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#066:利益の大切さ
兵庫県神戸市を拠点に活動しております「まじわるデザイン」代表の戸田裕之です。
「ムダをなくしたいだけ」です。
今回は、別途ご紹介した、「お金のブロックパズル」の中身の解説をします。
事業の目的を端的に表現する数字として「利益」があります。
利益というと、いろいろな把握方法があり、さらに、IFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)の導入で定義が変わってきているので、わかりにくくなっています。
そのあたりは、税務会計の専門家の方にお任せするとして、この記事では、この程度知っていれば事業のことがわかるようになるということを書きます。
なお、この考え方は、大きい会社でも小さい会社でも個人事業でもNPOのような株式会社以外の法人でも、ほぼ同じです。
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左側は、お金のブロックパズル本体です。結果として生まれるのが、中央下にある「営業利益」です。
金融機関からの借入金がある場合は、この「営業利益」から、利息を支払う必要があります。また、本業以外で収入や費用発生があった場合は、「営業利益」に対して足したり引いたりします。例えば、製造業が本業の事業で、家賃の収入があった場合はここで足します。
また、普通でない収入や費用があった場合もここに入れます。複数の年で事業の状況がどう変わっているかを知るためには、普通でない要因を本体部分に入れたくないためです。
それらをすべておりこんだものが、①の「税引前当期純利益」になります。
次に、➀の金額などをもとにして決まる法人税等の税金を支払うことになります。その結果が、②の「当期純利益」になります。
資産を購入した際には、会計処理上は、購入時点で全額の費用を計上するのではなく、分割払いのようなイメージで損益計算書におりこんでいきます。このことを「減価償却」といいます。
この部分は引き算されて営業利益が算出されており、実際にはそのときに出て行っているお金ではありません。そこで、使えるお金を出すために、「当期純利益」に「減価償却費」を足します。
それが③の「使えるお金」です。これのことを「キャッシュフロー」と呼ぶこともあります。
この「使えるお金」から、まずは、借入金を返済します。「ここで返済するんだ」ということを知ったのは、開業直前にキャッシュフローコーチ養成塾でこの図を説明を聞いたときでした。それまで、30年以上会社勤めしていて、事業運営に関わったりしていたのですが、大きめの会社の場合、財務の専門部署や会社全体の経営に関わっていないと、借入金のことを意識することがありません。
この「使えるお金」から、設備投資をしたり、配当を支払ったりします。株式市場から資金調達をしている場合は、配当を支払わないと株式を手放されてしまいますので、返済不要の事業資金が目減りしたり、最悪は、事業の所有権を失うことにもつながります。
そこまでを支払った上で残るお金が④「内部留保」です。なにかあったときの備えとして使えるお金をもっておくことで、安心して事業の運営ができます。
「日本の企業は内部留保が多い。」と否定的なとらえられ方をすることがあります。しかし、ブロックパズルを見るとわかるように、余裕は「内部留保」以外にはないので、適切な額をもっておくことが必要です。
事業に関わる全ての方が、共通言語としてこの程度のことを知っていて、おおよその数字を把握していたら、日々の行動が変わってきます。
中小企業さんの多くは、さまざまな要因でこういう情報を社内に公開していません。もったいないことです。たとえば比率にするなど、工夫をすれば懸念事項を解消できるはずです。
さまざまなお手伝いの経験や表現方法などの知識を生かして、それぞれの事業の事情に合わせた共通言語づくりをお手伝いいたします。
写真は、新幹線車内からとってもきれいにとれた富士山と富士川。新幹線で関東に行くときは毎回挑戦していて、たまにこういうヒット作が生まれます。
===誰一人取り残さない===