青色を飲み込む。
私:夏女(なつおんな)と呼ばれる、コーヒーの飲めない女。
彼:夏女の好きな人。ちょっと軽い。
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私M:今見ている夏の青空の様な、綺麗なブルーのクリームソーダを飲む。
私M:暑い陽射しと風が、テラス席に座る私と彼の間を通り抜ける。
私M:彼と呼んでいるが、別に私たちは恋人ではない。
私M:ただ、たまにこうして一緒にお茶する仲なだけ。
私M:私としてはもう少し発展して欲しかったりするんだけど……。
私M:何てことを考えていると、彼はサングラスを外し、ニコリと微笑んだ。
彼:アンタはやっぱり、夏が似合うねぇ~。
私M:アイスコーヒーを飲みながら、私の顔をじっくり見つめ、茶化す様に言う。
私M:彼はよく、私のことを「夏女」と言った。
私M:何でかは解らないけれど……兎に角彼は私のことをそう呼んだ。
彼:何て言うの?ブルーが良く似合うよな。
私:そうかな……?
彼:うん、アンタはその青色のクリームソーダがよく似合う。
私M:何だか彼が私を子供扱いしている様で、ちょっと眉を顰(しか)めた。
私:どうせ、私はコーヒー飲めないお子ちゃまですよ~だ。
私M:ズズズーとストローでソーダを思いっきり啜る。
私M:冷たいそれは喉を通り、頭をキーンとさせる。
彼:あはは、別に子供扱いしてないって。
彼:純粋に、アンタは青が似合うって思っただけだよ。
彼:その青のクリームソーダの様に……綺麗だ。
私:なっ……!!
彼:何?照れた?
私:う、うるさい!
彼:あー、可愛い。
私M:彼の余裕に振り回され、顔が赤くなる。
彼:さて、そろそろ俺は仕事だ。
彼:ごめんな、ちょっとしか居られなくて。
彼:また埋め合わせするから……そんじゃ、またね、夏女ちゃん?
私:う、うん。
私M:私はまだ残っているクリームソーダのアイスを食べ、顔の火照りをとる。
私M:少し発展した私たちの仲は、この先、どうなっていくのだろう。
私M:そんなことを考えながら、私は冷たい青色を飲み込んで頭を抱えた。