利休、京都まで。
〇登場人物。
利:千利休。信長の友達。
信:織田信長。利休を可愛がっている。光秀を振り回す。
光:明智光秀。利休と信長に振り回される哀れな男。
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利:あー信ちゃんに呼ばれて、利休、京都まで来ちゃった!今日は楽しい茶会がある!利休張り切っちゃうぞぉ!!
信:おー、利休ちゃん!元気してたぁ?
利:あらー、信ちゃん!!元気よ、元気!!信ちゃんも元気そうね?良かったぁ~!!
信:利休ちゃんとティーパーティーするの楽しみで夜眠れなかったぁ!!
光:……何この女子会みたいな空気感は……。光秀、馴染めない。
信:みっちゃん!!
光:みっちゃん!?
信:利休ちゃん、紹介するわね?この子、明智光秀って言うの!気軽に”みっちゃん”って呼んであげて!!
利:みっちゃんねぇ~……んー、まぁ、よろしくしてあげないこともないわよ!
光:上から!?
利:今日はぁ、仲良しになる為にぃ、利休頑張ってお茶、点(た)てちゃう!!
信:利休ちゃんが点てるティーは、マジで侘び!そんでもって寂び!!
光:……はぁ、そうなんですか。
信:みっちゃんも畏(かしこ)まらないで!気楽に楽しみましょ!
ほら、”光秀、頑張っちゃう!”って言いな?
光:言いません。
信:首刎(は)ねる?
光:(やけくそに)光秀、頑張っちゃう!!
利:やれば出来るじゃなぁい!!素敵よ!
光:(やけくそに)ありがとうございます!!
信:みっちゃんも馴染んだことだし……ティーパーティーしましょっ!!
利:OKー!!
【間】
利:(真剣に)では、ただ今より……お茶を点てさせて頂きます。
今日は初めての明智光秀様がいらっしゃるので……一から説明させて頂きます。
少々長くなりますが、お付き合い下さいませ。
信:(真剣に)うむ。利休、頼んだ。
光:何この変わりよう、光秀怖い。
利:右手で茶杓(ちゃしゃく)を取り、左手で棗(なつめ)を取ります。
茶杓を右手に握り込んで、棗の蓋を取り、蓋を茶碗の右真横に置きます。
茶杓を持ち直して、棗の抹茶を、向こうから茶杓で一杓半すくい、茶碗に入れます。
茶碗の中の茶をよくかきならし、茶碗の縁で茶杓を軽くはらい、櫂先(かいさき)についた茶を払います。
茶杓を握り込んで、棗の蓋を閉め、棗を元の位置に戻し、茶杓を棗の上に置きます。
湯を茶碗に入れます。
右手で茶筅(ちゃせん)を取り、左手を茶碗に添えて、茶筅はゆるやかに、手首だけでなく腕全体を動かすように、お茶を点てます。
お茶が点ったら、茶筅を引き上げ、元の位置に戻します。
適度に泡立て、泡の無い部分が半月状に残るようにします。
信:利休の茶筅さばき……やはり美しいな。
利:恐れ入ります、信長様。さぁ、お茶が点てました、どうぞ。
信:頂きます。
SE:ゴクリ。
信:……結構なお点前で。
利:……恐れ入ります。
光:……この人たち、本当にさっきの人たち?
利:私語は謹んで下さいませ。……侘び寂びを感じて下さい。
光:……すみません。(小声で)何か怒られたし。
利:何か仰(おっしゃ)られました?
光:いえいえ、何でも無いです。(小声)茶点てる利休ちゃん超こえー。
【間】
SE:雲雀の囀り。
利:あー、疲れちゃったわぁ……。利休、京都観光したい~!!
信:足痺れちゃったわぁ。でも、利休ちゃんが点てるティーは本当にまいうー!!
光:(冷静に)あ、さっきの人たちだ。何か安心したわ。
利:信ちゃん!一緒に京都観光しよ!!
信:良いわよ~!!
光:こうして、オネェ……ごほん、改め、信長様と利休様は京都を観光し、楽しんだのだった。私はというと……あの二人の豹変ぶりについて行けず、一緒には周らなかった。
【間】
利:みっちゃん、お土産~!!
光:え!貰って良いんですか!?
利:もちのろんよ!
光:(冷静に)……何これ。
利:信ちゃんが使った爪楊枝!……信ちゃんったら歯にネギ詰まらせるんだもん!
信:みっちゃん、受け取って?信長のこと好きでしょ?
光:(壊れたように)そうだ、謀反をしよう!!