような方は、こういった行為をすることはないだろうと思うのですが、アウティングは命に関わるので絶対にやめましょう。
アウティングはゲイやレズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダー(LGBT / LGBTQ+)に対して、本人の了解を得ずに、他の人に公にしていない性的指向や性同一性等の秘密を暴露する行動のことを言います。
実際にそういう事件は多発しており、"不法行為"となっています。
まとめ
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
セクシャリティー はここまで話したようにグラデーションです。
そして、自分たちが思っている以上に当事者がそばにいることを日々忘れないようにしましょう。
だからと言って、マイノリティが権利を得るための選挙は多数決です。
当事者でない自分たちでも、果たして何ができるのか…?
当事者以外の人たちが、真剣に考え始めれば道は開けるはずです。
マイノリティが暮らしやすい社会は、私たちにとっても暮らしやすいはずなんです。
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