青色に溺れる。
冬彦:夏女(なつおんな)LOVEの男性。冬生まれ。
夏:夏女と呼ばれる女性。夏生まれ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
冬彦:なぁ、冬って付いた名前の奴がさ、夏に恋するってどう思う?
夏:へ?
冬彦:夏女、お前のこと、俺……好きだ。
夏:え?
夏:それは、まだ始まったばかりの……私たちの恋物語。
(SE:踏切の音)
冬彦:おーい、夏女。
冬彦:(小さな声で)……こっち見ろよ、馬鹿女。
夏:誰かに呼ばれた気がしたけど……気のせいかな?
冬彦:(大きな声で)な・つ・お・ん・な!!
夏:ひぇ?!冬彦!?
冬彦:こっち見ろ、バーカ。
夏:馬鹿とは何よ、馬鹿とは!!
冬彦:お前、鈍すぎなんだよ、夏女。
夏:何よ、その「なつおんな」って。
冬彦:お前、名前の通り……夏が似合うよな。
冬彦:だから愛称も込めて「夏女」だ。
夏:あ、ありがとう?
冬彦:本当に青い空がよく似合う。
夏:何よ……変なの。
冬彦:今日、仕事終わったら、カフェ行こうぜ。
冬彦:これは強制な。
夏:今日は予定があるんだけど……。
冬彦:予定って何?
夏:……ご、合コン。
冬彦:それって絶対行かないといけないやつ?
夏:いや……別に……断れば良いんだけど……。
冬彦:なら断れ。
冬彦:俺の方が大事だろ?
夏:ま、まぁね。
冬彦:なら決まり。
冬彦:さ、17時になったし、カフェ行きますか。
夏:はーい。
(SE:カフェの音)
夏:青空のクリームソーダ、一つ下さい!
夏:あと、季節限定の桃のタルトも!
冬彦:俺、アイスコーヒー……以上で。
(SE:店員の「畏まりました」の声)
冬彦:夏。
夏:ん?
冬彦:いや、やっぱり夏女だな。
夏:何なのよ……。
冬彦:アンタはやっぱり、夏が似合うねぇ。
冬彦:俺も夏生まれなら良かったのに……。
夏:冬も良いとこいっぱいあるじゃん。
冬彦:さみーの苦手なんだよ。
夏:……あー。
冬彦:夏は良いよな、元気で。
冬彦:さすが夏女って感じでさ。
冬彦:夏バテなんか関係なし!だな。
夏:まぁ……寒いよりかは暑い方が好きかな。
夏:暑いとテンション上がるから、好き。
夏:でも冬も嫌いじゃないよ。
冬彦:マジ?
夏:だって貴方の生まれた季節じゃん。
冬彦:っ!?
冬彦:(小さな声で)……そういうの……反則……。
夏:え?何?
冬彦:あー、アンタはやっぱり鈍いよな。
冬彦:俺の気持ち、わかって言ってる?
冬彦:今日の合コンだって……何で行かせなかったとかさ。
夏:んー……コーヒーが飲みたかったから?
冬彦:まぁ……それもあるけど……アンタとだから、このカフェに来たかったんだ。
夏:どうして?
冬彦:それは……。
(SE:店員の「お待たせしました」の声)
冬彦:あー……もういいや。
冬彦:とりあえず、飲め!
夏:う、うん。
夏:この青空のクリームソーダ、美味しい!!
冬彦:こっちのアイスコーヒーも美味いぞ。
冬彦:一口、飲むか?
夏:無理、私、コーヒー飲めないの。
冬彦:お子ちゃまめ。
夏:何よ!
冬彦:はいはい、どうどう。
冬彦:でもアンタにはクリームソーダが似合うよ。
冬彦:緑のも良いと思ってたけど……やっぱり青だな。
冬彦:アンタは青がよく似合う。
冬彦:この夏の空の様に……綺麗な青がよく似合う。
夏:ありがと。
冬彦:よし、飲み終わった!
夏:早い!?
冬彦:俺、あんまり冷たいのとか感じないんだよな、何故か……飲み物とか食べ物とかは。
冬彦:冬の寒さはてんでダメだけど。
冬彦:夏女は、まだ残ってるな……ゆっくりで良いから飲みなよ。
夏:頭がアイスでキーンとする!!痛い!!うぅ……!!
冬彦:俺に合わせて飲むからだよ。
冬彦:時間はまだあるんだから、ゆっくり飲んでくれ。
夏:うん。
【間】
(SE:店員の「ありがとうございました」の声)
夏:あー美味しかった!
夏:奢ってくれてありがとう!
冬彦:良いって。
冬彦:なぁ、夏女ちゃん。
夏:何?
冬彦:何で、あのカフェにしたか、わかる?
夏:何かあるの?
冬彦:あのカフェさ、男女で行くと恋愛成就するんだってさ。
夏:そうなんだー……って……え?
冬彦:冬って名前が付いたやつが、夏に恋するってどう思う?
夏:えーっと……。
冬彦:夏女ちゃん、俺、お前が好きだ。
冬彦:この気持ちに嘘は吐きたくない。
冬彦:夏、好きだ。
夏:ありがとう……でも私のどこが良いの?
冬彦:決まってる。
冬彦:俺が憧れた夏にピッタリだからだよ。
夏:憧れた夏?
冬彦:ソーダみたいに笑顔が弾けて、青い空の様に綺麗で……。
冬彦:夏、アンタは俺が思い描いた夏そのものなんだ。
夏:……。
冬彦:夏女は俺の憧れだ。
冬彦:……夏……俺と、付き合って下さい。
(SE:踏切の音)
冬彦:ありがと夏女ちゃん……愛してる。
(リップ音)